この2年で約100万円も下がったレクサス ESは買っても大丈夫? そして買うなら何年式のどれが正解なの?
2021/12/21
▲この2年間で平均価格が約100万円も下がったレクサス ES。安くなるのは歓迎ですが、あまりにも急激に安くなるとちょっと不安だったりもします。本当に買っても大丈夫なのでしょうか? そして、もしも大丈夫だとしたら、その場合は「どんなES」を選ぶのが正解なのでしょうか? いろいろと検討してみます!2019年2月から見ると約250万円も下がっている?
日本を代表する高級車ブランド「レクサス」のアッパーミドルセダンである「ES」の平均価格が大きく下がっています。まずは、いきなりですが下記のグラフをご覧ください。

ベースグレードの当初の新車価格が580万円、最上級グレードが約700万円だったレクサス ESの平均価格は、発売から約半年後の2019年2月は804.3万円と、新車価格よりも高いぐらいでした。
が、同年の秋にかけて150万円ほど一気に下落。そこからしばらくは小康状態が続きましたが、2021年に入って再びダウントレンドとなり、直近の平均価格は551.8万円になっています。
これはもう2019年2月の数字から見れば「約250万円も下がった!」ということであり、2年前の同月との比較でも約100万円は下がったことになります。
つまり、「いい車なのはわかるが、買うにはちょっと高い」という存在だったレクサス ESが現実的な線まで降りてきた――ということなわけですが、しかし、ここまでいきなり安くなったモノって、買っても大丈夫なのでしょうか?
そして、もしも買うと決めたならば、何年式のどのグレードを選ぶのが“正解”なのでしょうか?
そのあたりのことを次章以降、考えてまいります。
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レクサス ES(現行型)×全国車内の広さと快適さにかけては世界トップクラスのハイブリッドセダン
まずは「そもそもレクサス ESとはどんな車か?」ということを簡単にまとめてみます。
レクサス ESは、1989年に北米でレクサスブランドの展開が始まったときから存在しているFF(前輪駆動)のアッパーミドルセダンです。
とはいえ、初代と5代目、6代目のレクサス ESは日本には導入されず、2~4代目は、日本では「トヨタ ウィンダム」という名前で販売されました。しかし2018年に登場した7代目が、やっと日本国内にも「レクサス ES」として導入された――という歴史を持っています。
2018年10月に発売された日本仕様のパワーユニットは、最高出力178psの2.5L直4エンジンに同120psのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムで、システム最高出力は218ps。それと電気式無段変速機でもって前輪を駆動させる車です。
レクサス ESの最大の特徴は、乗り心地のよさと静粛性、広い室内空間といった「上質な快適性」。同クラスのライバルであるメルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズなどよりも、こと「快適かつスムーズに走る」という部分においては上回っているかもしれません。
▲こちらがレクサス ES。写真は「デジタルアウターミラー」を装着した前期型300h バージョンL
▲グレードによって細部は微妙に異なるが、レクサス ESの運転席まわりはおおむねこのようなデザインパワートレインは前述のハイブリッドシステムのみですが、グレードは「ベースグレード」と「Fスポーツ」「バージョンL」の3つに分かれています。
「ベースグレード」は、文字どおり標準的な仕様のグレードで(とはいえ、レクサスですから十分ゴージャスなのですが)、「Fスポーツ」は専用のスピンドルグリルやリアスポイラー、19インチホイールなどを装着するスポーティなグレード。そして、最上級グレードである「バージョンL」は、パフォーマンスダンパーに加えて18インチのノイズリダクションアルミホイール、セミアニリン本革の運転席10Way&助手席8Wayパワーシートなどが標準装備されます。
このような形で2018年10月に登場した日本仕様のレクサス ESは、つい先日ともいえる2021年8月にマイナーチェンジを実施。内外装を微妙に変更するとともに、足回りなどの改良によって静粛性や乗り心地をさらに向上させ、運転支援システム「Lexus Safety System+」の性能もよりいっそう進化させています。
「平均価格の急激な下落」については心配する必要なし
さて、そんなレクサス ESの中古車購入を検討するにあたっては、まず「平均価格がいきなり大きく下がったみたいだけど、そんなモノを買っちゃって大丈夫なのか?」という疑問について片付けておきましょう。
結論から申し上げると、今回の平均価格下落は何らネガティブな理由はない「ごく普通の現象」ですので、心配する必要はまったくありません。
2018年10月の発売から約半年で150万円ほど一気に下がった理由は、「高級車というのはだいたいそうだから」というものです。
▲高額な車はレクサス ESに限らず、デビューから少したつと平均価格が一度大幅に下がる場合が多い?レクサスだけでなくメルセデス・ベンツもBMWも――ブランドやモデルによって若干の早い・遅いはありますが――新型の発売後、半年から1年もたてば中古車価格はほぼ必ず、そこそこ大きく下がるのです。
それがレクサス ESにおいても起こったというだけのことなので、ここについては何の心配もいりません。
また、2年前の10月から今年10月にかけて100万円級の下落を見せたという点についても、同様に心配はご無用です。
この下落は「初期に納車された車両が最初の車検時期を迎えつつあるから」ということと、「2021年8月にマイナーチェンジが行われたから」という2つの理由が重なったことにより流通量が大幅に増え、その結果として平均価格が下がっただけのことです。過剰に不安視する必要はいっさいなく、むしろ、新車ではなく中古車狙いの人にとっては「追い風でしかない!」といえる現象なのです。

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レクサス ES(現行型)×全国狙い目は2019年式。ただし、ベースグレードは避けたい
前章までの内容を踏まえ、「では具体的にどれを選ぶのが正解か?」という肝心なところを検討してまいりましょう。
まずは全体の状況として、レクサス ESは2018年10月デビューの「まだ新しい車」ですので、「その中古車の多くはコンディションが普通に良い場合が多い」と考えられます。
もちろん具体的には千差万別なのですが、走行距離が年式相応で(年間1万km前後のペースで)、内外装に手荒く扱われた形跡がない物件を探すよう心がけさえすれば、個別のコンディションにさほど神経質になる必要はありません。
▲レクサス ESは2018年10月にデビューし、同年末か2019年初頭ぐらいにやっとデリバリーが始まった車であるため、極端に手荒く扱われた個体以外は、どれも「それなり以上にコンディション良好」である場合が多いレクサス ESの中古車をこのタイミングで探す場合、真に問題とすべきは「年式とグレード」でしょう。
ということで現在、レクサス ESの中古車流通状況がどうなっているかを見てみると、おおむね以下のとおりとなっています。
【年式別流通量(2021年12月中旬現在)】
2018年式|20台
2019年式|108台
2020年式|26台
2021年式|7台
その年の10月に発売となった2018年式は市場に少なく、2020年式以降もまだ少なめな状況です。ここはもう、「最多」である2019年式に的を絞り、その中から、自分に合いそうな1台を見つくろうのが得策となるでしょう。
ではその2019年式をグレード別に分解してみます。
【2019年式ES グレード別流通量と価格(2021年12月中旬現在)】
●300h|7台|注目相場:総額470万~550万円
●Fスポーツ|49台|注目相場:総額530万~580万円
●バージョンL|46台|注目相場:総額520万~580万円
300hは流通量が少なめであるものの、FスポーツおよびバージョンLと比べれば若干お安いのが魅力ではあります。
しかし、同時に「安いとはいえ、ちょっとしか安くない」とも感じられます。新車時は上級グレードより50万円から120万円ほど安かった300hですが、中古車になるとそこまで差はないというか、むしろ「ほとんど差はない」とすら言える状況になったのです。
となると、めちゃめちゃ装備が充実している「バージョンL」を差し置いてわざわざ300hを選ぶ理由はなくなりますので、ベースグレードである「300h」は選択肢から除外してしまいましょう。
「バージョンL」か「Fスポーツ」かは好みの問題
そうすると残るのは、ラグジュアリーな最上級グレードである「バージョンL」と、スポーティな各種装備が採用される「Fスポーツ」の2つになります。ちなみに年式は、どちらも2019年式を想定しています。
……ここまで絞り込めば、後はもう「好みの問題」でしかなくなります。
車両本体価格580万円ぐらいまでで狙う、「2019年式のバージョンL」を買うべき人とは、バージョンLの特徴である下記の装備類に魅力と価値を感じる人です。
・セミアニリン本革シート
・三眼フルLEDヘッドランプ&LEDシーケンシャルターンシグナルランプ
・18インチノイズリダクションアルミホイール
・パフォーマンスダンパー
・後席電動リクライニング機能
・運転席10Way&助手席8Way調整式パワーシート
・カラーヘッドアップディスプレイ
・アンビエントイルミネーション
・ハンズフリーパワートランクリッド (挟み込み防止機能付き)
要するにゴージャスということです。ちなみにベースグレードの300hは三眼フルLEDヘッドランプではなく普通の単眼LEDで、ホイール径も17インチになります。
▲バージョンLには、革の質感を残しながらも汚れに強い仕上げ法である「セミアニリン」の本革シートが装着される。ちなみにベースグレードとFスポーツのシート表皮はL texという合成皮革
▲「三眼フルLEDヘッドランプ& LEDシーケンシャルターンシグナルランプ」となるのもバージョンLの特徴のひとつ(※Fスポーツも同様のヘッドランプ+ターンシグナルランプだが)
▲あるとうれしい「ハンズフリーパワートランクリッド (挟み込み防止機能付き)」が標準装備されたのはバージョンLだけ▼検索条件
レクサス ES(現行型)×車両本体価格580万円以下 ×2019年式 ×バージョンL ×全国そして、「2019年式のFスポーツ」を買うべき人とは、Fスポーツの特徴である下記の装備類にグッとくる人です。
・ドライブモードセレクトの「Sport」のさらに上にある「Sport+」モード
・メッシュタイプの専用スピンドルグリル
・専用スポーツシート
・NAVI・AI-AVS(電子制御ダンパー)
・専用19インチホイール
要するにFスポーツは「スポーツセダンとしての装備」が充実しています。
筆者個人としては、「レクサス ESに乗るならゆったり乗りたい」と考えるため、FスポーツではなくバージョンLを選ぶでしょう。しかし、もちろんこのあたりは「人それぞれ」でしかないため、人によってはFスポーツがハマるはずです。
▲メッシュタイプ/漆黒メッキモールのFスポーツ専用スピンドルグリル
▲ベンチレーション機能とヒーター付きのFスポーツ専用スポーツシート。カラーは「専用フレアレッド」の他に「専用ブラック」もある
▲専用リアバンパーロアガーニッシュ(漆黒メッキ)が付くリアビューはなかなかカッコいい▼検索条件
レクサス ES(現行型)×車両本体価格580万円以下 ×2019年式 ×Fスポーツ ×全国しかしいずれにせよ、レクサス ESを買う場合のオススメは、「2019年式のバージョンLまたはFスポーツ」というのが結論となることはまず間違いありません。
レクサス ESの中古車は今まさに最初の買い時を迎えています。ご興味のある方はこのタイミングを逃さず、慎重に、しかし素早くご検討してみることをオススメいたします。
▼検索条件
レクサス ES(現行型)×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
この記事で紹介している物件
レクサス
ES 300h Fスポーツ 12.3インチディスプレイオーディオナビ パノラマミックビューモニター サンルーフ マークレビンソンサウンド レーダークルーズコントロール デジタルインナーミラー BSM 3眼LEDヘッドライト
本体価格448.9万円
支払総額458.2万円
レクサス
ES 300h Fスポーツ OPボディ色 マクレビ デジタルインナーミラー BSM 禁煙車 3眼フルLEDヘッド 純正19インチAW アルミペダル 赤革 シートベンチレーション メーカーナビ バックカメラ ETC スマートキー
本体価格421.4万円
支払総額432.9万円
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