スバル レヴォーグ(現行型)のお得な選び方とは? グレードの違いと中古車相場を解説!
2022/12/08
▲「程よいサイズ感の、やたら走りがいいステーションワゴン」という、今やかなりレアな立ち位置の車として人気が高い現行型スバル レヴォーグ。新車で買うとなると決して安くない車ですが、近頃は中古車の流通量も増え、価格もそれなりにこなれてきました!ここへきて中古車の流通量は200台以上に
近年、国産車では新たに発売されることが少なくなってきた「程よいサイズで走りの良いステーションワゴン」というカテゴリー。そんな中、ある意味孤軍奮闘しているのが、2020−2021 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した現行型スバル レヴォーグです。
とはいえその新車価格は決して安くはなく、中古車価格もそれなり以上に高額だったわけですが、ここへきて中古車流通量が200台以上まで増加。それに伴って「新車を買うより断然お安い低走行中古車」の数も増えてきています。
もしも現行型スバル レヴォーグを、新車ではなく「中古車」で狙うとしたら、果たしてどのグレードをいくらぐらいの支払総額で狙うのが正解なのでしょうか?
次章以降、考えてまいりましょう。
▲「走りの良さ」と「高い実用性」とを両立できるのがステーションワゴンという存在。写真は現行型スバル レヴォーグのSTI スポーツ EX▼検索条件
スバル レヴォーグ(現行型) × 全国モデル概要:アイサイトXでハンズオフ走行も可能なスポーツワゴン
まずは現行型レヴォーグのモデル概要をざっくりと。
スバル レヴォーグの初代モデルは、北米市場を意識して(日本人からすると)サイズが大きくなりすぎたレガシィ ツーリングワゴンに代わる立ち位置の「程よいサイズ感の、しかし走りには徹底的にこだわったステーションワゴン」として、2014年6月に発売されました。
その後を受けて2020年10月に登場したのが、2代目となる現行型スバル レヴォーグです。
日本国内での使い勝手を意識しボディサイズは全長4755mm × 全幅1795mm × 全高1500mmで、エクステリアデザインは「BOLDER」というスバルの新コンセプトを採用。
「スバルグローバルプラットフォーム」という最新世代の基本骨格をさらに進化させた「フルインナーフレーム構造」や、2ピニオン式電動パワーステアリングの採用等々により、速さというよりは「走りのクオリティ」とでも呼ぶべきものは、先代と比べて大幅に向上しました。
また車名に「EX」と付くグレードには、渋滞時の高速道路におけるハンズオフ走行も可能になる「アイサイトX」が搭載されています。
▲現行型レヴォーグのエクステリア。全幅1795mmというのは、ひと昔前の感覚では「車幅が広い」ということになったが、昨今の中型車の中ではまあまあスリムな部類に入る
▲ラゲージスペースの容量は、5名乗車時でも492Lと十分。けっこう奥行きがあるため、数値から感じる以上に実際の使い勝手は良好だ。床下にも69Lのサブトランクが用意されている
▲STI スポーツ EXのインテリア。「EX」と付くグレードでは12.3インチのフル液晶メーターと、11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイが標準装備となるパワーユニットは最高出力177psの水平対向4気筒ターボエンジンが中心で、トランスミッションはスバルが「リニアトロニック」と呼ぶCVTをさらに進化させたもの。
駆動方式は、後述するトップグレードを除いて全車「アクティブトルクスプリットAWD(前60:後40のトルク配分を基本に、加速や旋回などの走行状態に合わせてリアルタイムにトルク配分をコントロールするタイプ)」です。
そして発売から約1年が経過した2021年11月には、最高出力275psの2.4L 水平対向4気筒ターボエンジンを搭載するトップグレードを追加。
こちらはエンジンパワーがかなり強力なだけでなく、トランスミッションには「スバルパフォーマンストランスミッション」を採用。フルタイム4WDの方式も「VTD-AWD(センターデフによってトルクを前45:後55に不等配分しつつ、走行状況に合わせてトルク配分を連続可変制御するタイプ)」に変更されています。
2022年11月に現行型はいったん生産終了となり、2022年12月初旬現在は販売店在庫のみを販売中。近いうちに、同じ現行モデルのC型(2度目の年次改良が加えられたモデル)が登場するはずです。
▲STI スポーツ Rに搭載される2.4Lの水平対向4気筒直噴ターボエンジン。最高出力は275psとなかなか強力で、組み合わされる「スバルパフォーマンストランスミッション」も、DCT並みかそれ以上の変速スピードを誇るグレード概要:大きく分けて4種類。それぞれアイサイトXの有無を選択可能
現行型スバル レヴォーグの「グレードごとの主な差異」は下記のとおりです。長々と書くことになりますが、かなりかいつまんで言うならば、以下のニュアンスとなります。
・GT=ベーシックグレード。安全装備ではなく「豪華装備」の類を省略
・GT-H=上級グレード。ただし電子制御サスとドライブモードセレクトはなし
・STI スポーツ=電子制御サスとドライブモードセレクトを採用する上級スポーティグレード
・STI スポーツ R=1.8Lではなく2.4Lのターボエンジンを搭載する最上級スポーティグレード
・車名に「EX」が付く・付かないの違い=アイサイトXが付いているかどうか
……以上でこの章を終わらせてもいいような気がしてきましたが、せっかくですから「フルバージョン」も書いておきましょう。現行型レヴォーグの詳細にご興味がある方は以下をお読みください。
▲ベーシックグレードの「GT」●GT|ベーシックなグレード。アイサイトXは非搭載。
〈特徴〉
・エンジンは1.8Lターボ
・ごく一部の機能を除き、アイサイトの基本機能は標準
・タイヤサイズが他のグレードより少し小さい(215/50R17)
・リバース連動ドアミラーやハンズフリーオープンパワーリアゲート、シートポジションのメモリー機能等々の上級装備を省略
・メーターはフル液晶ではない4.2インチ
・中古車流通量は激少
●GT EX|GTにアイサイトXを搭載したグレード
〈特徴〉
・基本的な装備内容やエンジンはGTと同じ
・アイサイトXと、アイサイトの視界拡張テクノロジーを搭載
・メーターは12.3インチフル液晶
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは標準装備
・中古車流通量はまずまず
▲上級グレードの「GT-H」。写真はアイサイトXを搭載する「GT-H EX」●GT-H|装備が充実したグレード。アイサイトXは非搭載。
〈特徴〉
・エンジンは1.8Lターボ
・タイヤサイズはSTI スポーツと同じ(225/45R18)
・ショックアブソーバーは非電子制御
・ドライブモードは「SI-DRIVE」(2モード式)のみ
・リバース連動ドアミラーやハンズフリーオープンパワーリアゲート、シートポジションのメモリー機能、高触感革ステアリングホイール等々の上級装備が標準
・メーターはフル液晶ではない4.2インチ
・中古車流通量は少ない
●GT-H EX|GT-HにアイサイトXを搭載したグレード。
〈特徴〉
・基本的な装備内容やエンジンはGT-Hと同じ
・アイサイトXと、アイサイトの視界拡張テクノロジーを搭載
・メーターは12.3インチフル液晶
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは標準装備
・中古車流通量はまずまず
▲ZF製電子制御ダンパーとドライブモードセレクトを搭載し、エクステリアデザインもスポーティな風味となっている「STI スポーツ」。写真はアイサイトX付きの「STI スポーツ EX」●STI スポーツ|スポーティな上級グレード。アイサイトXは非搭載。
〈特徴〉
・エンジンは1.8Lターボ
・ショックアブソーバーはZF製電子制御ダンパー
・5モード式の「ドライブモードセレクト」を搭載
・各種の上級装備をほぼフル装備
・ただしメーターはフル液晶ではない4.2インチ
・シートはボルドー/ブラックの本革
・STIエンブレムなどのスポーティな意匠
・中古車流通量は少ない
●STI スポーツ EX|STI スポーツにアイサイトXを搭載したグレード。
〈特徴〉
・基本的な装備内容やエンジンはSTI スポーツと同じ
・アイサイトXと、アイサイトの視界拡張テクノロジーを搭載
・メーターは12.3インチフル液晶
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは標準装備
・中古車流通量は多い
▲2.4Lターボエンジンを搭載する「STI スポーツ EX」のコックピット●STI スポーツ R|2.4Lターボ搭載の最上級グレード。アイサイトXは非搭載。
〈特徴〉
・強力な2.4L水平対向4気筒ターボエンジン
・AWDの方式も他グレードよりスポーツ走行向き
・「スバルパフォーマンストランスミッション」は超スポーティ
・各種装備は当然充実
・ただしメーターは4.2インチの非液晶
・中古車流通は皆無
●STI スポーツ R EX|STI スポーツ RにアイサイトXを搭載したグレード。
〈特徴〉
・基本的な装備内容やエンジンはSTI スポーツ Rと同じ
・アイサイトXと、アイサイトの視界拡張テクノロジーを搭載
・メーターは12.3インチフル液晶
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは標準装備
・中古車流通量はほどほど
車名にEXが付かないグレード(アイサイトX非搭載グレード)の中古車流通量はかなり少ないため、実質的には「GT EX」「GT-H EX」「STI スポーツ EX」「STI スポーツ R EX」という4グレードの中から選ぶことになるでしょう。
それでは次章、「具体的なオススメ」を考えてみます。
中古車のオススメ1:手頃な予算で狙いたいなら「GT-H EX」
「STI スポーツじゃない方」の現行型レヴォーグでいくのであれば、狙い目は「GT-H EX」ということになるでしょう。その理由は下記のとおりです。
・アイサイトXはやはり欲しい(特に渋滞時ハンズオフは便利)
・そもそもアイサイトX非搭載グレードは中古車流通量が少ない
・豪華装備の類がやや貧弱なGT EXは、あえて選ぶ意味があまりない
上記3つの理由により必然的に狙い目となるアイサイトX付き中間グレードである「GT-H EX」の流通量は、2022年12月現在で約40台。価格は総額320万~400万円といったところです。
▼検索条件
スバル レヴォーグ(現行型) × GT-H EX
▲電子制御ダンパーではないが、充実した装備となる「GT-H EX」総額360万円以上の物件はそのほとんどが「走行距離10km」などの未使用車ですが、困ったことに(?)走行距離1万~2万km台ぐらいの程よく走った物件の支払総額も330万~390万円ぐらいで、両カテゴリーの間にさほど大きな価格差はありません。
それでも走行距離2万kmを超えると、さすがに若干安めにはなるようですが、2万km未満の物件は主に「装備とボディカラー」で価格が変わってくるようです。具体的には「オプションの本革シートが付いていると高めになる」「ボディカラーが白(クリスタル・ホワイトパール)だと高めになる」という現象があります。
ということは、GT-H EXの中古車をなるべく安く買いたいのであれば「クリスタル・ホワイトパール以外の標準布シート(トリコット/ファブリック)装着車を探す」というのが、ひとつの方法となるでしょう。
その場合の予算の目安は、一概には言えないのですが「総額350万円前後」になるはずです。決して激安ではありませんが、新車の車両本体価格370万7000円(総額で言うと400万円ぐらい)と比べるなら、相対的には格安です。
もちろんこれは「なるべく安く買う」という目的に絞った手法でしかありません。「いや自分はやっぱりクリスタル・ホワイトパール+レザーシートが好きなのだ!」というのであれば、少し高めにはなりますが、それはそれでOKかと思います。それを選んだところで、新車を買うよりはずいぶん安いわけですし。
▲GT-H EXで標準となるトリコット/ファブリック(ブルーステッチ)のシート。オプションの黒本革シート(ブルーステッチ)が装着されているGT-H EXもあるが中古車のオススメ2:走りにこだわりたいなら「STI スポーツ EX」
GT-H EXも良いグレードだと思いますが、「より走りの質にこだわりたい!」という場合には、ZF製の電子制御ダンパーと「ドライブモードセレクト」が付いている「STI スポーツ EX」がイチ推しとなります。
このダンパーとドライブモードセレクトの組み合わせは本当に素晴らしいと、私自身が現役オーナーとして確信しています。
▼検索条件
スバル レヴォーグ(現行型) × STI スポーツ EX
▲こちらが「STI スポーツ EX」。写真のボディカラーはマグネタイトグレー・メタリックそれはさておき1.8Lターボエンジンを搭載するSTI スポーツ EXの直近の中古車流通量は約120台と非常に豊富で、探しやすい状況。全体の価格レンジは総額340万~450万円といったところです。
「走行距離数十kmレベルの未使用車は高い(新車より少し安い程度にしかならない)」というのはもちろんあるのですが、1万~2万km台ぐらいの一般的な物件は、走行距離の多寡と車両価格の高低にはさほどの相関関係はないようです。
そして「ボディカラーは白の人気が高い」というのはあるものの、それも絶対ではありません。類似条件であってもクリスタル・ホワイトパールより高いWRブルー・パールやマグネタイトグレー・メタリックは普通にあります。
結局は「全体的なコンディション」と「販売店の経営方針」で価格が決まっている模様ですが、一般論としては総額380万~400万円ぐらいの予算感で、走行距離1万km台の、なかなか悪くないコンディションのSTI スポーツ EXが狙えるはず。それでも「新車を買うよりは30万円から50万円ほ安かった」という結論になるでしょう
▲ぜひ、コンディションと価格のバランスがいい「中古の現行型レヴォーグ」を見つけてほしい!その他、まだ数は少なめですが、怒涛のパフォーマンスを堪能できる2.4Lターボの「STI スポーツR EX」も、2022年12月初旬現在で約20台が流通しています。
▼検索条件
スバル レヴォーグ(現行型) × STI スポーツR EXこちらの価格レンジは総額500万~550万円といったところで、その大半が走行距離20kmぐらいの未使用車。
「新車を買うより少し安い」または「新車の予算とほぼ同程度」ぐらいでしかありませんが、STI スポーツ R EXに「今すぐにでも乗りたい!」というのであれば、あえて中古車を選ぶ意味もあるかとは思います。
とはいえ、「中古車ならではのうまみ」が強いのは1.8LターボのGT-H EXまたはSTI スポーツ EXでしょう。現行型レヴォーグにご興味のある方は、ぜひこの2グレードの中古車に注目してみてください。
▼検索条件
スバル レヴォーグ(現行型) × 全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
この記事で紹介している物件
スバル
レヴォーグ 1.8 GT EX 4WD 前後録画ドラレコ フロント・S・Rカメラ ETC 全車速追従クルーズコントロール 中央車線維持 車線逸脱防止機能 側方警戒システム 後退時ブレーキアシスト カーブ前速度制御
本体価格264.0万円
支払総額276.7万円
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