ポルシェ 911カレラGTSの新車価格約2300万円に絶望した人に贈る「3分の1で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
カテゴリー: 特選車
タグ: トヨタ / BMW / ポルシェ / アストンマーティン / マセラティ / アルピーヌ / クーペ / ヴァンテージ / V8 / グラントゥーリズモ / 911 / A110 / i4 / GRカローラ / 伊達軍曹
2024/06/23

ハイブリッドは約2300万円、フルタイム4WDは約2400万円……
言わずと知れた世界的名作スポーツカー「ポルシェ 911」が2024年5月にマイナーチェンジを受け、カレラGTSは、ついに「T-ハイブリッド」と名付けられた軽量ハイブリッドシステムを初搭載。そしてカレラの方も、それまではGTS専用だったツインターボ式の3L水平対向エンジンを搭載するに至りました。
そのどちらも超絶素晴らしい完成度であろうことは火を見るよりも明らかで、とにかく「欲しい!」と思うわけですが、お値段的にはそう簡単に買えるものではありません。新しい911は素のカレラでも車両本体価格1694万円で、ハイブリッド化されたカレラGTSは二輪駆動のモデルでも2254万円。フルタイム4WDの「カレラ4 GTS」は実に2365万円です。
ならば! ということで現行型ポルシェ 911の中古車を狙おうにも、直近の平均価格は2418.6万円。これは時間が経過してもおそらく大きくは下がらないはずですので、現行型のポルシェ 911は、もはや中古車であっても「簡単には買えない車」になってしまったといっていいでしょう。

……事態がここまで来てしまうと、残された手は「現実的な予算で買える、現行型ポルシェ 911とおおむね同じぐらい満足できる車を探す」ということしかないのかもしれません。そしてこの場合の「現実的な予算」とは、新車のカレラGTSの3分の1ぐらい、つまり「総額750万円ぐらい」ということになるでしょうか。
世界的名作スポーツカーである現行型ポルシェ 911と同じぐらい満足できる車なんて本当に存在するのか? 仮にあったとしても、それを総額750万円以下で買えるのか? という不安はありますが、とにかくそんな選択肢を探してみることにしましょう。
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ポルシェ 911(現行型) × 全国
新型911の代わりその1|アストンマーティン V8 ヴァンテージ(3代目)
予算目安:総額660万~800万円
「ポルシェ 911カレラの代わり」として考えられる最も順当なモデルは、英国のアストンマーティンが作っていた2シータークーペ「V8 ヴァンテージ」の後期型でしょう。

2005年にジュネーブショーで発表され、同年中に日本でも発売されたアストンマーティン V8ヴァンテージは、その名のとおりハイパワーなV8エンジンを搭載する後輪駆動のスポーツクーペ。ボディサイズは「シグネチャー」を除けばアストンマーティンとしては最小の全長4382mm×全幅1866mm×全高1255mmですが、だからこそ、全長4542mm×全幅1852mm×全高1279mmであるポルシェ 911に近いサイズ感であるといえます。
当初の搭載エンジンは最高出力380psの4.3L V8でしたが、2008年途中のビッグマイナーチェンジで同426psの4.7L V8に刷新。これはハイブリッド化された新型カレラGTSのシステム最高出力541psには及びませんが、ツインターボ化されたカレラの最高出力394psは超えてる十分な数値。
というか、エンジンのカタログスペック云々というのは割とどうでもいいことでしょう。後期型アストンマーティン V8 ヴァンテージの、最も重要で最も魅力的なポイントは「ポルシェ 911にはない“色気”」であるはずです。
サーキットでタイムを競うのであれば、ほぼ100%の確率で新型ポルシェ 911がアストンマーティン V8ヴァンテージを打ち負かすことでしょう。しかし、我々はプロのレーサーではないので、そこはさほど重要ではありません。普通に走る分にはポルシェ 911にも迫る動力性能を有していて、なおかつポルシェ 911以上の“色気”が感じられるという点に価値を見いだせるのであれば、アストンマーティン V8 ヴァンテージの後期型は十分以上に「911の代わり」になり得ます。
ちなみに中古車は1000万円以上の物件も多いのですが、総額660万~800万円ぐらいのレンジでも、状態良好な後期型を見つけることができます。

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アストンマーティン V8 ヴァンテージ(3代目)後期型 × 全国新型911の代わりその2|マセラティ グラントゥーリズモ
予算目安:総額580万~750万円
ポルシェ 911カレラという車の魅力は、世界トップクラスの実力を持つスポーツカーであると同時に「普通に普段使いもできる」という部分にあります。ガレージにしまい込み、ごくたまに出動させるタイプのスポーツカーと違い、ポルシェ 911は、その気になればお買い物の足としても便利に使えるスポーツカーなのです。
そういった意味でのポルシェ 911に近いスポーツカーは、イタリアの「マセラティ グラントゥーリズモ」であり、中でも途中追加された「スポーツ」というグレードであれば、ポルシェ 911に勝るとも劣らぬ満足を感じられる可能性があります。


マセラティ グラントゥーリズモは2007年初頭に発表され、同年10月に日本へも上陸した4座式の2ドアスポーツクーペ。ポルシェ 911の後席は「手荷物置き場」としては役に立つものの、成人が座るのはちょっと難しい空間です。しかし、マセラティ グラントゥーリズモは後席も「まあまあ普通に座れる」というニュアンスであるため、911と違って「真に4人乗れる車」としても機能します。
それでいてエンジンと走りのフィーリングはポルシェ 911と方向性とニュアンスは異なるものの、きわめてスポーティかつ高性能。当初の搭載エンジンは最高出力405psの4.2L V8でしたが、2012年に追加された「グラントゥーリズモ スポーツ」はハイパフォーマンス版であるグラントゥーリズモSにさらに磨きをかけたモデルで、搭載エンジンは最高出力460psを発生する4.7L V8。エンジンスペックのみでどうのこうのと言うつもりはありませんが、このエンジンであれば、新型カレラGTSに勝るとも劣らずといったニュアンスの加速とフィーリングを堪能できることでしょう。
中古車は安めのモノから1000万円を軽く超えるものまで様々ですが、総額580万~750万円付近にて、悪くないコンディションの1台が見つかるはずです。
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マセラティ グラントゥーリズモ(初代) × スポーツ × 全国新型911の代わりその3|アルピーヌ A110(現行型)
予算目安:総額680万~800万円
ここまではポルシェ 911とある意味同種の「がっつり系スポーツカー」を、911の代わりとして推奨してまいりました。
しかしよく考えてみれば、似たようなタイプの車でなければならない理由は特になく、むしろポルシェ 911とは異なる個性を持った車を選んだ方が、「まったく別の世界へ羽ばたける」という意味で、満足度はより高くなるのかもしれません。
そういった意味でぜひ検討したいのが、フランスの「アルピーヌ A110」です。


新型ポルシェ 911カレラが車重1.6t級のミドルヘビー級スポーツカーであるのに対し、こちらアルピーヌ A110の車重は1.1t級。ミッドに搭載されるエンジンは最高出力わずか(?)252psの1.8L直噴直4ターボですが、それが超軽量ボディと組み合わされることで“魔法”が発動し、アルピーヌ A110という車はちょっと信じられないぐらいに軽快に曲がり、痛快に加減速されます。
これはもう「どちらが良い」という問題ではなく「個性や設計思想」の違いですので、一概に「アルピーヌ A110の方が楽しい!」と言える問題ではないのですが、少なくともごく普通のスピード(30~120km/hぐらい)で走らせる分には、ポルシェ 911よりもアルピーヌ A110の方が「楽しい!」と感じる人が多いはずです。
そんなアルピーヌ A110の中古車は、高いモノは1000万円を超えますが、総額680万~800万円付近のレンジでも普通に流通しています。これはもうかなりのオススメです。
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アルピーヌ A110(現行型) × 全国新型911の代わりその4|BMW i4 M50(現行型)
予算目安:総額720万~800万円
これまでは「ポルシェ 911と同じぐらい高出力な、もしくは同じぐらい気持ちの良い働きをするエンジン」を搭載するモデルを挙げてきました。
しかし、よく考えてみればエンジン車でなければならない理由は特になく、戸建てにお住まいの人であれば、むしろBEV(バッテリーEV)を選んだ方が、「まったく別の世界へ羽ばたける」という意味で、満足度はより高くなるのかもしれません。
であるならば、例えばBMW i4のハイパフォーマンスグレードである「i4 M50」でどうでしょうか?


BMW i4は、4シリーズ グランクーペをベースに開発されたBEV。ビジュアル的には「ほぼ4シリーズ グランクーペ」で、巨大なバッテリーを車両下部に積むBEVに特有の腰高なフォルムではなく、なおかつ「居室や荷室の深さが足りなくて困る」ということもない車です。
パワーユニットは3種類で、i4 eドライブ40とi4 eドライブ35に搭載されるユニットの出力は「パワフル!」といったニュアンスですが、最上級グレードであるi4 M50のそれは「超絶パワフル!」という形容がふさわしいものです。
具体的には、最高出力258psを発生して前輪を駆動する電気モーターに加え、同313psを発生し後輪を駆動する電気モーターが搭載されるi4 M50のシステム最高出力は544ps。これは新型911カレラGTSを上回る数値であり、通常モードで走る分にはジェントルで、乗り心地も良好ですが、ドライブモードを「スポーツ」または「スポーツブースト」にした際には絶句するほどの速さが炸裂します。その強烈さからは「ポルシェ 911の代わり」では収まらないレベルの存在感を感じ取ることになるでしょう。
そんなBMW i4 M50の中古車価格は、総額720万~850万円といったところ。EVの普通充電設備を設置できる戸建住宅にお住まいの方限定になるかもしれませんが、新型ポルシェ 911に勝るとも劣らない存在のひとつとして、ぜひご注目ください。
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BMW i4 M50(現行型) × 全国新型911の代わりその5|トヨタ GRカローラ(現行型)
予算目安:総額650万~750万円
これまでは「ポルシェ 911と同程度の車格である」ということを意識して、代わりになりそうなモデルを挙げてまいりました。
しかし、よく考えてみれば、今どき“車格”などという古くさい概念にこだわるべき理由は特にないため、そこは無視するべきなのかもしれません。そして車格なんてものは、むしろ無視した方が「より自由な精神でいられる」という意味で、人生の満足度はより高くなる可能性があります。
であるならば、例えば「トヨタ GRカローラ」という選択はどうでしょうか?

ご承知のとおりトヨタ GRカローラは、「カローラ スポーツ」をベースとするものの、まったく異なるボディとまったく異なるパワートレインを採用した超スポーツハッチバック。
搭載エンジンは「GRヤリス」にも搭載された1.6L直3ターボ「G16E-GTS」で、最高出力はヤリスGRを32ps上回る304ps。変速機は6MTで、駆動方式は電子式多板クラッチによる前後駆動力可変式のスポーツ4WD「GR-FOUR」。ブッシュのピロボール化やスプリング、アブソーバー、アライメントの最適化も実施されており、ブレーキはフロントに4ピストン、リアに2ピストンの対向キャリパーを採用しています。
要するにトヨタ GRカローラとは、ごく普通のFFハッチバックだったイタリアの「ランチア デルタ」が世界ラリー選手権を戦うために進化し、最終的に至った「ランチア デルタHFインテグラーレ エボルツィオーネII」のような車である――ということもできます。冷却のための「穴」が多数存在し、ワイドタイヤを収めるためにワイド化されたGRカローラのボディと全体の成り立ちは、広義の意味においてランチア デルタ インテグラーレと同じなのです。
そして車好きな各位であれば、きっと「ランチア デルタHFインテグラーレ エボルツィオーネIIならばポルシェ 911カレラと代わりとして、性能の面でも存在感の面でも十分以上かも」と思うことでしょう。
であるならば、「トヨタ GRカローラでも十分以上である」となるのが論理的な帰結です。「カローラなんて……」と思うのは古くさい考え方ですし、そもそもGRカローラは、素のカローラとはまったく異なります。

「ポルシェ 911を検討していたはずが、なぜか今、GRカローラに乗っている」という意外性の部分を含め、かなりステキな選択かと思うのですが、どうでしょうか?
ちなみにトヨタ GRカローラの中古車価格は、70台限定の「モリゾウエディション」以外であれば総額650万~750万円といったところ。まさに「新型911カレラGTSの3分の1」でイケる、ナイスな選択肢です。
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トヨタ GRカローラ(現行型) × 全国※記事内の情報は2024年6月18日時点のものです。

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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