80スープラの中古車流通量が2年で激減、今や28台に! トヨタの名車を振り返りつつ、価格状況やオススメの狙い方も解説
2025/03/16

今や中古車の数は全国で28台のみ……
80(ハチマル)スープラと呼ばれる場合が多い2代目の(グローバルで考える場合は4代目にあたる)トヨタ スープラは、ある種の車好きにとっては「永遠の憧れ」といえる1台だ。
筋肉質でありながらもグラマラスなフォルムと、2JZ-GTE型3L直6ツインターボエンジンを中心とする魅力的なパワーユニット。そして「FRレイアウトである」という点は現代の視点をもってしても、いや現代だからこそ、希少かつ魅力的な資質を備えているように思える。
だが、そんな80スープラも今や中古車流通量が激減。2023年4月から2025年3月現在までの期間に、約80台から28台にまで減少してしまった。
いよいよ本気で「絶滅危惧車」に足を踏み入れつつある80スープラとはどんな車だったのか、あらためて詳しく見ていくことにしよう。

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トヨタ スープラ(2代目・A80型) × 全国モデル概要:3L直6エンジンを搭載する本格的FRスポーツ
80スープラことA80型トヨタ スープラは1993年のデトロイトモーターショーで発表され、同年5月に販売開始となった本格的FRスポーツ。登場時のキャッチコピーは「THE SPORTS OF TOYOTA」で、エクステリアデザインは先代までの直線基調から、有機的な曲線と曲面を多用したグラマラスな造形へと変化した。


サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式。前後重量配分はターボ車が54:46で、自然吸気車が52:48。わずかにフロントヘビーではあるが、これは高速直進性を向上させるための「あえてのややフロントヘビー」だったという。
パワーユニットは「3L直列6気筒」のみで、SZグレードなどが搭載する自然吸気の2JZ-GEは最高出力225ps、RZグレードなどが搭載した2ウェイツインターボの2JZ-GTEは同280psをマーク。トランスミッションは4速ATの他、自然吸気ユニット搭載車では5MT、ツインターボユニット搭載車では、当時の国産乗用車としては初の6MT(ゲトラグ社とトヨタの共同開発品)が用意された。



発売当初のグレード構成は以下のとおりであった。
●SZ:自然吸気グレード|5MTまたは4速AT
●SZ エアロトップ:着脱式トップを備える自然吸気グレード|4速AT
●RZ:ツインターボグレード|6MTまたは4速AT
●GZ:装備充実のツインターボグレード|4速AT
●GZ エアロトップ:着脱式トップを備えるツインターボグレード|4速AT
その後は何度かのマイナーチェンジを行い、装備を簡略にすることで若干の軽量化を行った「RZ-S」や、4速ATの設定がないMTのみの自然吸気エンジン搭載グレード「SZ-R」を追加した。ちなみにSZ-Rのトランスミッションは前期型は5MTだが、1996年4月のマイナーチェンジ時、SZ-R専用のギア比を備えるゲトラグ製6MTに変更された。またこのとき、装備充実のツインターボグレードである「GZ」は廃止されている。

1997年8月には最後のマイナーチェンジを行い、ツインターボエンジンへの可変バルブタイミング機構採用や、ヤマハとトヨタが共同開発した「REAS(Relative Absorber System=相互連携アブソーバーシステム)」を採用するなどの改変を実施。
そして2002年8月、「平成12年度自動車排ガス規制度」に対応できなかったことを理由に、80スープラは生産を終了。同年中に在庫も完売となり、惜しまれながらも新車は販売終了となった。
中古車状況:流通量はここ2年で激減。直近の平均価格は約830万円
2年ほど前までは約80台が流通していたA80型トヨタ スープラだが、2025年2月の中古車流通量はわずか28台。もちろん、この事実をもって「80スープラは近いタイミングで絶滅する!」と断言することはできない。しかし「近い将来、絶滅してもおかしくないトレンドではある」と言うことはできるだろう。

また、2025年2月の中古車平均価格は825.3万円で、モデル全体としての価格は総額570万~1050万円といったところ。カーセンサーnetに掲載中の物件23台をトランスミッション別で見ると、15台つまり6割強がMT車で、残る8台(4割弱)がAT車という状況(2025年3月10日時点)。

グレード別では自然吸気ユニットの標準グレードである「SZ」が最も多い8台で、次いでツインターボのメイングレードである「RZ」と、自然吸気のMTグレードである「SZ-R」の流通が目立つ(といってもそれぞれ4台と3台だが……)。そしてその他の各グレードは「超希少」あるいは「皆無」という状況だ。

中古車を狙うなら:エンジンの種別ではなく「コンディション」にこだわりたい
本来であれば、A80型トヨタ スープラの王道である「3L直6ツインターボエンジン」にこだわりたいところだ。しかし、現在はモデル全体としての流通量があまりにも少ないがゆえに、そこに強くこだわってしまうと「いつまでたっても買うべき個体と出会えない」という状況が続く可能性が高い。
もちろん「欲しいモノが出てくるまで、自分はいつまでだって待つ!」というのも正解ではあるが、ある程度早いタイミングでA80型スープラを購入したいのであれば、パワーユニットについては「コンディションさえ良ければツインターボでも自然吸気でもOK」という姿勢で臨むべきだろう。

そして「こだわるべきポイント」はエンジンの種別ではなく、下記の各項目だ。
●フルノーマルか、フルノーマルに近い状態である。
●内外装から「荒れた雰囲気」を感じない物件である。
●これまでの整備履歴をおおむねすべて確認できる物件である。
●MT車である(※ここは意見が分かれるところかもしれないが、筆者は、せっかく世界文化遺産ともいえるA80スープラに乗るのであれば、やはりMTを選ぶべきだと考える)

●走行距離の多寡にはこだわらない(※こういった年式の車の走行距離にこだわるのは無意味。この場合、こだわるべきは距離ではなく「その個体が歴代オーナーに愛されてきたかどうか?」だ)。
●最終的には試乗し、明らかな違和感や不具合などは確認できない物件である。
以上の条件に合致する物件であれば、グレードにかかわらず「買い」であるはずだ。もちろん追加のメンテナンスは絶対に必要となるが、こういった物件を購入すれば、基本的には「素晴らしき80スープラ生活」を送ることができるだろう。
ただし上記のような物件の中古車価格は今、果てしなく高額だったりもするのが問題ではあるのだが……。
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トヨタ スープラ(2代目・A80型) × 全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、さまざまな自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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