MG乗りが80万円で手に入れた「屋根のない世界」
2018/12/30
車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

40歳を過ぎて思った「そうだオープンカーを買おう」
都内に住む物江修さんは、今から6年前の42歳の時にMG Fを中古で購入した。
平日は会社員として遅い時間まで仕事をすることが多く、車を動かすのはもっぱら週末だ。
「週に1度は必ず運転しますが、どこかに行く用事があるわけではありません。運転することが目的だから」
思えば購入しようとしたのも、移動の不自由さを埋めるといった目的があったわけではなかった。
「中年の危機って言うんですかね。親の介護や仕事に追われる中で、これまでの生活の延長線上にないことをやりたくなったんです」
そこで思い浮かんだのがMG Fの購入だった。


昔乗った車と同じ匂いがした
物江さんは福島県会津若松市で生まれ育った。
日常の移動は車が主流という環境だ。
実家にはマツダ ファミリアやスズキ ジムニーといった、小型で実用的だが「なんだかワクワクする車」があったそうだ。
そういった実家の車を乗った後、自ら購入したのはローバー ミニだった。
その後、上京することになり、東京に出てからは車のない生活が続いた。
都心に住んでいたことから10年以上、車の所有は考えすらしなかったという。
しかし40歳を過ぎ生活に疲れを感じた頃、地元の友人にすすめられてオープンカーの所有を検討し始めた。

息抜きの時間も必要だと思い、発売当時に気になっていたMG Fの価格を調べたところ100万円以下で購入できることがわかった。
早速、専門店に足を運びシートに座った。
その時、ふと懐かしい匂いがしたという。
「昔乗っていたミニと同じ匂いでした。同じローバー製だから、素材とか接着剤とか一緒なんですかね」
その匂いがミニに乗っていたときの思い出をよみがえらせてくれた。
あの時の楽しさをもう一度手に入れたいと強く思ったそうだ。

いつもの道が特別なものに
そうして購入したMG F。
週末は決まって屋根を開け、湾岸エリアを走らせる。
そこに見えるのは、これまで目にしてきた東京の風景とはまったく違うものだ。
「はたから見れば寒い日にわざわざ屋根を開けて、何してるんだって感じだと思うんです。でも、そんな日に飲む熱々のコーヒーは最高なんです」
オープンカーから見える広い空を見上げて、物江さんは満足そうにそう言った。
きっと欲しかったのは車そのものではなく、こんなふうに感じられる時間だったのだ。

どんなクルマと、どんな時間を?
昔の相棒と同じ匂いがする今の相棒
往年のスポーツカーブランド、MGが復活したのは1993(平成5)年のこと。まず登場したのはV8エンジンを積むロードスターモデルのRV8で、待望のライトウェイトオープンモデルMG Fがデビューしたのは1995(平成7)年だった。
1トン強の車重、ミッドに搭載された2種類の1.8LのDOHCエンジン、スプリングを用いないハイドラガスユニット+ダンパーのダブルウィッシュボーンサスペンションなどにより、これぞMG製スポーツカーというべき運動性能を得た。確かなコントロール性と適度なパワーで、操る楽しさを教えてくれる秀逸なスポーツカーという評価を獲得し、たちまち人気モデルになった。


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