コペンに乗る父よりカスタムにハマった娘が選んだのは走り仕様のトヨタ 86
2025/09/17

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
完成してもすぐ次に行きたくなるから、カスタムは終わりがない
86のイベント会場で仲良く談笑していた男女。聞けば2人は親子だという。この日は娘の阿部苺香(まいか)さんが愛車の86(ZN6)で彼氏とイベントに参加。お父さんの阿部一樹さんもコペンGRスポーツで遊びに来たという。

苺香さんは運転免許を取得後、トヨタ ヤリスクロスを購入。実は免許を取得する前から86が好きで、86に乗ると決めていたという。それなのになぜヤリスクロスだったのか。

一樹さん:その時は娘が社会人1年目でまだローンを組むことができず、私と妻が無利子でお金を貸すことになりました。でも、私たちも高額な車を買ってあげられるほど余裕があるわけではなかったので、「とりあえずこれにしなさい」と。
苺香さん:ヤリスクロスは乗りやすい車でしたが、スポーツカーが好きだったので何か違うなと思って。やっぱりカッコいい車に乗りたいじゃないですか。で、ローンが組めるようになってから自分で86を買おうと思ったんです。

苺香さんの車好きは完全に一樹さんの影響。一樹さんはこれまで日産 セドリックやホンダのUSアコード、トヨタ iQ、ホンダ ライフ、スズキ ワゴンRなど、様々な車に乗り継いできた。
今乗っているダイハツ コペンも、GRスポーツをチョイスしたことにこだわりを感じる。

一樹さん:元々は妻が乗る車を買おうと思っていたのですが、妻がヤリスクロスに乗ることになったので、なら僕も自分の車を買おうと(笑)。いろいろ見ている中でコペンのGRスポーツはパーツも豊富だし面白そうだと思って。最初はATにするつもりでしたが、どうせならMTの方がいいですよね。妻が運転することもあるので、妻の免許を限定解除してもらいました。

苺香さんは最初、GR86に乗ろうと考えていて、時間があればGRガレージに通っていたそうだ。ある日、母親とGRガレージに出かけたとき、カスタムされた86が展示されていた。苺香さんはその86に一目ぼれしてしまった。
その場で一樹さんに電話をしたが、一樹さんは難色を示したという。
一樹さん:苺香が欲しいという86はサーキット走行にも耐えられるくらい、ガチガチの仕様だったんです。機関系も仕上げてある状態なので、さすがに危ないんじゃないかと思いました。店長も「やめておいた方がいいと思う」と言っていましたが、もう娘は僕らの話は聞かなくなっていました(苦笑)。

苺香さんの熱意に押されて一樹さんはしぶしぶ承諾した。初めて自分で選んだ車。苺香さんは仕事が手につかなくなるほどうれしかった。納車翌日に友人たちが峠に行くというので「私も行ってくる!」という苺香さんを「運転に慣れるまではダメだ!」と全力で止めた。心配する父親の気持ちがよくわかる。
父親がここまで心配するチューニングカーを手に入れてしまった苺香さん。実際に運転してみて、どんなふうに感じているのだろう。
苺香さん:私にとっては2台目の車で、初めてのスポーツカー。これしか知らないからお父さんやお母さんの心配がよくわからなくて(笑)。GRガレージがしっかり仕上げてくれた車だからかもしれませんが、すごく運転しやすいんですよ。クラッチも私にとってちょうどいいところでつながってくれるから気持ちいいんです。

今回お会いした86のイベントもそうだが、一樹さんと苺香さんは2人でよく車のイベントに参加したり、ドライブを楽しんだりしているという。「僕らは友達以上、恋人未満みたいな感じですかね」と一樹さんが言うと、「げっ、それは最悪……」と顔をしかめる苺香さん。確かに父親から「恋人未満」と言われたら「げっ」となるだろうが、2人の仲の良さが伝わってくる。本当にうらやましい関係だ。
そんな2人に愛車の気に入っている部分を訪ねてみた。
一樹さん:本当に面白い車なので全部気に入っていますが、何か一つ挙げるとしたら燃費の良さですね。結構攻めた走りをしても18km/Lくらい走ります。困ったところを強いていうならハイオク仕様になってしまったことかな。見た目はノーマルですが中身に結構手を加えているので、ハイオクを入れた方が絶対にいいと言われました。
苺香さん:私も全部気に入っています。顔つきもシュッとしていてカッコいいんですよ。いちばん気に入っているところを挙げるとしたら……LSDかな。右左折時に結構ガコガコいうんですが、それが気持ち良くて。「LSD、利いてる~!」って盛り上がっています(笑)。

ちなみに、コペンのカスタムはまだ道半ば。世界に1台のコペンに仕上げるために、次はパンダカラー(白と黒の2トーン)にしたいという。
一樹さん:僕ら世代はやっぱりAE86に対する憧れが大きいのでね。さすがにリトラクタブルヘッドライトにはできないから、レビン仕様のコペンにしたいと思っています。
他にも前置きインタークーラーを付けたり、大きなリアウイングでドレスアップしたりと、カスタムの夢はどんどん広がっている。

一樹さん:カスタムは仕事を頑張った自分へのご褒美だと思っています。仕事を頑張って給料をもらって、その中からコツコツとお金をためて、欲しいものを買った瞬間にそれまでの嫌なことやつらかったことが吹き飛びます。そしてまた次の目標に向かって頑張ろうって思えるんですよね。
苺香さん:それ、すごくわかる。私もパーツを買いたいから仕事を頑張っているし、新しいパーツを付けると「やっぱ86最高」って思っちゃいますから。そしてまた次のパーツを買いたいので仕事を頑張る!
一樹さん:びただ困るのは、自分の中で完成形をイメージして、それが達成されると一気に熱が冷めちゃうんですよ。せっかく完成したのだからそこから走りを楽しめばいいのに、次の車を探してまた最初からカスタムしていく。カスタムは永遠に終わりがない沼です(笑)。
苺香さんもそんな父親の血をしっかり受け継いでいる。「私も『頭文字D』が好きだから今後はドリフトも楽しんでいきたい」と笑顔で話す苺香さんを一樹さんは少し心配そうに見つめるが、車に関することは父親がどれだけ止めても、突き進んでしまいそうだ。

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阿部苺香さんのマイカーレビュー
トヨタ 86(初代)
●年間走行距離/2万km
●マイカーの好きなところ/かっこいいエクステリアデザインとLSD
●マイカーの愛すべきダメなところ/運転はちょっぴり大変なところ
●どんな人にオススメしたい?/とにかく運転が好きな方

阿部一樹さんのマイカーレビュー
ダイハツ コペン(2代目)
●年間走行距離/2万km
●マイカーの好きなところ/カスタムパーツが豊富でずっと楽しめる
●マイカーの愛すべきダメなところ/カスタム沼にハマってしまうとこと
●どんな人にオススメしたい?/カスタム好きな人。公道で楽しみたいひと

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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