寡黙な父が初めての車に勧めてくれたフェアレディZ。今ではすっかり一人前の“車好き”に!
2025/09/24

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
フェアレディZってスポーツカーだったんだ……(笑)
「このシルバーとワインレッドの組み合わせ、キュンキュンしませんか?」
そう照れた表情で話す楓紗季さん。レースクイーンとして活躍する彼女は、実は平日は会社員という二刀流の顔を持つ。
「今まで車に興味はなかったんですよ。愛車に出合うまでは」
彼女の愛車はZ33型フェアレディZロードスター。納車するまでは“スポーツカー”という存在自体を意識したことがなかったという。

6年前、移動手段として車が必要になり愛車を探し始めた。人とかぶりたくないな……と悩んだとき、手を差し伸べてくれたのは父親だった。
実は、彼女の実家は中古車販売・整備を行う工場を営む“車一家”。日常的に車に囲まれて育ったのに、逆に身近すぎて「好き」という感情は湧かなかった、と苦笑する。
そんな彼女が突然「人とかぶらない車が欲しい」と言い出したことで、父親は「それなら」といくつか候補を見繕ってくれた。
「見せてくれたのはスカイラインやフェアレディZ、そして今の愛車でもあるZロードスターでした。父は口下手で顔には出さないけど、私が車に興味を持ったことをうれしく思っていたんだろうなって伝わってきましたね」
その中から、サイドビューやリアの「ぽてっ」としたデザインに引かれ、今の愛車を選んだ。
「恥ずかしい話、納車してからスポーツカーだと知りました(笑)」

彼女にとってこのZは日常の移動手段であり、買い物も仕事もこれ1台。乗り心地は硬めで、車内も狭く積載性も低いため、知人を助手席に乗せる機会はほとんどない。
また、納車時期がコロナ禍だったこともあり、どこを走っても街には彼女の愛車がポツンと1台。周囲の友人は軽自動車やトールワゴンに乗ることが多く、同じフェアレディを見かけることも少なかったため、当初は孤独感もあったという。
そんな中、コロナが落ち着き始めた頃にフェアレディZのオーナーたちが集う「群馬オフ」の存在を知り、思い切って参加。当日は40台ほどが集結し、自分しかいないと思っていた愛車が、こんなに! と感銘を受けた。
それをきっかけにフェアレディZの魅力にのめり込んだそう。
今なら堂々と言える「車が大好きです!」
すっかり車やドライブが好きになった楓さん。
「オープンにして夜ドライブしたり、大好きな『頭文字D』の聖地・榛名山や赤城山にふらっと走りに行くこともあるんです!」
父親ともドライブを楽しむそうで、1泊2日で箱根聖地巡礼をしたことも。大人になってから父とゆっくり語り合う時間は、とても感慨深かったと振り返る。


彼女のZは、ワインレッドの幌にシルバーボディという個性的な仕様。街中でも駐車場でもひときわ目立つ存在だ。
「個性を出したくて。納車前に幌を交換する必要があったので、せっかくだったらと好きなワインカラーを選びました。シルバーのボディは汚れが目立ちにくいかなって(笑)」
その他にも、オーディオをカスタム。配線を引き直し、音響を調整しつつナビとスピーカーを新調した。仕上がった音を聴いたときは、その素晴らしいサウンドに感動し、思わず涙が出たという。

「パワーウインドウが壊れて窓が全開のままになってしまったことがあって、そういうときに限って雨が降るんですよね(笑)。もちろんびしょ濡れになりました……。でもそれも、今となってはいい思い出ですね」
維持費や細かい故障は、正直ちょっと負担になることもある。しかし今ではそれすらいとおしいと感じる、「根っからの車好き」を公言するまでに進化(?)した。
最近はこの車に運転の楽しさを教わったことで、マニュアル車の運転にも挑戦したくなり、AT免許の限定解除まで行ったという。

彼女にとって愛車は単なる移動手段ではなく、6年分の思い出が詰まった“相棒”。
「将来どんなライフステージになっても、降りたくないですね」
そう語る笑顔には、これからもハンドルを握り続ける強い意志がにじんでいた。

▼検索条件
日産 フェアレディZロードスター(Z33型)
楓紗季さんのマイカーレビュー
日産 フェアレディZロードスター(Z33型)
●購入価格/109万円
●マイカーの好きなところ/コロンとしたフォルムが好きです! 特におしりがカワイイ!
●マイカーの愛すべきダメなところ/特になしです!!
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/車が欲しいけどかぶるのはイヤ、人と違う車が欲しい人。見た目だけで選んじゃうのも全然アリですよ

自動車ジャーナリスト
瀬イオナ
車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ。
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
日産
フェアレディZロードスター 3.5 社外マフラー/社外車高調/WEBER Sportsフルエアロ/社外アルミ18インチホイール/RECAROセミバケシート/KENWOODナビ/バックカメラ
本体価格222.2万円
支払総額238万円
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
コペンに乗る父よりカスタムにハマった娘が選んだのは走り仕様のトヨタ 86
“しごデキ”彼女の愛車はポルシェ ケイマン。車どっぷり人生は、偶然から必然へ!
日々のチョイ乗り車を探しているけど、EVは眼中にない! っていう方、損はさせないから聞いてほしい。日常使いでも超優秀な大容量EV「N-VAN e:」の話
「私らしさ」が詰まったN-WGNはお父さんからの贈りもの
ホンダ N-ONE e:がかわいすぎる! でも……EVはキツイなら「EVじゃないN-ONE」はいかが?
うちのアルトラパンはカワイイだけじゃない。ウサギ年女子が選んだちょっと変わったグレード
4ドアのGT-R仕様!? 若者が「令和のデートカー」として選んだ日産 スカイライン(R32型)
新型フィアット 600ハイブリッドにときめいた人必見!まだある、かわいいコンパクトSUV5選|あなたの推しは!?
「勢いで買っちゃった」ハタチのファーストカーは日産 スカイラインGT-R(32型)
500km走っても疲れない! GLAクラスはフッ軽ママの偉大なお供