トヨタ ランドクルーザーFJ▲2026年発売予定の新型車として発表されたランドクルーザーFJ。FJクルーザーの系譜を引き継いでいることは明らかだ

新型の発売でFJクルーザーにも再び脚光!?

2025年10月21、日ニューモデルとして「ランドクルーザーFJ」がワールドプレミアされた。

サイコロをモチーフにしたという直方体ボディはいかにも質実剛健。ボディサイズは全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mmとランクル250に比べてかなりコンパクトで、機動力も高そうに見える。

詳細はまだ発表前だが、2026年中頃の発売を予定しているという。他のランドクルーザー同様、大人気になることは間違いない。ところで“FJ”といえば、あのモデルがあるじゃない! そう、往年の名車FJ40系をモチーフに、格好かわいいデザインが与えられたFJクルーザーだ。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲2010年11月から2018年1月まで販売されたトヨタ FJクルーザー

「ランドクルーザーFJ」の“FJ”は「Freedom & Joy(自由と喜び)」の略だが、ボディ寸法は似ているし、デザインもどことなく近い。FJクルーザーはランドクルーザーFJの実質的な先代モデルと言っても過言ではないだろう。

ということで、今回は2018年に惜しまれつつ生産終了したFJクルーザーの魅力をプレイバック。モデル概要を振り返りつつ、現在の中古車状況はどうなっているのか、オススメの狙い方も解説していこう。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲5ドアでありながら、観音開きとすることで3ドアのように見せたスタイリングもFJクルーザーの特徴だ

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トヨタ FJクルーザー(初代)
 

モデル概要:悪路走破性能や耐久性も本格的

北米で先行デビューしていたFJクルーザーが日本市場に導入されたのは2010年11月。中央寄りに配置された丸いヘッドライトと、それを囲う角丸グリル、高めのウエストラインとあえて天地を抑え、直立させたウィンドウスクリーンなどは、かつてのランドクルーザー40系前期型をモチーフにしたものだった。

シャシーは4代目ランドクルーザープラドと共有しており、悪路走破性は非常に高い。頑丈なラダーフレーム構造と前ダブルウィッシュボーン式・後リジッド式のサスペンション、副変速機付きトランスファーといった伝統的な構造によって、類いまれなオフロード性能と高い耐久性が実現されている。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲ラギッド感のあるインパネ。前後オーバーハングが短く、ホイールベースも短いため運転は比較的しやすい

一方でホイールベースは4代目ランドクルーザープラドより短い2690mmとされた。ドアについてもセンターピラーレスの観音扉とし、リアドアのみでは開閉できない構造となっている。このあたりはファミリーユースよりもプライベートでの使用を意識し、スタイリングにも配慮した結果だろう。

搭載されるパワーユニットは4L V6ガソリン+5速ATの組み合わせで、2t近い車重を考えても十分な実力。4WDシステムは4代目ランドクルーザープラドがビスカスLSD付き&遊星歯車式の前後不等配分フルタイムなのに対して、FJクルーザーは伝統的なパートタイム式とシンプルだ。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲4代目ランドクルーザープラドとは異なり、カジュアルさやポップさが重視されたインテリア。写真は「カラーパッケージ」

グレードを増やすことで幅広いニーズに対応するのが昨今のSUVによく見られる傾向だが、FJクルーザーはあえてのモノグレード。その代わりにパッケージ車が設定された。主なラインナップは以下のとおりだ。

ベースモデル
マニュアルエアコンなど、シンプル装備の標準仕様。

カラーパッケージ
クルーズコントロールやカラードアトリムなどを装備したパッケージ車。他に専用ボディカラーとした「レッドカラーパッケージ(~2012年6月)」「ブラックカラーパッケージ」も設定。

オフロードパッケージ
ビルシュタイン製ショックアブソーバーやクロールコントロール(2012年7月~)、リアデフロックなどを装備したオフロード仕様。


ボディカラー変更やオプション追加などマイナーチェンジは何度か行われたが、外観や機能が変わる大規模な変更は生産終了となる2018年1月まで実施されなかった。バリエーションが限られていること、年式による違いが少ないことは、中古車を選ぶうえでむしろメリットとなるだろう。
 

 

中古車概況:今後の動向次第で相場が上がる可能性も

生産終了から8年弱。現在の中古車状況はどうなっているのか見てみよう。FJクルーザーの平均総額は2024年10月まで上昇傾向にあり、一時期は320万円近かったこともありやや高めの水準だった。

それが昨年末から下落傾向に入り、現在は283.9万円までダウン。新車当時の価格が314万~349.3万円であったことと他モデルの傾向を考えるとまだまだ高めの水準ではあるが、以前よりも手が届きやすくなったことは確かだ。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲2024年10月~2025年9月までの平均総額推移

一方、延べ掲載台数について今年に入ってから減少気味で、現在600台をやや下回っている状況。決して潤沢とは言えないものの、今ならまだ複数物件から選択できる余地がある、といったところだろう。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲2024年10月~2025年9月までの延べ掲載台数推移

FJクルーザーは他に代替となれるモデルがない車。それだけに根強い人気がありファンもいるため、ランドクルーザーFJ発売を機に注目度がさらに高まる可能性もある。流通量が大幅に増えることは考えづらいため、一度は下がった平均総額が再び上昇に転じることも起こり得る。

FJクルーザーを買うなら、もしかしたら今が好機なのかも。ということで次章ではオススメの狙い方を見ていきたい。
 

 

オススメの狙い方①:ベースモデルを総額200万円以下で狙う

中古車市場ではデビュー~生産終了まで、幅広い年式のモデルが流通しているFJクルーザー。価格重視で選ぶなら、必然的にデビュー年直後、2010~2012年式のベースモデルになるだろう。流通量は比較的豊富で、現時点での最安値は総額145万円前後

総額200万円までの価格帯で狙うとなると、走行距離は10万kmオーバーの物件が多くなる。ただ、FJクルーザーの耐久性についてさほど心配はいらない。前述のようにFJクルーザーのシャシーは4代目ランドクルーザープラドと共通であり、タフネスさは折り紙付き。世界の各地では数十万kmオーバーの個体が現役で活躍している。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲デビュー直後のモデルも外観や機能、装備内容は最終型とほとんど変わらない

もっともサスペンションのブッシュ類やショックアブソーバー、バッテリー、タイヤなど消耗品については、年式、走行距離に応じて劣化しているはずなので、物件選びの際には要チェックだ。

パーツ交換が必要になる場合も当然あるはず。初度登録から10年以上、10万km以上の物件を購入する際には、消耗品の交換費用も見積もっておきたい。
 

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トヨタ FJクルーザー(初代)×総額200万円以下
 

オススメの狙い方②:機能装備充実の「オフロードパッケージ」を探す

FJクルーザー本来の魅力といえば、やはりオフロード性能。デフロックなどの装備で悪路走破性能をさらに高めた「オフロードパッケージ」は、FJクルーザーを象徴するモデルと言えるだろう。

モデルライフを通じて設定されていたパッケージ車だけあり、カーセンサーnet上での流通量も比較的豊富。全体の1割程度を占めており、価格帯は総額160万円~となっている。

オフロード走行に特化したモデルであることを考えると、念のため下まわりにヒットした痕跡がないかはチェックしておきたいところ。だが、よほど大規模な損傷でなければ問題ないだろう。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲リアデフロックなどは後付けしにくいパーツだけに、最初から装備されているとありがたい

そもそもFJクルーザーで本格的な悪路走行をする人は多くない。そのうえ下まわりを少々擦ったくらいならビクともしない作りになっている。フロントのサスペンションやプロペラシャフトといった重要な部品に損傷跡がなければ大丈夫だ。

価格の一例を挙げると、2012年式・走行距離3.4万kmの「オフロードパッケージ」で総額309.2万円。当時の新車価格より約20万円+諸経費分が安い計算だ。
 

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トヨタ FJクルーザー(初代) × オフロードパッケージ
 

オススメの狙い方③:特別なモデル「ファイナルエディション」を狙う

生産終了目前の2014年7月~2018年1月には、「ファイナルエディション」という特別仕様車が設定されていた。外板色やシート中央生地の色、内装のガーニッシュを専用のベージュカラーとした仕立てだ。

現在カーセンサーnet上には20台弱ほど流通。比較的高年式のモデルを狙っている人は、選択肢のひとつに加えるのもアリだろう。価格帯は総額330万~600万円。例えば、2017年式・走行距離4.9万kmの物件なら総額379.9万円で手に入る。
 

トヨタ FJクルーザー(初代) ▲ベージュカラーは「ファイナルエディション」だけの専用色

人気の特別仕様車ということで相場は高めとなっているが、今後は手に入りにくくなる可能性も。特に高年式・低走行距離の物件を狙っている人はタイミングを逃さないようにしよう。
 

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トヨタ FJクルーザー(初代) × ファイナルエディション

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トヨタ FJクルーザー(初代)
文/田端邦彦 写真/トヨタ
※記事内の情報は2025年11月4日時点のものです。
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。