閑静な住宅街に潜む、跳ね馬と闘牛がいるガレージ【EDGE HOUSE】
2021/05/27
▲もしもあなたがフェラーリとランボルギーニを手に入れる幸運に恵まれたとしたら、どんなガレージを願うだろうか。閑静な住宅街に佇むH邸では、2台を愛でるために余計な装飾を一切排して柱や壁、色や凹凸も極力抑えた、ショールームのような美しいガレージを構えたまるでスーパーカーのショールームのような空間
ともにイタリアで生まれた美しい跳ね馬と闘牛を収める厩舎としてのガレージ。単に雨風をしのぐだけでなく、静かに佇む彼らの勇姿を眺められるショールームの機能が欲しいと思うのは当然かもしれない。
H邸の場合、余計なモノは一切、天井や壁に隠された。例えば、天井には照明はもちろん、エアコンや換気扇、それらの配線や配管が埋め込まれている。閉めたときに残るレールすらも嫌って、オーバースライダーではなく、シャッターが選ばれたほどだ。
視界をさえぎる柱や壁もない。背景が白と黒のモノトーンで統一され、そこにただ主役の2台のスーパーカーがスッと浮かび上がる。そんな極めてすっきりとした"厩舎"だ。ショールームのようなガレージの奥にある趣味部屋にも壁がない。唯一、床のタイルをガレージ部分のダークグレーとは異なり白くすることで、ここがガレージとは違うのだと分かる。
この一体感によって、ここにいると、まるで跳ね馬や闘牛の息づかいが聞こえてくるようだ。よく見ると、天井から吊るされている計6枚の枠のないガラスの引き戸で、趣味部屋を囲うようになっている。ガラス戸を閉めて、ここに籠もって仕事をしても、ふと視線を移せば、野暮な窓枠や柱にさえぎられることなく、2台の愛車を隅々まで愛でることができる。
▲天井にシャッターの収納部が埋め込まれ、シャッターを上げても、写真のようにガレージ天井から外側まできれいなフラットになる
▲愛車2台の他、ドゥカティとBMWのバイク、趣味の自転車2台を美しく飾ることができる。床はメンテナンス性を考慮してタイルに
▲H邸を設計したスタジオインデックス・オリジナルの跳ね馬オブジェ。背面のLEDの配線は壁の中を通すことですっきりと見せる
▲ガレージとはガラスで仕切られているだけの玄関ホール。白いらせん階段などガレージ同様にすっきりとしたモノトーンで統一されている
▲跳ね馬のオブジェの前に、天井に埋め込まれているスクリーンを下ろせば、天井に吊るしたプロジェクターを使って映画の鑑賞もできる
▲2階から下りてきた際の光景。玄関ホールのガラスの壁の一部は、ガラスの引き戸になっていて、ここから愛車へと乗り込めるH邸の訪問者もまた、さながら美しい庭のように、このショールームを眺めながら歩を進めることになる。玄関のドアを開ければ、右手に大きなガラスで隔たれた、ガレージが広がるからだ。美しいガレージを右手に玄関ホールの奥にある白いらせん階段を上れば、施主のいるリビングダイニングにたどり着く。
モノトーンでまとめられた2階の空間もガレージ同様、柱のない極めてシンプルでモダンなデザイン。南側にある大きなガラス戸の先にはテラスがあり、外の風景をあえて見せない白い壁がそびえる。
住宅街に建つゆえ、窓の向こうは周囲の住宅の2階部分が見えるだけ。それならばプライバシーを守りつつ、空から光や風をたっぷりと得ようということだ。のびやかな眺望を楽しみたくなったら、愛犬を伴って屋上へ上がればいい。
柱や壁のないガレージや、広々としたリビングダイニング、眺望を楽しめる屋上を可能にしたのは重量鉄骨造。
エクステリアも内装同様、この先何十年も愛着が持てるよう、一切の装飾を排してタイムレスなデザインにまとめている。跳ね馬や闘牛が健やかな日々を送れるガレージハウスは、同時に人間がいつまでも心地よく暮らせる家でもあるのだ。
▲たくさんの趣味を持つ施主のために、2階のリビングダイニングの隣にも、カメラ機材などを収められる趣味部屋が設けられている
▲2階のベランダ。外からの視界をさえぎる白い壁は、明かり取りの小窓と、空からの光を反射してリビングダイニングを明るく照らす
▲テレビ側の天井にもガレージ同様に大きなスクリーンが埋め込まれていて、ソファ上の天井にあるプロジェクターからの映像を楽しめる
▲人工芝とウッドデッキで覆われた屋上。照明やシンクも備えられているので、バーベキューを楽しむなど様々なくつろぎ方ができる
▲インテリア同様に装飾や色数の少ない、モダンなデザインのエクステリア。プライバシー確保のため、窓も最小限に抑えられている
▲アルミシャッターや玄関ドアなどは黒に統一され、外壁の白とのコントラストをなす。いつまでも飽きのこないタイムレスなデザインだ■所在地:兵庫県西宮市
■主要用途:専用住宅
■構造:鉄骨造
■敷地面積:118.20 ㎡
■建築面積:192.54 ㎡
■延床面積:70.88 ㎡
■設計・監理:松本敏治(一級建築士事務所・スタジオインデックス)
■TEL:06-6857-7574
※カーセンサーEDGE 2021年7月号(2021年5月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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