ダカールラリーからF1まで! アウディが電動化時代のモータースポーツを席巻する!?【EDGE Motorsports】
カテゴリー: カーライフ
タグ: アウディ / EDGEが効いている / 藤野太一
2023/02/14

アウディが見据える電動化時代のモータースポーツ
アウディはいま、電動化戦略「Vorsprung 2030」を推し進めている。これは2026年以降に投入する新型車はすべて電気自動車に、2033年を最終期限に内燃エンジンの生産を段階的に終了していくというものだ。
これにともないアウディのファクトリーチームとしてのモータースポーツ活動は、2020年シーズンをもってDTM(ドイツツーリングカー選手権)への参戦を終了。フォーミュラEからも、2021年シーズンを終えて撤退した。現在、2022年よりプロトタイプEVのAudi RS Q e-tronでダカールラリーに参戦している。

1981年にWRC(世界ラリー選手権)に初参戦し、アウディ クワトロで4WD革命をもたらしたアウディがふたたびラリーへ復帰を果たしたというわけだ。ダカールラリーは、合計約8900kmを走破する世界で最も過酷な砂漠のレースといわれるものだ。
2022年の大晦日から16日間にわたって開催された今年の大会には、アウディは3台のマシンを投入。伝説のWRCドライバー、カルロス・サインツを擁したものの、相次ぐトラブルに見舞われ1台のみの完走に終わっている。最終的にトヨタ GRダカールハイラックスT1+が2連覇を達成した。

2022年11月には、伝説的なラリーマシンであるアウディ スポーツクワトロ S1をモデルにしたプロトタイプEV「Audi S1 e-tron quattro Hoonitron」のスペックを発表。ラリードライバーであり、世界的なスタントドライバーとして知られるケン・ブロックがドライブし、ラスベガスの街をドリフトしまくる映像が公開された。
実はこのマシンとケン・ブロックが、今年のオートサロンに来場する予定だったが、ケン・ブロックは1月2日に不慮の事故で急逝。東京オートサロン直前の訃報だった。




アウディはモータースポーツ活動においても電気自動車に邁進するのかと思いきや、2022年8月、2026年からF1へ参戦することを正式発表した。これは2026年にレギュレーションが大幅に改定され、パワーユニットの電動化の比率が大幅に増加。内燃エンジンはCO2ニュートラルで持続可能な合成燃料を使用するなど、新たな技術規則が導入されることを見込んでのものだ。

現在アルファ ロメオの名を冠してF1に参戦するスイスのF1チーム、ザウバーの株式を取得し、2026年よりアウディのファクトリーチームとして参戦を開始する。新たなハイブリッドパワーユニットは、ノイブルク アン デア ドナウにあるAudi Sportの拠点で自社開発する。
このノイブルクは、ル・マンを走ったAudi R18 e-tron quattroをはじめ、DTM用のAudi RS 5 DTMやフォーミュラEレーシングカー、そして現在参戦しているダカールラリー用のAudi RS Q e-tronの生産拠点でもある。
すでにF1プロジェクトのために、新たに約3,000平米のビル建設がはじまっており、パワーユニットの開発のための最新のテストベンチが設置されるという。
さらに人事面でも準備が進められており、2023年1月付けで、昨年までマクラーレンF1チームを率いていたアンドレアス ザイドル氏がザウバーのCEOに就任。実はザイドル氏は、2000年代にBMWザウバーでF1に従事したのち、ポルシェのWECプロジェクトを率い、2015年から2017年までWECのタイトル3連覇、ル・マン24時間レース3連覇を達成。ポルシェのフォーミュラE活動にも従事したのち、マクラーレンF1チームに参加していた人物だ。ふたたびVWグループで辣腕を振るうことになる。
リアルなアウディのF1マシンが走行する姿を見るにはまだ数年が必要だが、バーチャルの世界では、ひとあし先にドライブが可能だ。Formula 1公式ゲーム『EA SPORTS F1 22』で、Audi F1ローンチカラーのショーモデルが登場している。

欧州メーカーは実にしたたかだ。アウディは2026年以降に投入する新型車はすべて電気自動車に、といいつつも、その一方でF1への参戦を開始する。モータースポーツを通じたマーケティングも、内燃エンジンの可能性も、まだまだ探求していくというわけだ。

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