進化し続ける日本生まれの自動車イベント! 「オートモビル カウンシル2023」で見つけた注目すべき車たち!!
2023/04/29

世界中で自動車イベントの存在理由が問われるなか進化し続ける!
人や街、社会と同じく、イベントもまた成長し衰退する。緩やかに、けれども目に見えて。
世界の名だたるモーターショーが衰退し、自動車イベントそのものの存在理由が問われる中、成長しはじめた自動車イベントをここ日本で体感できることほど嬉しいことはない。
今回で8回目となった「オートモビル カウンシル 2023」が4月14日から16日の3日間、幕張メッセにおいて過去最大規模で行われた。テーマをこれまでの「クラシック ミーツ モダン」から「クラシック ミーツ モダン&フューチャー」へと“マイチェン”しての開催にその“進化”が見てとれる。
過去と現在のみならず、未来をも見据えていこうという主催者の意気込みであり、3つ揃ってこそ真にヘリテージの醸造、自動車文化の創造であることを意識したものだと思う。

その象徴的なプレミアがあった。愛知県に本拠を置くエンジニアリング企業のAIM(エイム)が、元日産デザイントップの中村史郎氏率いるSNDPと組んで発表した次世代スポーツカーのコンセプト、「EV SPORT 01」だ。
AIMは自動車メーカーやティア1級サプライヤーにエンジニアを派遣する企業であり、以前より自社での開発能力に磨きをかけてきた。自社製エンジンでル・マン24時間耐久レースを戦い、ピュアなガソリンエンジン搭載車で最高位を獲ったこともある(2008年から参戦して3年連続完走。2010年は総合4位でガソリンエンジンで第1位)。
エンジン開発で頂点を極めた後、次世代を見据えて電気モーター開発にも取り組み、APM140、そしてAPM200と高性能モーターの開発に成功した。モーターを作ったのなら次は走る車を……。自動車開発に関わる派遣型のエンジニアリング企業だからこそ、自社の人材が経験を積み新たな技術を学んで腕を磨く循環を作りたい、AIMという会社に夢と誇りを持ってほしい。社長の鈴木幸典氏は「自動車メーカーになりたいわけじゃないんです。私たちの技術力を見てほしい」と語る。
「60年代のスポーツカーに憧れた世代が素直にかっこいいと思ってくれるようなスタイルを若いデザイナーが描いてくれました」と中村氏。AIMが自力で作り上げたBEVのベアシャシーにカーボンモノコック製のボディパネルを被せて作り上げた。床下にバッテリー積むゆえ、ややもすると腰高に見えそうなところを美しいライン構成とルーフデザインの工夫によって見事なスポーツカールックスに仕立てている。インテリアデザインもまた、車好きに刺さる。事実、クラシックカー好きが多く訪れるこのイベントでも「こんなEVなら欲しい」という声をたくさん聞いた。



もったいないことに今のところ市販の予定はない。「少量生産ならあり得るでしょうけれど、認証の壁は大きい」(鈴木氏)。代わりと言ってはなんだけれど、AIMには次のプロジェクトも控えており、それはもっと現実的な電動コミューターに関係するらしい。もっともその昔から「モーターショーでの評判があまりに良くて市販化を決定」などという例はたくさんある。ランボルギーニ ミウラなどはその際たる例だろう。
クラシックとモダンの展示では、主催者によるテーマ「ポルシェ 911の60周年、初期ナローからカレラGTまで」と「エンツォ フェラーリ生誕125周年記念、フェラーリ スペチアーレ」が圧巻の一言だった。もちろん、メーカーによる最新モデルの披露や過去最大の出店数となった42社によるヘリテージカー販売も相変わらず本イベント最高のコンテンツであり続けている。



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ポルシェ 911 × 全国



▼検索条件
フェラーリ × 全国文化的な発展を目指す姿勢は車両展示のみならず、コンサートやアート展示にも積極的に取り組んだことからうかがえよう。
幕張メッセのカーイベントといえば「東京オートサロン」がある。方向性としてはその対極に位置すると言っていい「オートモビル カウンシル」。いずれも車を愛する自動車イベントであることに違いはない。「オートモビル カウンシル」には「東京オートサロン」と並び立つ、日本の代表的な“車文化イベント”に成長してほしいと願っている。
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