“最後のイベント”で開発者たちが語る、ルノー・スポールの車作りの思想とは?
2023/12/16

電動モデルにも受け継がれるルノー・スポールのDNA
ルノー・ジャポンの主催により「R.S. アルティメットデイ」が袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されたのは11月25日のこと。当日は寒風が吹きすさぶ中、ルノー・スポール(R.S.)やアルピーヌのファンが会場に集結。参加車両は優に100台を超す一大イベントとなった。

このイベントをルノー・ジャポンは「ルノー・スポールのパフォーマンスを存分に楽しめるサーキットイベント」と位置づけていて、ルノー・スポール、ゴルディーニ、アルピーヌの各モデルだけが参加可能なサーキット走行会の「ルノー・スポール・カップ」を筆頭に、ルノー、アルピーヌの車両であれば誰もが参加可能なパレード走行の「オール・ルノー・ラン」、テストドライバーが運転するルノー・スポールに同乗できる「ルノー・スポール・アルティメット・テスト」といった様々なサーキット・アクティビティを実施。その他にもガレージセールやルノー・スポールの最終モデルであるウルティムの全ボディカラーを展示するなどといった催しが行われた。
中でも、この日、最大の呼び物となったのが、ルノー・スポールのシャシー開発責任者であるフィリップ・メリメ氏、そして開発テストドライバーのロラン・ウルゴン氏が会場を訪れ、同乗走行のドライバー役を務めたり、トークショーを繰り広げたりしたことだった。


ここでは、メリメ氏とウルゴン氏が語った言葉から読み取れるルノー・スポールの車作りの思想について、その一部をご紹介しよう。
まずメリメ氏は、車作りに対する情熱について次のように語った。
「車を開発する際には、目標などを仕様書として事前にまとめておきます。そして、仕様書に記された項目をすべてクリアできたとき、車の開発作業も終了となります。それでも、自分の中では『この車ではやりきれないことが残った』とか『次の車は、もっとこんなふうに開発したい』などの思いが募り、それが次の車を開発するモチベーションとなります」
つまり、ひとつの開発を終えたときには次の車の開発が始まっている、ということなのだろう。一方で、ウルゴン氏は次期型モデルを開発する際の指針について、このように語った。
「自分たちの開発作業について振り返るとき、まずはメディア向け試乗会のあとで発表されるインプレッション記事の内容を重視します。しかしそれだけでなく、お客さまから届けられた声にも耳を傾けるようにしています」
これまで常に骨太な車を作ってきたことで知られるルノー・スポールだが、彼らは市場からの声を大切にするブランドでもあったようだ。
そして、ルノー・スポールが特に重視してきた市場が、私たちの住むこの日本であるという。
「私たちはヨーロッパの道ばかりで車を開発していると思われているかもしれませんが、数年前から日本の道を積極的に走って、その経験を車の開発に反映してきました」とメリメ氏。「ルノー・ジャポンの車で鈴鹿、京都、大阪などを訪れたことがありますし、箱根ターンパイクには何度も足を運びました。先代メガーヌ R.S.の後期型からは、開発仕様書の項目として日本の道路でのテストを必ず盛りこむようにしてきました」
そうした開発を通じて採用されたのが、現行型メガーヌ R.S.に搭載されたハイドローリック・コンプレッション・コントロールだった。これは、サスペンションダンパーの内部にもうひとつダンパーを設け、ここにバンプストップラバーの機能をもたせるというもの。結果として日常的な走行時の乗り心地を改善するだけでなく、限界走行時には大きい入力にも余裕をもって対応できる減衰率を確保できたという。
実は、ルノー・スポールとして開発した最後の車が先ごろ発売されたメガーヌ R.S. ウルティムとなり、メリメ氏やウルゴン氏らの開発陣は今後アルピーヌの製品開発で腕を振るうことになる。
「これまで20年間にわたってルノー・スポールで車を開発し、ノウハウを蓄積してきました」とメリメ氏。「今後、私たちはアルピーヌの開発を担うことになりますが、開発メンバーはまるで変わりません。ルノー・スポールのままです。したがって、今後登場するアルピーヌの電動モデルにも、私たちルノー・スポールのDNAが息づいていることになります」

ちなみに、ルノー・ジャポンが開催するルノー・スポールのイベントも今回が最後。とはいえ、今後2年ほどで登場するとみられるアルピーヌの電動化モデルにも、メリメ氏やウルゴン氏らが培ってきたノウハウがそのまま受け継がれるはず。新世代アルピーヌがどんな車に仕上がるのか、実に楽しみだ。




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