6月は北イタリアでスポーツカー三昧! “モーターヴァレー”のスーパーカーブランドが一堂に会する一大イベントとミュージアムへの誘い【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
2025/06/02
▲スーパーカーメーカーやコンストラクターなどが、一般観光客に向けて魅力的なコンテンツやコラボレーションなどを行う一大イベント「モーターヴァレーフェスト」。こちらは2024年のひとコマスーパーカーという特殊なカテゴリーはビジネスモデルとして非常に面白く、それ故に車好きにとって興味深いエピソードが生まれやすい。しかし、あまりにも価格がスーパーなため、多くの人はそのビジネスのほんの一端しか知ることができない。今回はスーパーカーメーカーやその裏方が集まる“聖地”モーターヴァレーで開催される一大イベントを紹介する。
“聖地”のブランドと裏方が一堂に会する一大イベント
北イタリアはピアチェンツァからボローニャにかけてのアペニン山脈に沿った細長い地域の自動車産業を称してモーターヴァレーと称す。モデナを中心としてフェラーリ、マセラティ、ランボルギーニ、パガーニなどのカーメーカー、ダラーラなどスポーツカーの開発の重要な裏方(ダラーラ ストラダーレのメーカーでもあるが)、そしてドゥカティといった二輪メーカーもある。イタリアの自動車産業でも、スポーツカーやレースカーなどが集結した重要な聖地である。
各ブランドは互いにライバルでもあるが、マニアだけでなく、一般観光客に向けて魅力的なコンテンツを用意し、地域全体を活性化させるため、お互いにコラボレーションも行っている。その中の一大イベントが、今年は6月5日~8日まで、モデナを中心として開催される「モーターヴァレーフェスト」である。当イベントは7回目を迎え、各ブランドは週末もファクトリーツアーをオープンし、モデナサーキットでのパフォーマンスやオーナーズクラブによる展示やミーティング、パレードランやコンクールデレガンスなどおよそスポーツカーに類するアクティビティすべてを集中して楽しめる絶好の機会である。
また、当地は世界遺産のモデナ大聖堂や、食の巨匠マッシモ・ボットゥーラのオステリア・フランチェスカーナを始めとして、食文化のたいへん豊かな地でもあるので、ファミリーで楽しむのも悪くない。昨年公開された映画『フェラーリ』も実際にモデナ中心部で撮影が行われているから、映画内の聖地ツアーもまた面白い。エンツォ・フェラーリが毎日通っていた床屋も健在であるから、貴殿も髪を整えてもらってはいかがだろうか?
そして6月17日~21日には世界最高峰の公道クラシックカー・ラリー、ミッレミリアが開催され、当エリアを縦断していく。この6月に北イタリアでスポーツカー三昧も悪くない。
▲「モーターヴァレーフェスト」ではパレードランやコンクールデレガンスなど、様々な催しが行われるブランドの “世界観”をミュージアムで堪能する
この時期にうまく旅程が合わなかったとしたら、じっくりとミュージアムのはしごはいかがだろうか。フェラーリはマラネッロとモデナの2ヵ所。ランボルギーニは本社内のオフィシャル・ミュージアムとボローニャのフーノにあるランボルギーニ創始ファミリーによるムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ。マセラティのセミ・オフィシャルとも言える通称マセラティ・ミュージアム=コレッツィオーネ・ウンベルト・パニーニは現在移転改装中だが、6月のモーターヴァレーフェストに合わせてオープン予定だ。マセラティ本社のショールームも開放されており、時々にレアなモデルが並び、オフィシャル・アイテムの販売も行われている。ダラーラ・アカデミーでは当地のモータースポーツの歴史を俯瞰することができる。
それ以外にも、オラチオ・パガーニ・ミュージアムやスタングェリーニ・ミュージアム、ドゥカティ・ミュージアムなどとても1日では回り切れないレベルである。これらの詳細はまとめて記事終わりにリストアップしておくので参照いただければと思う。
▲マラネッロのフェラーリ本社に併設されているムゼオ・フェラーリ移動はレンタカーが便利だが、モデナのムゼオ・エンツォ・フェラーリ(Museo Enzo Ferrari)とマセラティ本社ショールームはお互い徒歩数分で、モデナ駅や市街中心部からは徒歩圏内でもある。また、モデナとマラネッロ両ミュージアム間にはシャトルバスも運行しており、経路の途中では当地出身のルチアーノ・パヴァロッティ博物館なども経由しているから、それを利用するのも手である。
ちなみに、パガーニ・ミュージアムはモデナとボローニャの中心部の少々交通の便の悪いところにあるが、少し前に近隣の鉄道駅間のシャトルバス運行も始まっている。宿泊や、食に関してはまた機を改めてご案内したいと思う。
▲パガーニ本社に併設されるミュージアムさて、4月にモーターヴァレー地区の取材を行ったが、もちろんモデナのムゼオ・エンツォ・フェラーリの定点観察はオープン以来欠かしてしない。今回の企画展は「SUPER CARS」だ。250GTOから始まってF40LM。そしてその間にはジル・ヴィルヌーヴがステアリングを握ったフェラーリ初のターボチャージドF1の126CK、そしてF80のプロトタイプまでが鎮座する。なるほど、フェラーリならではのダイナミックな展示ではないか。「スーパーカーの進化がテーマであるのはもちろんですが、私たちは過去のレアなアーカイブなども展示しています。こういったフェラーリならではの世界観を楽しんでほしい」とは館長のピナッティ・モラーノ氏。この展示は2026年の1月26日まで続く。
現在、日本にも多くのインバウンド旅行者が押し寄せており、観光地は激混みだ。それなら、梅雨もない北イタリアへのスーパーカー・ツアーを検討してみてはいかがであろうか?
▲エンツォ・フェラーリの生家を中心とした博物館である、モデナのムゼオ・エンツォ・フェラーリ
▲広いホールを備えたムゼオ・エンツォ・フェラーリでは様々な企画展を開催。こちらは今回の「SUPER CARS」で飾られている499P
▲2023年にリニューアルしたアウトモビリ・ランボルギーニ・ミュージアム。本社工場に併設されている
▲ランボルギーニの創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニの息子トニーノが運営するムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ
▲ダラーラ本社にはダラーラ・アカデミーという博物館が併設されている
▲モデナにあるチーズ工場の一画にあったマセラティ・ミュージアムと呼ばれているコレッツィオーネ・ウンベルト・パニーニ。移転改装中で6月にリニューアルオープン予定 
自動車ジャーナリスト
越湖信一
年間の大半をイタリアで過ごす自動車ジャーナリスト。モデナ、トリノの多くの自動車関係者と深いつながりを持つ。マセラティ・クラブ・オブ・ジャパンの代表を務め、現在は会長職に。著書に「フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング」「Maserati Complete Guide Ⅱ」などがある。
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