【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、初代ミニを再考する
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2012/10/31


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今、あえて「初代」を選ぶ理由
今、世間のガイシャ愛好家筋からナメられている車のひとつに、初代ミニがある。アレック・イシゴニス先生の設計による元祖ミニのことではなく、BMWにより復活した「今のミニ」の初代モデルのことだ。
02年に「ミニ」が復活してバカ売れしたのはいいが、バカ売れしたがゆえに素人筋にまで大量に行き渡り、存在が陳腐化。そして一部個体は素人さんの雑な取り扱いによりコンディションが荒れ、さらには2世代目の出来が非常に良かったことで、「今にして思えば初代はアレだったかもね」との評価もあった。初期モデルのCVTが日本の交通事情にイマイチ合っていなかったのも、初代が愛好家筋からナメられる一因だろう。
しかしわたしは、初代は今でも積極的に選ぶ価値があると信じている。
確かに、クライスラーとの合弁会社で製造した初代の「トライテック・エンジン」は、後のBMW+PSA製と比べれば少々へっぽこだ。いや、へっぽこというのは言い過ぎで、2代目が積むエンジンが余りにもいい感じなので、相対的にへっぽこに感じられる、ということだ。そして足回りも、初代がゴーカートだとしたら2代目は「プレミアムコンパクトのそれ」である。しなやかに、よく粘る。
「いいとこないじゃん、初代ミニ!」
ここまで読んだあなたはそう言うかもしれない。そうなのかもしれない。しかし、わたしが言いたいのは“ミニという車に何を求めるか”ということだ。
微妙な「欠落」が逆にオンリーワンな味になる
いわゆる「良い車」が欲しいなら、多少のお金を足して2代目を買ったほうが満足できるだろう。デカすぎるセンターメーターこそどうかと思うが、2代目はほぼ死角のない美点だらけのプレミアムコンパクトである。
しかしそれらはすべて、どことなく「その他の輸入プレミアムコンパクト」でも手に入れられそうな美点であることは指摘しておかねばなるまい。
その点、初代には、特にCVT/ATではなくMTを採用する個体には、「代替が利かない独自の魅力」がある。スポーティとは言い難いエンジンを、MTを駆使していい塩梅にブン回し、やや突っ張る足で強引にコーナーを抜けていく。そこには、優秀な機械に「乗せられている」のではなく「乗っているのだ」という歓びが確実に存在する。もしもそういった方面の魅力を車に求めるのであれば、初代ミニはヨイショ抜きで「捨てたものじゃない」のである。
前述のとおり、今やコンディション的に荒れている個体も多い初代ミニではある。しかしきちんと探せば、100万円前後でも結構なお点前のMTモデルを探すことが可能だ。2代目と比べてしまった際の多少のネガは、その価格の手頃さに免じてぜひお許しいただきたいわたしである。って、誰に向かって許しを乞うているのかよくわかりませんが!
ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
元祖ミニっぽさを今に残す(?)初代ミニ、再注目の機運です!
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