大切なのは「適材適所」。だからわたしはジュリアではなく100万円台のジュリエッタを選ぶ
カテゴリー: クルマ
タグ: アルファ ロメオ / ハッチバック / AT / FF / ジュリエッタ / ジュリア / EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2016/05/30
▲高値相場が続いた時期もあったが、最近は100万円台半ばぐらいの車両価格でも十分狙えるようになってきたアルファロメオ ジュリエッタ(前)。ちなみに後ろの車は往年の初代ジュリエッタ「高い物=自分にとっていい物」とは限らない
私事で恐縮だが、このたび草野球用のグローブを買い替えた。数十年ぶりに野球を再開した際、最初に買ったのは結構な高級品で、玄人向けの設計がされているモノだったのだが、それを使うとどうしてもエラーが頻発してしまう。そしてあるとき「……これはわたしのせいではなくグローブのせいなのでは?」と思うに至り、買い替えを決断したのだ。
新たに買ったのは最初のグローブとは真逆のコンセプトとなる品で、つまり比較的安く、どちらかといえば素人向け設計のグローブだった。そしてこれが完全にハマり、現在の筆者は「エラーが少ない中年内野手」としての名声と栄光を(ごく一部で)ほしいままにしている。
今にしてわかるのは「決して最初のグローブに問題があったわけではなく、下手クソなくせに上級者向けプロダクトを安易に選んでしまった自分に問題があった」ということだ。
▲手前が新たに買い直したもの。ローリングス・ジャパンのオールラウンド用で、決して高級なグローブではないが、現在の筆者には合っている。最初に買った奥の黄色いものは、品物としては非常に素晴らしいのだが、上級者向けの作りであるため、筆者の実力では使いこなすのが難しかった草野球とは無関係な場所ゆえ詳細は省くが、最初に買ったグローブは捕球がやや難しい作りである半面、「捕球からの送球」は鬼のように素早く行える設計だった。しかし「捕球そのもの」がままならない中年初心者がそんなモノを使っても無意味であることは(今にして思えば)明白。運動オンチの中年選手に必要なのは「玄人向けの高級グローブ」ではなく、「あまり高級じゃなくてもいいから、とにかくまずはしっかり捕球できるタイプのグローブ」だったのだ。
物事は「適材適所」であることが何よりも重要で、やみくもに「高い物」を買えばそれだけで幸せになれるわけではないという当然の事実を、今さらながら学んだ筆者であった。
新型ジュリアに嫉妬の炎。でもよく考えたら自分には不要な車だった
なぜ車と無関係な与太話をツラツラ述べたかといえば、過日、アルファロメオのブランニューモデル「ジュリア」国際試乗会開催の報を受け、非常にギリギリとした気持ちになったからだ。
ご承知のとおり新型ジュリアは、15年に本国で発表された最新の4ドアサルーン。トップグレードの「クアドリフォリオ」は最高出力510psのV6ツインターボを搭載し、最高速度307km/hという超絶性能。そしてジュリアはその造形も、下の写真をご覧いただければわかるとおりの妖艶っぷり。……すべてに感嘆せざるを得ない、素晴らしく魅力的なサルーンだ。クアドリフォリオの本国価格は7万9000ユーロとのことなので、おそらくは1000万円前後で日本に投入されるのだろう。
▲日本仕様はまだ導入されていないが、過日イタリアで国際試乗会が行われたアルファロメオ ジュリア。写真はV6ツインターボを積む最上級グレード「クアドリフォリオ」
で、そういったモロモロの情報が、国際試乗会参加中の知人モータージャーナリストからSNS経由でリアルタイムに入ってくるにつけ、筆者は非常にギリギリとした気持ちになってしまったのだ。
「どうせオレはこんなの買えねえよ……」
「ていうか呼ばれてねえよ、試乗会。呼ばれる立場の人はいいよなぁ……」
「でも欲しいよなぁ……」
「ていうか買うか、長期ローンで!(無理か?)」
……等々のクサクサした気分になってしまったわけだが、そのときにハタと思い出したのが、実は冒頭の野球グローブをきっかけとする学びだった。
「うむ、よく考えればジュリアを買う必要はないな。なぜならばオレの生活に1000万円級のジュリアというのはまるで適材適所じゃないからだ。それよりも……例えばだけど100万円台後半ぐらいでアルファロメオのジュリエッタを買って気楽に乗る方が、おそらくは幸せになれるだろう」
▲11年11月から販売中のアルファロメオ製FFハッチバック、ジュリエッタ。エンジンは弟分であるミトにも搭載される1.4Lマルチエアターボと、1.8L直噴ターボ。変速機は6速TCTと6MTを用意少なくとも自分はジュリエッタでいい。いや、ジュリエッタ「が」いい
もちろん、世の中には1000万円級のジュリアがフツーに似合う生活を送っている人も多いことは知っている。それはそれでもちろん素晴らしいことだ。そして自分自身に関しても、信販会社に土下座すれば長期ローンで購入できる可能性もゼロではないだろう。
しかし「そんなことしてどうすんの?」という話である。
あんなにも男前なアルファロメオ ジュリアに乗るならば、車以外の部分もすべて男前じゃないことには話にならない。つまり住まいも今住んでいるような貧乏長屋ではなく、湾岸かどこかの豪華なタワマンに越さねばならないし、日頃の洋服もアディダスのジャージではなく、よく知らないが細身のジャケット+パンツとかじゃないとマズいだろう。もちろんイタリー製だ。駐車場は現在の野っ原パーキングではなくタワマンの地下にあるやつを借り、車で出かける場所も近所のファミレスではなく、海の方の「なんとかハーバーCAFE(since 1968)」とかである必要がある。
……そういった生活はわたしにはできないし、そもそもやりたいとも思えないのだ。
▲日本仕様の価格は未発表だが、おそらくは1000万円前後になるはずのジュリア クアドリフォリオ。そんな車に乗るのであれば、生活全般の「環境」がそれにふさわしいものでないと滑稽なだけだであるならば、ジュリア クアドリフォリオに関してはいち車好きとして「へーっ、すごいねえ!」と純粋に感嘆し、そしてそれをステキに購入維持できる富裕層に対しては素直にその実力と胆力とを賞賛する。しかし自分自身としてはそれらに対して何ら卑下することなく、近頃は良質物件もかなり安く買えるようになってきた中古のアルファロメオ ジュリエッタを総額200万円弱ぐらいで胸を張って購入し、爽快かつラクな気分で乗り回したい。
それでいいのだ。いや、それが、いいのだ。
▲性能だけを見ればジュリア クアドリフォリオとは比べるまでもないジュリエッタ。でも、考え方は人それぞれでしょうが、筆者としてはジュリエッタぐらいの性能と存在感がちょうどいいんです!【関連リンク】
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