CVTの運命やいかに、多段AT代替機構が台頭か
2017/08/16

スズキ、CVT多用を見直しか
2016年10月に提携に向けた検討を開始し、2017年2月に覚書きを締結したトヨタとスズキ。トヨタは「時代の変化に対応するチカラ」を、スズキは「先進技術と将来技術」を追求すべく手を結ぶに至ったという。
両社の提携は、まだ目に見えるような成果や発表はないが、水面下では早くも動きが出始めているという。そのひとつに、スズキが軽自動車用のCVTをアイシンAW製に切り替えるのではないかとのウワサだ。これまでスズキは、長らく軽自動車とコンパクトカーに、副変速機付きCVTを多用してきた。ところが、スイフトおよびバレーノの各1Lターボ車とエスクードでは、CVTを採用せずに6ATを選択した。
また、SX4 S-CROSSは、2017年7月のマイナーチェンジで、エンジンはそのままに、トランスミッションをCVTから6速ATに変更している。もしかしたらスズキは、日本市場がメインの軽自動車を除き、2ペダルのイージードライブ仕様を順次6速ATに変えていくことを考えているのかもしれない。
モーター内蔵のトランスミッション
スズキがソリオとスイフトで採用した、ストロングハイブリッド仕様では、MTベースの5速AGSに電気モーターが組み合わされている。この機構は非常にユニークで、変速時に避けられないAGSのトルク抜けをモーターで補うことによってスムーズさを実現。自動MTにありがちな息継ぎを感じず、快適に運転できるというもの。
いま、欧州では次世代トランスミッションの候補として、モーター内蔵DCTが注目を集めつつある。DCTとはクラッチプレートが2枚組み込まれて、片方のクラッチが偶数段、もう片方で奇数段が制御される変速機だ。トルクコンバーターを滑らせてつなぐATと違い、発進や停止の際にギクシャクするという欠点はあるが、基本的な構造はMTで、駆動力伝達効率は98%に迫る。
このDCT特有のギクシャクを解消するため、モーターを発信装置(スターティングデバイス)に用いるアイデアが具体化してきた。これには副次的な効果もあり、ギアとギアの間の変速比をモーターを使うことで擬似的に作り出せば、例えば4速ギアであったとしても、広い速度レンジに対応した省燃費変速機が実現可能になるのだ。
前述したスズキのストロングハイブリッドは、MTベースで考え方は異なるが、モーターがトランスミッションの足りない部分を補うという意味では似ているかもしれない。
ギア数(段数)が少なければ、トランスミッションそのものが、軽くコンパクトに仕上がるのは想像に難くない。業界では「今後、10速以上の多段トランスミッションは不要になる」とも言われ始めたくらいだ。このモーター一体型トランスミッションの開発では、効率の良いDCTをベースにする例が多いようだ。


独自のチェーン式CVTにスバルが見切りをつける?
スバルは2009年に発表した5代目レガシィから、チェーン式CVTのリニアトロニックを採用している。このチェーン式は、一般的なベルト式と比べてプーリーを小さくすることができ、コンパクトに仕立てられることが長所だが、逆にノイズの大きさが弱点になっている。
このリニアトロニックに見切りをつけて、トランスミッションを別の方式に替える案が浮上しているらしい。こちらでもモーターを組み込んだミッションが取り沙汰されており、先に述べたDCTベースの可能性も考えられるが、まだ実用化までには時間を要しそうだ。
余談ながら、すでに販売が終了した先代XVハイブリッドでは、エンジンの動力を受け入れる、プライマリープーリーの後方にモーターが設けられ、独自の電動化技術が確立されていた。北米を中心として、企業平均燃費、いわゆるCAFE対応は、今後も避けて通れないため、新たな電動化技術の実現も見越した、トランスミッション一新が検討されているのかもしれない。

※2017年8月16日現在における予測記事です
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