【図説で愛でる劇中車 第7回】“エヴァンゲリオン”シリーズに登場する2台のスポーツカー「アルピーヌA310」と「コスモスポーツ」
2019/10/28

国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第7回は、「新世紀エヴァンゲリオン」として1995年にTVアニメの放送を開始したのちも、世紀をまたいで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」として新作映画が製作され続けている、“エヴァンゲリオン”シリーズの劇中車をお送りいたします。
現在でも人気が続く「エヴァンゲリオン」
この記事を書いていて自分でも驚いたのですが、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がこの世に現れたのは1995年。もう24年も前の話なのですね。エヴァンゲリオンを初めて見たときの衝撃は、今でも忘れられません。
現実の延長軸に構築された独自の世界観、謎が多くファンがいろいろと憶測できる設定、使徒と呼ばれる異形の敵、それに対抗しうる唯一の手段として登場するEVA(ロボットのような巨大な人造人間)、個性的な登場人物、一度聞いたら忘れられないオープニング曲、壮大なBGM、そして圧倒的かつ緻密な作画クオリティなど、大ヒットを生み出した理由には、枚挙にいとまがありません。
TVアニメ終了後も映画版が製作された他、21世紀に入って“リメイク版”の「ヱヴァンゲリヲン新劇場」の製作も開始され、上映のたびに大きな話題を呼んでいます。メディアミックスは現在でも行われており、高い人気を継続しています。
レストア済みでローンはあと33回? 「アルピーヌ A310」
エヴァンゲリオンシリーズでは使徒と戦う特務機関NERV(ネルフ)が物語の中心で進むため、兵器や輸送手段としての車は頻繁に出ますが、一般車はモブシーン以外あまり登場しません。
そのため今回取り上げた2台はとても印象が強いです。1台目はメイン登場人物で、NERVに所属するEVAの戦闘指揮官・葛城ミサトが乗っていた「アルピーヌ・ルノー A310」です。
TV版第1話で主人公・碇シンジをこの車で迎えにくるも、第3使徒・サキエル襲来の余波を受けていきなりボロボロに。「レストアが終わったばかりで33回ローンが残っている」というミサトのセリフが有名(?)です。
アルピーヌ・ルノー A310は、軽量小型なピュアスポーツだったA110から一転し、2+2の4人乗りGTカーへとキャラクターを変更したスポーツカーで、1971年に登場しました。
設定資料や作画から見ると、1977年以降の「A310 V6」に、初期型で特徴的な「6連ヘッドライト」を組み合わせているようです。また、設定では「右ハンドル化」「電気自動車化」が行われている、とされています。

“NERV官用車”の「コスモスポーツ」には、とある秘密が……
A310は新劇場版でも活躍していますが、第2作「破」で大破してしまいます。そこでミサトは「マツダ コスモスポーツ」に乗り替えます。
コスモスポーツは“愛車”ではなく、「NERV官用車」という設定で、左右ドアにNERVエンブレムが貼られ、ボディ上面にも赤いストライプが走っています。「サーキットの狼」で風吹裕矢が駆ったロータス ヨーロッパのイメージもありますね。
コスモスポーツは、国産車初のロータリーエンジン搭載を果たしたスポーツカーで、1967年に登場しました(官用車は後期型のL10B型なので1968~1972年型)。
それが劇中年代2015年頃に公の組織で採用されているのはおかしい? という声も聞こえてきそうですが、官用車にコスモスポーツが選ばれたのは、エヴァンゲリオンシリーズの監督・庵野秀明氏のこだわりによるもの。
氏は1983年に「帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令」という自主制作の8ミリフィルム映画を作成したことがあり、近年では「シン・ゴジラ」も手がけた特撮マニアでもあります。
「NERV官用車」は、「帰ってきたウルトラマン」の劇中車で、同じくコスモスポーツを用いていた「マットビハイクル」をオマージュしているのでした。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は2020年6月公開
2007年から4部作で製作の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は、現在第3作「Q」まで公開済みです。ラストを飾る「シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||」(読み方は現段階では不明)はいよいよ2020年6月上映開始を予定しています。
すでに公開されているパイロットフィルムでは、パリの景色の中にルノー メガーヌやカングーの姿も伺えました。車好きとしても、エヴァファンとしても次回作に大きく期待したいと思います。

イラストレーター/ライター
遠藤イヅル
1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はプジョー 309とサーブ 900。
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