【名車への道】’02 プジョー 306カブリオレ
2019/11/30

■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
手の届く価格帯で作られた特別なカブリオレだね
――さて今回ですがフランス車です。
――プジョー 306カブリオレにしました。あ、こちらの車両がそうですね。

――確かピニンファリーナのデザインですよね?
――そうなんですか!?
だからデザインがしっかり統一されて、この時代のプジョーらしい雰囲気を出すことができたんだよ。で、その中でもクーペやカブリオレなどのスペシャルモデルはイタリアのピニンファリーナの工場で生産されていたんだ。
――デザインだけだと思ってました……。
50年代にピニンファリーナが作ったアルファ ロメオのジュリエッタスパイダー(*1)も、ボディ剛性はベルトーネ製より高かったんだ。だから306カブリオレは車としての素性がいいんだ。
プジョーはもともと高性能スポーツカーやプレミアムモデルも生産していたからね。その技術は間違いないよ。
――オープンモデルだとボディの剛性とか大事だって言いますもんね。
プジョーはそのネガティブな部分をしっかり改良して306を作ったわけ。5ドアハッチよりもホイールベース短くすることでデザインバランスや剛性アップを成し遂げているんだ。

――確かプジョーってオープンモデルを古くから作ってましたよね?
60年代はAピラーを低くして美しく見せ、70年代に近づくと徐々に寝かせてスタイリッシュにする。そしてAピラーから後部を伸びやかに見せてFRのパッケージングを武器にする、そんな車をエレガントに見せる手法に進化していったんだ。
――さすが名門ですね……。
――松本さん、ベタ褒めですね(笑)。
――ほんとこの時代の良さが凝縮されたモデルですよね。
ピニンファリーナが作った渾身のFFカブリオレはもう作ることはできない。専用カロッツェリアがノウハウすべてを集約して作ったモデルなのに手が届く価格帯。それがプジョー 306カブリオレだと思うね。



■注釈
*1 ジュリエッタスパイダー
1955年から発売されたオープンモデル。クーペはスカリオーネ、スパイダーはピニンファリーナがデザインを担当していた。
*2 シトロエン ZX
1991年から1997年まで発売されたハッチバックモデル。同じPSAグループだったため、306と同じプラットフォームを使っている。
*3 404カブリオレ
1960年に生産された404。カブリオレはプジョー初のピニンファリーナデザイン車として発売されたモデルとして知られている。
*4 504カブリオレ
1968年から1983年まで発売された504。ピニンファリーナらしい美しいデザインが特徴で、国によっては1999年まで製造された。
プジョー 306カブリオレ(初代)
1993年から2002年まで製造された306のオープンモデル。1994年に追加されたカブリオレのみ、イタリアのカロッツェリアであるピニンファリーナがデザインを担当した。1997年のマイナーチェンジで、フロントマスクのデザインを大きく変更。また一部を除いてエンジンもDOHC 化された。
【関連リンク】
※カーセンサーEDGE 2019年7月号(2019年5月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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