フランス車ばりにオシャレな初代三菱 ミラージュに対し、テリー伊藤が提案する『着崩し術』とは
2022/02/27
▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!「礼儀も知らぬ赤穂の田舎侍が!」当時の三菱はこんなイメージだった
今回は、「ピィーコレクション」で出合った三菱 ミラージュについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
今回はとても珍しい車を紹介します。1978年3月に登場した初代ミラージュ。そのホットバージョンとして1979年に生まれた1600GTです。
これは1982年式の後期型。みなさんは実車を見たことはありますか? 僕はこの車をリアルに知っている世代ですが、それでも実車を見た記憶がありません。
最高出力88ps、スーパーシフトという副変速機構付きのトランスミッションを採用するなど、圧倒的にすごいスペックをもっているのに、なぜ知らないのか。それはミラージュが“後発”だったからでしょう。
▲おそらく街を走っていても誰もこの車が何かわからない。そこがいいんです!当時、ハッチバックで絶大な人気を誇っていたのは、映画『幸福の黄色いハンカチ』で武田鉄矢さんが乗っていた4代目ファミリアでした。女性誌では、“赤いファミリア男子を探せ”という企画が組まれるほど。世の中のほとんどの視線がファミリアに向けられていました。
ただ、僕と仲間はこの時代のファミリアをバカにしていました。なぜなら4代目ファミリアは、FFのようなスタイルなのに実際はFRだったから。当時はFF車がまだ少なかったので、僕にはFFへの憧れがあったのでしょうね。
▲1.6Lエンジンは最高出力88psを発生また、当時の三菱やマツダには、まだ田舎侍的なイメージがどこかに残っていたのかもしれません。例えば、マツダ ルーチェは“広島ベンツ”と呼ばれたり、三菱は「ジープの会社でしょ」と言われたりしていました。
忠臣蔵では吉良上野介が浅野内匠頭に「礼儀も知らぬ赤穂の田舎侍が!」と言いますが、それと同じような感覚を三菱にもっている人が多かったのかもしれないですね。
▲1982年1月のマイナーチェンジからミラージュIIと呼ばれるようにそんな三菱車も、一部の人からは熱狂的に支持されていました。僕も支持していた一人で、これまでにデリカ、パジェロ、ランサーエボリューション、RVRなど様々なモデルに乗ってきました。実は今、新型アウトランダーPHEVを買おうか迷っているのですよ。
意外かもしれませんが、僕は1980年代から三菱車をオシャレな車と思っていました。なぜかというと、三菱はいわゆる“ファミリーフェイス”のようなデザインを展開していたから。
今でこそレクサスのスピンドルグリルや日産のVモーショングリルなど、日本車でもファミリーフェイスは当たり前になっています。でも、この頃はそのような発想はなかった。そんな中で三菱は、ファミリーフェイスとまではいかなくても統一感のあるデザインを展開しました。中でもミラージュが三菱のアイコン的な存在になっていたのです。
▲三菱車には独特の魅力があります。昔も今も好きなメーカーのひとつですテリー伊藤ならこう乗る!
すっかり忘れていましたが、この時代の三菱車は、フランス車のようなオシャレさがありました。このミラージュもルノー 5のような雰囲気がありますね。
確か初代ミラージュの普通のグレードは、黄色がイメージカラーだったはず。とても軽快な印象だったのを覚えています。これに今乗っているのはかなりいい感じだと思いますよ。
▲直線基調のインパネがスポーティ。左右のドアトリムに付いた大きな箱は、パワーウインドウスイッチです問題があるとすれば、あまりにも台数が少ない車だけに、もしトラブルが起こったときにどうするかということですね。さすがにメーカーにも部品は残っていないと思います。
今は調子がいいですが、後々のことを考えて信頼できる整備工場も合わせて探しておきましょう。
苦労をしてでも、この車に価値を感じられる人はいるはず。もしこの機会を逃したら、冗談抜きで二度と出合うことはできないかもしれませんよ。
▲時代を感じさせる当時モノのオーディオがいい!店頭でこの車を見たとき、あまりにも珍しいので驚くとともに、ちょっとオシャレすぎるなと感じました。
もし僕がこれに乗るなら、オシャレな部分をちょっと着崩していきたいですね。
▲ホイールがオシャレすぎるので、鉄ホイールで着崩していきたいですねまずは、ホイールを白っぽい鉄ホイールにしてスポーティなイメージにします。
そして、テールランプの横などに「MT車です。エンスト注意!」というステッカーを貼ります。オシャレさを崩すなら、思い切ってそこまで突き抜けても面白いはず!
一方で、例えば、トノカバーの上にBELLのチェッカーフラッグ柄のヘルメットを置くなどして、スポーティさと自分のこだわりを見せるのもカッコいいと思います。
▲インテリアの状態も良好。万が一トラブルが発生したときは、パーツ探しに苦労しそうですが、それを乗り越えてでも楽しみたいモデルです三菱 ミラージュ(初代)
1978年3月にデビューした初代ミラージュは、小型車でありながら広い室内を実現したFFモデルとして登場。搭載エンジンは、最高出力72psの1.2L 4気筒と最高出力82psの1.4L 4気筒が用意された。翌1979年には、最高出力88psの1.6L 4気筒エンジンを搭載した1600GTが登場した。1980年と1982年にはマイナーチェンジを実施。1982年のMCではヘッドライトのデザインが代わり、ミラージュIIと呼ばれた。

演出家
テリー伊藤
1949年、東京・築地生まれ。早稲田実業高等部を経て日本大学経済学部を卒業。現在、慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科に在籍。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。現在は演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。最新刊「出禁の男 テリー伊藤伝」(イーストプレス)が発売中。また、TOKYO MXでテリーさんと土屋圭市さんが車のあれこれを語る新番組「テリー土屋のくるまの話」(毎週月曜26:35~)が放送中。YouTube公式チャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』も配信中。
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