テリー伊藤が2台乗り継いだ964型 ポルシェ 911と再会
2023/01/29
▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!今も鮮明に覚えている、911を手に入れた時の嬉しさ
今回は、「AUTO SPORTS」で出合ったポルシェ 911について、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
964型のポルシェ 911が発売されたのは僕が『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』を手掛けていた時。40歳くらいだったと思います。
僕も少し収入が増えてきたので、「よし、ポルシェに乗ろう!」と思い、ドキドキしながら飯倉片町にあるミツワ自動車に行ったのをよく覚えています。
若い頃から六本木で遊ぶと必ずといっていいほどミツワ自動車の前を通ってポルシェを見ていました。でも敷居が高すぎて気軽に入ることができない。僕はいつもガラス越しにポルシェを見て、「いつかここのショールームでポルシェを買ってやる!」と思っていたので、911を買いに行ったときは本当に嬉しかったです。
▲964型のボディサイズは全長4245×全幅1660×全高1310mm。現行モデルである992型と比べるとかなりコンパクト!僕は2台の911を乗り継ぎました。1台はティプトロニックのカレラ2、そしてもう1台は4WDのカレラ4です。
「ポルシェの4WDはどれほどすごいのか」をどうしても知りたくてカレラ4に乗り替えたのですが、結局僕にはRRと4WDの違いすらわかりませんでした。だって僕は高速道路を100km/hで流すくらいの技量しか持ち合わせていなかったのですから。
それでも憧れの車を手に入れたのですから満足感は高かったですよ。誰かに自慢したいという気持ちもありました。
▲ティプトロニックのカレラ2、4WDになったカレラ4など、964型では新たなモデルが投入された僕にとってポルシェといえば、ラリー・モンテカルロで雪の中を疾走する911の姿が脳裏に焼き付いていました。それもあり911でスキーに行くことに憧れました。
当時はまだスタッドレスタイヤがなかったので、途中でチェーンを巻かなければなりません。そのとき、いかに早くチェーンを巻けるかが男の技量だったのですが、僕は下手で軽く30分以上かかっていたのです。911に乗っているのに無様な姿は見せられないと思い、結局は911でゲレンデに向かうことはなかったですね。そのことを少し後悔しています。
▲新しいモデルに興味があり、2台の964型911を乗り継いだテリーさん。当時を懐かしく振り返りますテリー伊藤ならこう乗る!
『最新のポルシェは最良のポルシェ』という言葉がありますが、僕は一概にそう言えないのではないかと感じています。もちろん最新のポルシェは素晴らしいのですが、それを乗りこなす技量がないと“最良”にできないですよね。
僕の中で『海を感じる音楽』と言えば加山雄三さんですし、僕より少し若い人ならサザンオールスターズと言うでしょう。でも、若者からは「誰だよ、そのおっさん」と言われそうです。彼らはケツメイシや湘南乃風の方が『海を感じる音楽』でしょう。だって彼らは加山さんやサザンで青春を味わっていないのですから。
911も同じ。自分の青春や恋愛の思い出がオーバーラップするモデルこそが“最良のポルシェ” なのです。だからこそ911はナローから最新の992型までどれも人気があるのでしょうね。僕にとっては964型が最良のポルシェです。
▲伝統の5連メーターが並ぶインパネ。アナログでシンプルな造形が渋い僕が乗った2台の911はどちらも黄色でした。当時はまだ世の中が浮かれていたこともあり、黄色の他にも紫やミントグリーンなど華やかな色の911が多かったんですよ。
もし僕が今911に乗るとしたら、そういう “明日を考えていない色” を探したい。ただ、多くのポルシェファンは硬派なので、現存しているのは今回出合ったミッドナイトブルー、黒や白、あるいはスポーツカーを象徴する赤が多いですね。硬派なファンからは怒られそうですが、もし華やかな色で程度のいいものが見つからなかったら僕はためらわずにオールペンします。
▲3.6L水平対向6気筒エンジンは、最高出力250ps、最大トルク31.6kg-mを発揮僕は仕事柄、起業家とお会いする機会が多く、もちろん911に乗っている方もたくさんいます。見ていると、男性よりも女性の起業家の方が“明日を考えていない色”の911に乗っていることが多いですね。
911は数々の伝説がある名車です。そのため、多くのオーナーは911を「いい」か「悪いか」で選んでいるのではないでしょうか。一方で、女性は911を「好き」か「嫌いか」で選んでいるように感じました。好きだからこそ、色も王道ではなく自分に似合う好きな色を選ぶ。僕も車を「好き」で選ぶ男であり続けたいと思っています。
▲964型には僕の青春が詰まっている。いつまでも僕にとって最良のポルシェですポルシェ 911(Type 964)
1989年に導入された911シリーズの第3世代。空冷の水平対向6気筒エンジンをリアに積むRRレイアウトを継承し、ナローボディから続く911らしいフォルムを踏襲しているが、80%以上のパーツが新設計されている。ATシステムのティプトロニックを搭載したカレラ2や4WDシステムを採用したカレラ4が初めて導入されるなど、革新的なモデルでもあった。今回取材したのは右ハンドル・ティプトロニックの1993年式カレラ2。964型ポルシェは相場の高騰が続いていて1000万円以下で買うのは難しく、1500万円オーバーの値がついたものも珍しくない。

演出家
テリー伊藤(演出家)
1949年、東京・築地生まれ。早稲田実業高等部を経て日本大学経済学部を卒業。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。現在は演出業のほか、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。テリーさんの半生を綴った「出禁の男 テリー伊藤伝」(イーストプレス)が発売中。TOKYO MXでテリーさんと土屋圭市さんが車のあれこれを語る「テリー土屋の車の話」(毎週月曜26:35~)が放送中。YouTube公式チャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』も配信中。
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