戦闘ロボットみたい! 絶滅危惧車のギャランは、三菱の最新技術がふんだんに注ぎ込まれたモデルだった!
2019/06/03
▲今回紹介するのは三菱の3ナンバーサイズセダンのギャラン。当時の最新技術が惜しみなく投入されていたモデルだ「ダイヤモンドノーズカット」の特徴的なフロントデザイン
1969年から販売を開始した三菱 ギャランは、2005年末をもって日本市場から姿を消した。日本のミドルクラスセダンという位置づけで8世代にわたって生産され続けたギャランだが、時代の波に飲み込まれてしまった。
日本における最終モデルが登場したのは、1996年のこと。そんなギャランの開発コンセプトは「高密度スポーツセダン」だった。
“RVの三菱”として名をはせてはいたが、セダンにおいても新風を送り込むと開発陣が意気込んでいたことが懐かしい。
フロントマスクの“逆スラント”と呼ばれる、手前にせり出すような傾斜が特徴的。
また、フロントバンパー両サイドが大胆に削られたデザインとなっていて、取り回しが良く空力特性の向上にも一役買っている。
ちなみにこのデザイン……「ダイヤモンドノーズカット」と、たいそうなネーミングが与えられていた。
個人的には、80年代アニメの戦闘ロボットのような雰囲気すら感じる。
▲逆スラントのフロントマスクが特徴的だが、この形は空力にも貢献している最新電子制御デバイスで武装
8代目ギャランは、世界初となる1.8L 直4「GDI(ガソリン直噴)」エンジンを搭載してデビューした。
「燃料消費-35%、パワー+10%、CO2排出-35%」というのがGDIエンジンのキャッチフレーズだった。
つまりは高出力と低燃費と相反することを実現させた、画期的なエンジンであったのだ。
ものすごく端的に説明すると……シリンダー内の圧縮や吸気のタイミングによってインジェクターによる燃料噴射を調整し、燃料噴霧の形状をコントロール。
これにより燃焼効率を引き上げていたエンジンがGDIだ。
ただ、正直なところ “直噴エンジンだから”という明確な違いは運転している限りでは感じさせないものだった。
トランスミッションには、5速MTと4速ATが組み合わせられた。
4速ATは「INVECS-II MTモード付」と呼ばれるもので、今でこそ珍しくもないがマニュアル感覚の操作を楽しめるものだった。
ギャランは1.8L 直4 GDIエンジンの他、2.5L V6ツインターボエンジンを搭載した「VR-4」と呼ばれるハイパワーモデルもラインナップ。
ランサーエボリューションほどの過激さはないが、ミドルクラスセダンでは群を抜いたハイパフォーマンスGTセダンに仕上がっていた。
最高出力は280ps(AT車は260ps)で、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)といった当時の最新電子制御デバイスを搭載していた。
AYCとはハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などからドライバーの操作と車両挙動を判断し、左右輪間の駆動/制動力を制御。
車両のヨーモーメントを最適に制御することで、高い旋回性能と走行安定性を実現していた。
ASCは一輪もしくは複数輪のブレーキをコントロールしたり、エンジン出力を自動的にコントロールしたりすることで自動車の挙動を安定させる仕組み。
この2つのデバイスが「物理の法則をも覆すような走り」を実現していた、と言ってもいいかもしれない。
▲当時の三菱の最新技術が注ぎ込まれた高効率エンジンのGDI
▲今は当たり前となったMTモード付きのミッション。三菱は早い段階から導入していた
▲運転席まわりのスイッチ類の視認性・操作性にも配慮し、機能的で上質感のあるデザインにスポーティテイストが加味されているそんなギャランも絶版となってから14年が経過。もう数えるほどしかカーセンサーnetには掲載されていない。
三菱が思い描いた高密度スポーツセダンは……やがて中古車市場から消えてしまいそうな勢いだ。
幸いにして、現段階では相場の高騰も見られない。
少しでも興味をもたれた方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
三菱 ギャラン(1996年08月~2005年11月モデル)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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