走行1万km台の物件も総額100万円台から? ならばBMW 3シリーズは新型じゃなくて「旧型狙い」で!
2019/09/20
▲新型が登場したことで、低走行物件であってもやたらめったらお安くなっている旧型BMW 3シリーズ。とはいえ本当にお買い得なのかどうか、新型と旧型を様々な点で「対決」させてみることに600万円級対100万円台級の、ある意味「異種格闘技戦」
プレミアムサルーンの世界的大定番、BMW 3シリーズ。今年3月に登場した新型(G20型)の中古車もポツポツと市場に出回りはじめた今、F30こと1コ前の3シリーズがベラボーに安くなっている。
具体的には、走行1万km台までの低走行物件であっても「総額100万円台」という庶民派な予算にて入手可能。さらに「総額200万円ちょい」という、新車の人気軽自動車にオプション装備を付けて買うのと似たような予算を用意すれば、よりいっそう好条件な1台が探せる――という状況なのだ。
これはもう狙うしかないのいでは……と思ったわけだが、当然ながら1コ前世代の旧型3シリーズは、最新世代のそれと比べればいろいろな面で劣っている。
これはまあ当たり前の話だ。その車を「さらに良くするための改変」がフルモデルチェンジなのだから、新型の方が何かとよろしいのは必然である。逆に「新型の方が良くない」となったら一大事であろう。
問題とすべきは「じゃあ新型はどれぐらい良くなったのよ?」ということだ。
▲こちらが2012年1月から2019年2月までの旧型BMW 3シリーズ。コードネームは「F30」
▲で、こちらが2019年3月登場の現行型3シリーズ。コードネームは「G20」極端な話、新型の方が何十倍も良くなっているのであれば、多少高かろうが、新型を買った方がシアワセになれる。
だがもしも「新型の方が少し良い」程度の差であるならば、機械としての総合力では劣る旧型にも、コスパの良さという意味で十分な勝機は生まれてくるはずなのだ。
支払総額600万円を超える新車の新型BMW 3シリーズ(※320i Mスポーツの場合)と、総額100万円台から200万円ちょいぐらいで狙える旧型3シリーズの中古低走行物件。両者はどこがどう違うのか? そして結論として、どちらがお買い得なのか?
次章、多少の主観はもちろん入ってしまうが、なるべく客観的に両者を「対決」させてみよう。
ビジュアルから走りまで、計6ラウンドの死闘が始まる!
●第1ラウンド|ビジュアル対決(外観編)
カーマニアが見れば両者の違いは歴然である。新型の方が、当たり前だが全体的に「今っぽい」。またカーマニアではなくても、工業製品のデザインに敏感な人が見た場合は新型に軍配を上げるかもしれない。
だがそんな人種はかなり少数派だ。世の中の大半の人はBMWの細かなデザインに興味も知識もない。そしてそういった人々には、両者は「ほとんど同じ」に見えるはず。よって、このラウンドは「引き分け」としたい。
〈 第1ラウンド採点:10対10でドロー 〉
▲こちらは旧型3シリーズ。2016年以降の後期型だからというのもあるが、まあ十分カッコいいかと
▲こちらが現行3シリーズ。グリルが大型化され、ヘッドランプも段付きに。変わったといえば変わったような、同じようなものといえば同じような……●第2ラウンド|ビジュアル対決(内装編)
これまたマニアから見ると両者の違いは大きく、特にBMW Operating System 7.0を採用した現行型の「BMWライブ・コックピット(タッチパネルを採用した大型コントロールディスプレイやフルデジタル・メーターパネルなど)」はカッコよく、今っぽい。
そしてこういったデザインは予備知識ゼロの素人さんにもわかりやすいため、おそらくは「新型の方がステキだね」という人の方が多いはず。ここはやはり新型が優勢だ。
〈 第2ラウンド採点:10対8で新型 〉
▲旧型3シリーズのコックピット。こうして単体で見るとまだまだ十分現代的な雰囲気だが
▲こちらが現行型のコックピット。……並べてみると、やはりこちらの方がイカしてるというか、少なくとも「今っぽい」ことは間違いないかと●第3ラウンド|走り対決
これは基本的には新型の勝利である。逆に、そうでなければフルモデルチェンジをした意味がない。路面状態を問わず常に快適で、安定感たっぷりで、なおかつ俊敏でもある現行G20型の走りは本当に素晴らしい。
だがそれは、言ってみれば「特上のお寿司が、(そんな日本語はないが)特々上のお寿司になりました」というようなもの。つまり1コ前のF30型でも十分素晴らしいのだ。おいしいのだ。それゆえ、「新型が素晴らしいのはわかるけど、そこまでの素晴らしさは不要」という見方もできる。
……三者三様の採点に分かれそうな微妙なラウンドだが、ここはひとつ「新型の勝利(ただし僅差)」と結論づけたい。
〈 第3ラウンド採点:10対9で新型 〉
▲十分いい感じの走りを披露してくれる先代F30型3シリーズ
▲そのさらに上の次元を行く現行G20型3シリーズ。こちらの方が当然何かと上ではあるが、普通に走る分には「そんなに大きくは変わらない」という見方も。まあ感じ方は個人差がデカいはずだが●第4ラウンド|先進安全装備対決
この分野に関しては、悔しいが「最新の安全装備こそが最良の安全装備」だと言える。つまり、長距離|中距離|周辺監視(広視野角)を役割分担する「3眼カメラ」を備え、なおかつ「リバース・アシスト機能」も採用された新型の圧勝だ。ただ、旧型も決して「ボロボロの劣勢」というほどではない。
〈 第4ラウンド採点:10対8で新型〉
▲安全装備に限らず、いわゆるハイテクな部分についてはどうしたって新しい世代の車の圧勝となる●第5ラウンド|ボディサイズ対決
旧型3シリーズの日本仕様は、日本の街に多い「全幅1800mm以下なら入庫可能」という立体駐車場のことを考慮し、ドアハンドルを変更するなどして全幅を1800mmに抑えた。
しかし新型は世界的潮流からそうも言っていられなかったのか、全幅は1825mmに拡大。そして全長も旧型比で70mm長い4715mmという立派な長さになった。
これをどう評価するかは考え方と価値観次第で、「大きくて立派な感じの方が好き!」という方もいらっしゃろう。
だが「ニッポンの道で使うこと」を第一に考えるなら、ここでの勝者は相対的に小ぶりな旧型となるはずだ(まあいろいろな意見はあるでしょうが)。
〈 第5ラウンド採点:10対9で旧型 〉
▲昔の3シリーズと比べたらこれだって「大きすぎる」と言えるのだが、現行型と比べれば「まあまあ小ぶりだった」とも言える旧型3シリーズ
▲こちらは現行3シリーズ。全幅は1825mmになり、全長も70mm延びて4715mmに●最終第6ラウンド|コネクテッド対決
新型3シリーズには、今流行りの「OK BMW(オーケー ビー・エム・ダブリュー)」などと呼びかければ「ご用件をどうぞ」と車が返してくれ、様々な車両操作が行えるAI音声会話システム「BMWパーソナル・アシスタント」が用意されている。
これは旧型にはいっさい無い装備であるため「10対0で新型の圧勝!」となりそうなところだが、世の中はそんな単純ではない。「ワシはそんなモン要らん!」という考え方も根強く存在しているからだ。
それでもこのラウンドは(当然ながら)新型の勝利ということで間違いないのだが、少なくとも「10対0」ではない。
〈 最終第6ラウンド採点:10対8で新型 〉
この結果を「善戦」と見るか、「ボロ負け」と見るか?
死闘の限りを尽くした計6ラウンドが終わり、ジャッジの採点表が集計された。それによると、薄々わかっていたとおり、やはり新型の勝利であった。
結果は「59対53」。G20こと新型BMW 3シリーズの勝ちである。
だがそれは、ここまで再三言ってきたとおり当たり前の話だ。新型が旧型に負けるようではいろいろ困る。
問題は、総額100万円台からせいぜい200万円ちょいという「軽量級」な旧型という選手が、総額600万円超と重量級な新型選手相手にマークしたこの数字を、「善戦」と取るか「ボロ負け」と取るかである。
感じ方は人それぞれだろうが、「まあ善戦かもな」と感じるのであれば、走行1万km台までの旧型BMW 3シリーズをお手頃予算にて検討してみる価値は大いにある。
より詳しくは、下記の物件リンクを踏んだうえで各自ご検討願いたい。
▲とはいえ旧型3シリーズは何度か一部改良やマイナーチェンジをしているため、ごく初期のモデルは安全装備やビジュアルなどの部分で(末期モデルや現行型と比べると)けっこう見劣りする部分もある。支払総額の安さだけに拘泥するのではなく、装備内容などを含めて大局的な見地から検討していただきたい▼検索条件
BMW 3シリーズ(2012年1月~2019年2月生産)× 全国 × 走行距離1万9999km以下
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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