かつてのボーイズレーサーに捧ぐ……進化を果たしたアツアツ現行国産ホットハッチ3選!
2019/11/18
▲現在のホットハッチは1グレードではなく、日産車ならニスモ/ニスモSという具合に、チューン度の高低モデルが用意されている。好みや予算に応じて選びやすい数は少なくなったが現行型でも国産ホットハッチは元気だ
今の時代、若者の選択肢といえば軽自動車やSUVが主流だろう。カーシェアリングで済ませているなんて人もいるかもしれない。
しかし、かつては懐事情の寂しい若者にとってハッチバックスタイルのコンパクトカーは定番だった(遠い目)。
中でも輸入車のホットハッチより安くて、走って楽しい国産ホットハッチに、当時の多くの若者が熱狂したもんだ(さらに遠い目)。
昔話をもう少しさせてもらうと、マツダにはWRCで4WD+ツインカムターボを搭載して勝利したファミリアがあったし、三菱自動車は「サイボーグ」なんて名前のスポーツモデルを用意したミラージュが人気だった。
スズキは舘ひろしが「オレ・タチ、カルタス」というCMが話題を呼んだカルタスに、当時クラストップの出力を誇る1.3Lツインカムを載せたGT-iをラインナップしていたし、ダイハツはイタリアのスーパーカーメーカーであるデ・トマソと提携、同社がチューンしたエンジンを載せたシャレード・デ・トマソを生み……と、まさに百花繚乱だった。
今じゃミニバンやSUVの陰に隠れて、すっかり売れ筋から外れてしまった感のある国産コンパクトハッチバック。
ホットハッチなんてもはや死語なんだろうけれど、現行型にもひっそりと、数は少ないが着実に進化したモデルが用意されている。
今回は、そのような新車でも中古車でも狙える、現行型国産ホットハッチを紹介しよう。
車好きを増やすためのGRシリーズ
トヨタ ヴィッツGRシリーズ(現行型)
▲写真は頂点GRMNの次にチューニング度の高いGRスポーツGR。外観では専用フロントバンパーなど各種エアロパーツが奢られる。タイヤは205/45R17。10速化されたCVT車と、5速MT車がある
▲フロントにはサポート性の高い専用スポーツシートが装着される。GRはステアリングが専用の小径ホイールとなり、CVT車にはステアリングにパドルシフトが備わるトヨタのモータースポーツ直系ブランドとして、2017年から設定されたのが「GR」シリーズだ。
モータースポーツ活動で培った技術を市販車に活用することで、トヨタファンや車好きを増やすことが狙いだ。
そのため「GR」シリーズには、チューンのカリカリ度順にGRMN(究極モデル)、GRスポーツGR(量産型)、GRスポーツ(拡販型)とモデルレンジが広い。
カリカリ度トップの「GRMN」は少量限定生産モデルで、2017年にヴィッツにも150台限定で設定された。
1.8Lにスーパーチャージャーを備え、剛性の高いヨーロッパ製の3ドア(現地名ヤリス)を採用。トルセンLSDやザックス製アブソーバーなど、モータースポーツからのフィードバック技術がたっぷり与えられている。
そして、現在新車でラインナップされているのは、「GRスポーツGR」と「GRスポーツ」だ。
拡販型のGRスポーツはサスペンションの専用チューンや、溶接の打点を高めるなどボディ剛性が高められている。
さらに、GRスポーツGRになるとザックス製ショックアブソーバーも備えるのに加え、CVT車は10速スポーツシーケンシャルシフトマチックに換装される。
いずれも1.5Lエンジンを搭載する他、GRスポーツはハイブリッドモデルも選べる。
新車時の車両本体価格は、GRスポーツが211万5300~236万1700円、GRがMT/CVT車とも233万5300円。
中古だと、いずれも走行距離1万km未満といった物件でも支払総額約180万円から狙え、ハイブリッドモデルやMTモデルでも支払総額200万円以下から探すことができる。
▼検索条件
トヨタ ヴィッツ(現行型)×GRスポーツ/GRスポーツGR×全国モータースポーツで培った知見を投入
日産 マーチ NISMO/NISMO S(現行型)
▲NISMO/NISMO Sの外観はほぼ同じ。モータースポーツの技術を用いたダウンフォースを発生させる専用フロントバンパーなどが奢られる。タイヤはいずれも205/45R16。写真はNISMO S
▲NISMO Sのメーターは220km/hまで刻まれた専用メーターに。サイドサポートの張り出した専用スポーツシートとなるほか、レッドセンターマークの入ったステアリングとなる日産のモータースポーツブランドであるNISMO。
GT-Rをはじめ様々な「NISMOバージョン」を手がけているが、2013年にはマーチにも設定された。
実はマーチ、初代にはスーパーチャージャー+ターボ搭載の930ccエンジンを搭載したグレード、「スーパーターボ」を設定するなど、昔からモータースポーツに積極的なモデルなのだ。
現行型マーチではNISMOと、さらに戦闘力を高めたNISMO Sの2種類が設定されている。
NISMOは1.2L×CVTのXをベースに、専用にチューニングされたサスペンションと、アシスト量が最適化された専用パワーステアリングを装備。
さらにNISMO Sは排気量を1.5Lにアップし、最高出力を+37pの116psに高めている。
また、組み合わされるトランスミッションはCVTから5速MTに換装され、ボディ剛性も高められている。
その他、足回りやエグゾースト、コンピューターも専用チューニングされるなど、モータースポーツで培われた知見が投入されている。
新車時の車両本体価格は、NISMOが163万3500円、NISMO Sが187万6600円。
NISMOは走行距離5万kmなら支払総額約90万円から、NISMO Sでも走行距離5万km超なら支払総額フタケタ万円から手に入れることができる。
▼検索条件
日産 マーチ(現行型)×NISMO/NINSMO S×全国モーターチューンによる新感覚ホットハッチも選べる
日産 ノート NISMO/NISMO S
▲マーチ同様、NISMO/NISMO Sの外観はほぼ同じ。ダウンフォースを発生させる専用フロントバンパーなどが奢られる点もマーチと同じだ。タイヤは195/55R16。写真はNISMO S
▲NISMO/NISMO Sのインテリアでは、エアコン吹き出し口などが赤で縁取られるのが特徴。サイドサポートの張り出した専用スポーツシートの他、NISMO Sにはレカロ製スポーツシートがオプションで用意されているガソリン車のノートには、2014年にNISMOとNISMO Sが加わった。
NISMOは1.2L×CVTにマーチ NISMO(上記参照)同等の、NISMO Sは専用チューンされた1.6L×5MTにマーチ NISMO Sのような専用チューンが施された。
そして、今回特に注目したいのは2016年に追加された、ノートe-POWERをベースとしたNISMOと、2018年に追加されたNISMO Sだ。
ご存じのように、e-POWERはエンジンで発電した電気を使ってモーターで駆動する。
e-POWER NISMOでは、モーターを制御するためのコンピューターをチューニングし、どの速度でも瞬発力のある加速フィールを実現。
それに見合うよう、足回りのチューニングやボディ剛性の補強などもしっかり行われている。
さらにe-POWER NISMO Sでは、最高出力100kW(ニスモe-POWERは80kW)、最大トルク320N・m(同254N・m)に高められている。
また回生ブレーキ特性を変更し、ワンペダルで強烈な加速から、信号でピタリと止まれる走行を実現している。
NISMO/NISMO Sいずれも従来のホットハッチとは異なる、モーターが生む新しい走りを味わえる。
新車の車両本体価格は、ガソリン版のNISMOが216万1500円、NISMO Sが237万1600円~、e-POWER版はNISMOが253万4400円~、NISMO Sが270万2700円~となる。
e-POWERのNISMOでも、走行距離5万km超なら支払総額約160万円から探すことができる。
また、NISMO Sはデビュー間もないこともあり、台数も走行距離もNISMOよりずっと少ないが、支払総額約250万円から狙うことができる。
▼検索条件
日産 ノート(現行型)×NISMO/NISMO S×全国▼検索条件
日産 ノート(現行型)×e-POWER NISMO/e-POWER NISMO S×全国かつてボーイズレーサーとして腕を鳴らした人はもちろん、ホットハッチなんて言葉すら知らない若い人にも、毎日にピリッと刺激を与えてくれるこれらの車をぜひ一度味わってほしい。

ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
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