残された時間はあとわずか!? 「大排気量エンジン×MT」という歓びを味わえるオススメモデル
2021/05/24
▲BMW M3クーペ(E92型)。最高出力420ps/最大トルク400N・mのビッグパワーを受け止めるため、軽量化と剛性アップが図られた新設計のサスペンションと、100km/hから0km/hまでの減速はわずか2.6秒・35m以内で車を止める新設計ブレーキが備わる「大排気量×MT」の絶滅まであとわずか!?
まもなく電動化社会がやってくるが、その前にやり残していることはないか? そう、内燃機関を堪能し尽くすことだ。特に大排気量エンジンは年々減少。「いつかは……」と悠長なことを言っている場合じゃなくなった。そしてもうひとつ忘れちゃいけないのが、マニュアルトランスミッション(MT)の絶滅危機だ。
ディーゼルエンジンより発進時から豊かなトルクを発揮するモーターは、基本的にトランスミッションを必要としない。だからエンジン回転数に合わせてギアを選び、車速をどんどん乗せて、減速時にはヒール&トー……なんていう作業が、電気自動車の時代にはなくなってしまうのだ。
大排気量どころか、マニュアルトランスミッションまでも……と嘆いている暇はない。かつて「いつかは」と願った未来は、もう目の前にあるのだ。
ただでさえ大排気量のMT車は車種が少ないため、残されている中古車物件はあとわずか。もし資金に余裕があるなら、フェラーリの自然吸気V12+MTの550マラネロや456M GT、612スカリエッティあたりをオススメしたいところだが、いずれも1000万円近くする。
そこで今回は、もう少し手が届きやすい価格で狙える、4LオーバーのMT車をセレクトした。電動化時代が訪れる前に、大排気量のパワーを自らの腕で紡いで走りを楽しもう!
低回転から高回転域まで、どこを選んでも美味しいNA V8
BMW M3 クーペ(E92型)/セダン(E90型)
▲クーペはカーボンルーフを標準装備。風切り音を最小限にする専用ドアミラーなど、専用のエアロダイナミクスが盛り込まれているBMW M3といえば、真っ先に直列6気筒エンジンを思い浮かべる人も多いだろう。確かにE46型M3が積んだ最後の自然吸気3.2L 6気筒も魅惑のエンジンだ。
しかし、今回オススメするE90/E92型の、M3史上初(スペシャルモデルのE46型M3 GTRなどは除く)となる4Lの自然吸気V型8気筒は、それにも増してすばらしいエンジンだと思う。0-100km/h加速もE46型M3の5.2秒に対し、E92型(クーペ)のM3は4.8秒、E90(セダン)のM3は4.9秒だ。
6から8に気筒数が増えたことで、低速域でのトルクが増し、より高回転まで回るようになった。最大トルクは3900rpmで400N・mを発生するが、その約85%となる340N・mを2000rpmから発揮。また、8300rpmまで回せば最高出力420psを発揮する。
▲クーペと同じエンジンを積むセダン。標準車はセダンとクーペで顔が違うが、M3セダンはM3クーペと同じフロントデザインとなるちなみにE46型M3の最大トルクは365N・m/4900rpm、最高出力は343ps/7900rpm。E90/E92型のV型8気筒の方がともに上回る。しかも、E46型M3の直列6気筒より実は15kg“軽い"のだ。低速域から高回転域まで、どの回転域でも美味しいこのV型8気筒エンジンは、普段の街乗りからサーキットまでこなせる、マルチプレイヤーだ。
当初は6速MTのクーペのみで登場。約半年後にセダンが加わり、その約3ヵ月後にAT(デュアルクラッチ式MT)車も追加された。また、軽量化が図られたM3 クーペコンペティションやM3 DTMチャンピオンエディションなど、“ヤバい"モデルも限定販売されている。
▲「日常の走行も完璧にこなす」とうたうM3ゆえ、レザーシートやiDrive、オーディオの外部入力端子、電動リアウインドウブラインド、スキーバッグなどの快適装備もたっぷり備わるデビュー時のM3 クーペ(6速MT)の新車時車両本体価格は996万円、セダンは973万円。原稿執筆時点でクーペのMT車は43台中、27台見つかった。セダンはもともとクーペより流通台数が少なく、MT車は見つからなかった。
クーペは2007年式で走行距離10万km前後が支払総額300万円以下から狙える。一方、走行距離が少ないなどコンディションのよい中古車になると600万円以上に。台数は決して多くないが、焦らず自分の条件にあった1台を選ぶようにしよう。
▼検索条件
BMW M3(E92型)/M3セダン(E90型)×MT×全国アメリカンマッスルをMTでねじ伏せる魅力
フォード マスタング(2006年6月~2014年10月生産型)
▲初代マスタングをほうふつさせるデザインが採用された。往年の雰囲気を大切にしたかったのか、前期型はフロントフェンダーからラジオアンテナが伸びるスタイル。写真の後期型になるとリアフェンダー固定タイプにアメリカを代表するスポーツカー、マスタング。フォードが日本を去って久しいが、現地の最新型は電気自動車ver.まで用意されている人気車だ。しかし、今欲しいのは電気仕掛けのマスタングではなく、2006年に登場した、古き良きアメリカンV8の轟きを感じられるマスタングではないだろうか。
デビュー時に用意されたエンジンは4.6LのV型8気筒と、4LのV型6気筒の2種類。どちらもバルブ駆動がSOHCと当時としてもやや時代遅れだったが、マスタングというキャラクターにはピッタリだと思う。
▲MTが載る2010年4月ver.の「V8 GTパフォーマンスパッケージ」は、フロントに専用ブレーキが採用されている。2011年10月ver.と2013年2月ver.はブレンボ社製のブレーキが備わり、タイヤもベースより幅広の255/40ZR19となるドロロ……というV8サウンドは、往年の名車と比べればおとなしいが、それでも奥まで踏み込もうとすると、周囲を気にしてそれ以上踏むことをちゅうちょするほどたけだけしい。
当初のV8の最高出力は304ps、最大トルクは433N・m。その後改良が繰り返され、2010年9月時点に319ps/441N・mまで向上した。
日本ではアメリカ車=ATというイメージが強いためか、全車5速ATのみの設定だったが、本国では5速MTも用意されていた。日本人が思う以上に、実はアメリカ人はMTが好きなのだ。
ようやく5速MTモデルが日本でも販売されたのが、2010年4月に販売された特別仕様車「V8 GTパフォーマンスパッケージ」。このときは25台限定とされた。
2010年10月に新設計された5L V8へと切り替わった。バルブ駆動もDOHCとなり、最高出力は418psと一気に約100psもアップ。最大トルクも529N・mというビッグトルクを獲得した。
▲左ハンドルのみの設定。当時の他社モデルと比べるとややちゃちいインテリアだが、マスタングだから許せる。本革シートで運転席は電動パワーシート。2013年2月ver.の「V8 GTパフォーマンスパッケージ」はレカロ社製スポーツシートが備わる(写真はAT仕様)トランスミッションは1速増えて6速ATが標準に。ただし、新V8でも特別仕様車「V8 GTパフォーマンスパッケージ」で2011年10月に30台、2013年2月にATモデルと併せて40台、6速MTモデルが追加されている。
2010年4月の特別仕様車「V8 GTパフォーマンスパッケージ」の車両本体価格は500万円。原稿執筆時点で53台中、MT車は10台。いまだに人気が高く、走行距離10万超でやっと車両本多価格が300万円を切る程度だが、約半数が400万円以下で狙える。条件に合う車をこまめに探してみよう。
▼検索条件
フォード マスタング(2006年6月~2014年10月生産型)×MT×全国
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
この記事で紹介している物件
フォード
マスタング シェルビー GT500 新車並行車 左ハンドル 6速MT SVTパフォーマンスPKG 2014年モデル 専用19/20インチ鍛造AW Bremboブレーキ
本体価格1050.0万円
支払総額1064.2万円
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