新型トヨタ ハリアーにも見劣りしない、「すぐ納車、充実装備、お得価格」が全部かなう先代後期型という選択肢は買いかを検証してみた
2022/03/17

今こそ旧型の価値に目を向けるべきときかも
2020年6月、4代目へとフルモデルチェンジをしたトヨタ ハリアー。
外見も内装もパワーユニットも、あらゆる面でブラッシュアップされた新型は、初代から続くハリアーの系譜を受け継ぐ正常進化と言えるだろう。
しかし、実はすべての面で旧型よりも新型が優れているわけではない。
特に2017年6月に行われたマイナーチェンジ以降の旧型・後期モデルでは装備が充実し、安全性能も新型に肉薄。
さらにターボモデルが存在するなど、旧型には新型にない個性もある。
デザインも「新型より旧型の方が好み」という人は決して少なくないだろう。
この記事では旧型・後期型ハリアーと、新型ハリアーをじっくり見比べ、それぞれの優位性、割り切れる部分とそうでない部分を明らかにしてみたい。

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トヨタ ハリアー(3代目) × 後期型(2017年6月以降) × 全国【旧型ハリアーがオススメの理由】旧型と新型は実力伯仲
冒頭で“正常進化”と紹介したが、旧型ハリアーと新型ハリアーは姿形が似ているだけでなく、パフォーマンスもかなり近い。
もちろん、新型は大きくブラッシュアップされているが、方向性は旧型の延長線上にあると考えて良いだろう。
つまり、そこまで最新鋭でなくても……と割り切れる人であれば、旧型で十分ということだ。
もちろん、価格面では中古となった旧型が圧倒的に有利。
さらに、旧型には「中古車であるがゆえ、納期が短くすぐに手に入る」、「後期型は年式が新しいため、多走行車が少なく、コンディションが安定している」といったメリットもある。
ここからは旧型後期のハリアーと、新型のハリアーを比較検討してみる。

【デザイン】押し出しの強さでは新型、旧型にも洗練された魅力


写真を見比べるとわかるように、デザインもまたキープコンセプトとなっている。
ボンネットからルーフラインまで、なだらかな曲線で構成されたクーペのようなフォルム、長めの前後オーバーハングは初代から続くハリアーの伝統的な意匠だ。
しかし、細部を眺めると違いがあることに気がつく。例えばボディサイドのプレスラインは新型でがぜん、複雑になり、彫りが深くなっている。
フロントまわりでも旧型は弧を描く比較的シンプルな造形なのに対して、新型はフロントグリル上端がボンネットと連続するように、バンパーも中央からヘッドライトにかけて盛り上がるようにデザインされ、より精悍な印象となった。
また細かな部分では、ハリアーのアイデンティティとして存在していた“チョウヒ”のマークが、新型では使われなくなり、他のトヨタ車と同じTマークとなったのも違いのひとつ。
内装では旧型がすっきりと洗練された印象なのに対して、新型はゴージャス、盛りだくさんといった印象だ。
見た目に関してはあくまでも個人の好みによるところだが、内外装含め押し出し感、個性で選ぶなら新型。エレガントさ、全体のまとまり感を重視するなら旧型といったところだろう。


【ボディサイズ】取り回しの良さはほとんど同じ
旧型と新型のボディサイズは下記の通り。

ボディサイズでは旧型よりも新型の方が全長で+15mm、全幅で+20mm大きく、全高は逆に30mm低い。
つまり、新型がワイド&ローなフォルムということ。最小回転半径はともに5.7mで変わらない。
街中での取り回し性能は旧型も新型もほぼ同じ、と考えて良いだろう。
一方、ホイールベースでは+30mm、トレッドではフロント45mm、リア65mmと新型の方がかなり大きい。このあたりは車内空間や高速走行時の安定性に影響するところだろう。

【居住性・荷役性】荷室の使い勝手は旧型の勝利
新型になってホイールベースが伸びた分は、主に後席居住空間のゆとりに充てられている。
室内幅も40mmほど新型の方が大きいが、室内高は旧型の方がわずかに高い。
比べてみれば、確かに新型の車内は広いが、体感では違いを感じないレベル。
新型はボリューム感のある内装デザインとなっており、前席からの視覚的にはむしろ旧型の方が広く感じる……という意見もある。

一方で、荷室のキャパシティについては、旧型が456Lだったのに対して、新型は409Lと、旧型が有利。
これは低くなった全高、傾斜がきつくなったリアウインドウなどが影響しているようだ。
後席使用時の荷室長も旧型の方がわずかに長い。荷室の使い勝手で選ぶなら旧型に分がある。

【動力性能】ターボ車があるのは旧型だけ
旧型後期型には2Lガソリン、2Lガソリンターボ、2.5Lハイブリッドという3種類のパワーユニットが用意されている。
対して、新型では2Lガソリンターボの設定がなくなり、2Lガソリン、2Lハイブリッドのみ。
と言っても旧型から踏襲されたパワーユニットではなく、ガソリン車、ハイブリッド車ともに新型ダイナミックフォースエンジンとなって性能が大幅に向上している。
単純に動力性能で選ぶなら、2Lガソリンであっても、2.5Lハイブリッドであっても新型が有利だ。
特にハイブリッドについてはエンジンのスペックが上がったことで、システム全体としてもハイパワー&大トルクとなった。
新型のハイブリッド車は従来のフルタイム4WDに加え、FFがラインナップされている点でも有利だ。
ただ、旧型も少し前まで現行車だったモデルであり、実用上は何の不満も感じない。
また、ターボ車特有の豪快な加速感が味わいたい場合も、旧型一択となる。


【走行性能】地道に進化した新型
新TNGAプラットフォーム、超高張力鋼板、アルミ材などを積極的に採用することで、ボディ剛性が向上した新型。
サスペンションも目新しい技術こそ使われていないが、スプリングや減衰力特性などが見直されて、旧型よりもずっと滑らかな乗り味となっている。
さらに、ボディサイズが若干大きくなっているにもかかわらず、車両重量は全グレードを通して旧型と同等、もしくは軽量化。シャシー設計技術については日進月歩であり、旧型と新型で違いがあるのは致し方ないところだろう。
もともと国内専用車として開発された旧型と、最初からグローバルモデルとして他モデルともシャシーを共有する新型……という出自の違いも、乗り味に影響している。
ただ、旧型もトヨタのSUVでは当時トップレベルの技術が投入されており、快適性やハンドリング、静粛性に不満は感じられないはず。
一般的には“乗り比べなければ旧型でも十二分に満足”というレベルだ。

【燃費】ハイブリッドでは確実に新型有利だが……
2Lガソリン車については、旧型の燃費は16㎞/L(JC08モード・FF)。対して、新型は15.4km/L(WLTCモード・FF)。
計測モードが異なるので単純比較できないが、WLTCモードの燃費はJC08モードより2割ほど悪くなるといわれており、やはり新型が有利だ。
ハイブリッドでは差がさらに顕著になり、旧型は21.8㎞/L(JC08モード・フルタイム4WD)なのに対して、新型は26.3㎞/L(JC08モード・フルタイム4WD)。
実に20%以上も燃費を向上させたことになり、燃費最優先で選ぶなら新型のハイブリッドとなるだろう。
なお、旧型の2Lガソリン車に搭載されていたアイドリングストップ機能が、新型では省略されている。
トヨタによると「アイドリングストップなしでも十分な燃費性能を達成できたため」ということだが、実際にはアイドリングストップによる燃費向上効果より、バッテリーやシステムにかかるコスト、重量増などデメリットの方が大きかった……という理由が推測できる。
つまり、ゴーストップの多い市街地を走る機会の多い人は、旧型ガソリン車が有利になる可能性がある。ただし、一般的にアイドリングストップ車のバッテリーは交換サイクルが早く、価格も高価であることには留意が必要だ。
【安全性能】旧型ではグレードによる違いも
旧型の前中期モデルではプリクラッシュセーフティなどの先進安全装備はオプション(一部パッケージでは標準)だったが、後期型では衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車に標準装備。これは歩行者検知機能付きのハイレベルなものだ。
新型ではこれに自転車検知機能が加わり、パーキングサポートブレーキ、ブラインドスポットモニターなどの機能も追加されている。
また、旧型でレーンデパーチャーアラート(ステアリング制御付き)と呼ばれていた機能は新型でレーントレーシングアシストとなり、白線が見えない道路でも先行者に追従して車線をキープすることが可能になった。
万全を期すなら新型を選ぶべきなのは言うまでもないが、旧型後期型の安全性能も十分に高い。
ただし、旧型後期でも誤発進や障害物への接近を感知して自動的にブレーキをかけるインテリジェントクリアランスソナーが標準で備わるのは「プログレス」など最上級グレードのみで、他はオプションだった点には注意したい。

【装備】旧型の装備内容でも十分
全車速追従機能付きのクルーズコントロールを全車標準装備、パワーバックドアを多くのグレードに採用するなど、当時としては充実した装備を誇っていた旧型。
新型の最上級グレードではさらにハンズフリー・パワーバックドアとなるなど、装備面では新型がより充実した。
新型の特徴的な装備として、調光パノラマルーフの存在が挙げられる。
これはガラス面に電気を流すことで透過率が変えられるサンルーフで、かつては高級輸入車にしか装備されていなかったものだ。
ただ、これは新型であっても最上級グレードだけに設定されるオプション。
究極の快適さを求めるなら新型だが、実用性では旧型で何ら問題ない。

旧型ハリアー後期型を買うなら、このグレードがオススメ

旧型後期型ハリアーには、2Lガソリン、2Lガソリンターボ、2Lハイブリッドそれぞれに、「プログレス」「プレミアム」「エレガンス」という3種類のグレードが設定されていた。
最上級グレードである「プログレス」と「プレミアム」の違いは、インテリジェントクリアランスソナー、パノラミックビューモニター、カメラ&サイドターンランプ付きドアミラーなど。
基本的な走行性能にグレードごとの差異はないが、機能装備、安全に関わる装備が異なるので、せっかくなら最上級グレードを狙ってみたい。2Lガソリンの「プログレス」で270万円~が予算の目安だ。
ちなみに、旧型後期型のハイブリッドは中古車市場での流通量が少なく、70台前後。
むしろ、2Lガソリンターボの方で流通量が多く、こちらは280万円~が相場となっている。
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トヨタ ハリアー(初代) × 後期型(2017年6月以降) × 「プログレス」 × 全国▼検索条件
トヨタ ハリアー(初代) × 後期型(2017年6月以降) × 全国※記事内の情報は2022年3月10日時点のものです。

自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。
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