【ボルボ 240の専門店に聞いた!】オススメの選び方と物件のチェックポイント
2022/06/22
▲80~90年代に世界中でヒットした、ボルボのステーションワゴン、240エステート。現代のモデルにはない直線的なフォルムが特徴ボルボ 240エステートとは
ボルボ 240シリーズは1974年に登場し、基本設計を大きく変更することなく、マイナーチェンジを繰り返しながら1993年まで販売が行われた超ロングセラーモデル。
当初は2ドアセダン、4ドアセダン、ワゴン(エステート)というラインナップだったが、84年を最後に2ドアセダンは消滅。日本市場においてはエステートが圧倒的な人気を誇ったこともあって、現在中古車市場に流通している物件の多くはワゴンボディとなっている。
▲全長:4785mm × 全幅:1715mm × 全高:1500mm。全長は長いが、全幅が短めになっているのが特徴駆動方式はFR(前置きエンジン・後輪駆動)。エンジンは時代の流れとともに様々な変更を受け、最終的には2.3L SOHC直列4気筒の「B230」ユニット(85年式から採用)へ。
レトロなボディデザインと、現代でも不満を感じさせない優れた実用性が、今でも人気を集める大きな理由。比較的コンパクトに感じるサイズだが、奥行きのあるラゲージスペースは現代の基準でも不満のない大容量が確保されている。
近年では、ファッション系メディアやテレビCMなどにも度々登場していることから若者たちからの人気も高く、ネオクラシックブームのあおりを受けて中古相場は上昇中だ。
▲ボルボ 240エステートの中古車平均価格と延べ流通台数の推移一方、流通台数は40台前後と一定数あるので、程度を見極めたうえで購入することは可能。
そこで今回、240シリーズの購入時により良い1台を選ぶためのポイントや購入後のメンテナンスについて、千葉県野田市の240専門店「ファースト・カーセールス」大久保さんに伺った。
購入時のポイント1:日常的に乗りたいなら、91年式以降を
主にエアコンとエンジンの不安が少ない91年以降のモデルがオススメだという。
90年以前のモデルは、エアコンの冷媒がネックとなる。最終モデルの93年式の冷媒は現在主流のR134aだが、それより前のモデルはすでに廃止されたR12(いわゆるフロンガス)が使われていたためだ。
ただし、91~92年式はコンプレッサーなどの部品交換を行えば比較的容易にR134aへ対応させられる。購入時にはレトロフィット(R134a対応化)されているかを確認したい。
ちなみに90年式以前のモデルは、エアコンの配管にゴムホースが使われているなど、レトロフィットさせるのに多額の費用がかかる。大久保さんによると、仮に大掛かりなレトロフィット作業を行ったとしてもエアコンの効きはあまり期待できないそうだ。
▲物件選びの際、可能な限りアイドリング時のエンジン音の確認をした方がよいというエンジンの観点からも90年以前のモデルは避けた方がよい。
アイドルコントロールバルブやイグニッションモジュールといった交換頻度の高い部品すら入手できないためだ。それが91年以降であれば交換部品は比較的手に入りやすい。
さらに、91年以前のモデルで故障の多かったECUが、92~93年式では最初から対策品に変更されている。
91年式にはECU対策品が用意されているが、最初から変更されているわけではないので交換歴は要確認を。また、年式観点だけではなく、可能な限りアイドリング時のエンジン音の確認をしておくことをオススメする。
購入時のポイント2:インテリアはベージュ“以外”で&ダッシュボードを要チェック
▲内装色がベージュの樹脂部分は、少しの力で割れてしまうことがあるという日本で流通している240のインテリアは「ブラック」「ブルー」「オーク」「ベージュ」の4色だが、その中でもベージュのものは樹脂部品の耐久性が著しく劣るので注意したい。
ピラー部の内側を覆っているパネルにちょっと体重をかけるだけで割れてしまうほど。ファースト・カーセールスで販売する車両はあらかじめ対策品に交換しているという。
▲経年劣化によってダッシュボードが割れてしまっている物件もなお、流通している物件の中にはダッシュボードにクラックが発生しているものが多い。新品部品の入手は困難で、完全に元通りに修理することも難しい。
ただし、見栄えが悪くなる以外はこれといって弊害はない。気になるようであれば、物件選定の段階で、ダッシュボードは要チェックだ。
購入後のメンテナンスについて
ボルボ 240の専門店として、多くの物件を販売してきたファースト・カーセールス。購入検討者からよく聞かれる、購入後のメンテンナンスやトラブルについて伺った。

普段使いをするうえで、具体的に気をつけることはありますか?

“音”を聞くようにしてください。これくらいの年式の車の故障にはたいてい前兆があります。アイドリングや走行時の音がいつもと違ったら、メンテナンスするようにしてください。そうすることでトラブルを未然に防ぐことができます。

よくあるトラブルは、どのようなものでしょうか?

240シリーズ特有の弱点としては水回りのトラブルが挙げられます。ウオーターポンプやラジエター、ホース付近からの冷却水漏れですね。特にウオーターポンプ内部のパッキンが劣化してそこから冷却水が漏れるケースは多いです。240には液量が少ないことを知らせる警告灯が装備されておらず、漏れに気づきにくいのですが、オーバーヒートを起こすと大事につながる可能性があるので注意してください。

その他にもありますか?

ラジエターの錆びも要チェックです。ATFのオイルクーラーが一体化した構造なので、あまり錆が進行すると隔壁に穴が開いてATFオイルに冷却水が混ざってしまうことがあります。あとはエンジン下側のマウントブッシュの交換サイクルが短めです。というのも240のマウントブッシュはエンジンを斜めに支えるという少し無理のある構造になっていることに加え、その真上にオイルフィルターがあるんです。オイルを交換する際に上から垂れたオイルがゴムブッシュに付着して劣化が進むんです。個体差はありますけど10年ぐらいを目安に交換を検討してもいいでしょう。エンジンマウント交換だけなら2万円もあれば可能です。

最後に、240エステートを検討している方へ一言お願いします。

年式的に小さな故障が発生するのは避けられないところですが、基本的に信頼性が高く、修理しやすい車です。もともとハイパフォーマンスを狙って作られたわけではないため、メカニズムがオーソドックスで整備性にも優れています。「購入時のポイント」を押さえたうえで、購入するお店が部品を確保できているかも確認しておきましょう。

取材協力
ファースト・カーセールス ボルボ240専門店
創業1984年のボルボ専門店。認定工場を併設、国家整備士が在籍して購入後のアフターメンテナンスも含めてサポートしている。
住所:千葉県野田市山崎1911-2
電話:04-7125-5171

ライター
佐藤旅宇
オートバイ専門誌や自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はボルボ C30と日産 ラルゴの他、バイク2台とたくさんの自転車。
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