三菱 トライトンで検討! ピックアップトラックは都市部暮らしにはマッチしないのか? 皆の視線をかっさらう荷台のあるおしゃれな車4選
カテゴリー: 特選車
タグ: トヨタ / 三菱 / ジープ / ピックアップトラック / トライトン / ハイラックス / ランドクルーザー70ピックアップ / グラディエーター / 田端邦彦
2025/09/19

一時絶滅が危惧された国産ピックアップは日常生活でフツーに使えるか?
ピックアップトラックはいつの時代も、自由を謳歌する若者の象徴、あるいは趣味のアウトドアライフを満喫する最高の道具だった。
国内でも2024年2月に三菱 トライトンが再販され、一躍話題に。ラギッドで押し出し感のあるデザインはこれまでの国産ピックアップになかったもので、確かにカッコいい!
そんなピックアップトラックもアメリカや東南アジアなど世界の国々では当たり前のように走っているが、日本ではまだまだ少ないのが現状かも。
ふだん使いはできるんだっけ? メリット&デメリットは? この記事ではピックアップトラックに関する素朴な疑問を、数少ない国産現行車種「三菱 トライトン」を例に検証してみたい。

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三菱 トライトン(2代目)三菱 トライトンってどんなモデル?
ピックアップトラックとは、ボンネットをもつトラックのこと。キャブオーバー型(エンジンの上に運転席があるタイプ)トラックが完全に荷物積載用なのに対して、ピックアップトラックはふだんの移動も快適でレジャーユースにぴったりな性格となっている。
三菱は過去にもフォルテやストラーダといったピックアップトラックを開発し、その技術がパジェロやデリカといったSUVにも生かされてきた。トライトンはそうした流れをくむモデルで、初代は2005年に登場。現行型は、2024年2月に12年ぶりに国内でも販売が始まった。

ボディサイズは全長5320~5360mm×全幅1865~1930mm×全高1795~1815mm。世界的な基準では小型~中型のピックアップだが、国内ではラージサイズのSUVに相当する大きさだ。
海外仕様では「シングルキャブ(1列シート)」「クラブキャブ(1列+アルファのシート)」「ダブルキャブ(2列シート)」と3種類のボディバリエーションをもつが、このうち日本市場に導入されているのは「ダブルキャブ」のみ。
最大積載量500kg、幅1525mm×奥行き1470mmのデッキと、5人が乗れるキャビンを備えた、実用的でバランスの良い仕様となっている。

ラダーフレーム構造のボディや前ダブルウィッシュボーン式コイル・後リジッド式リーフのサスペンション、エンジンを縦置きして前後に駆動力を分配し、ローレンジも備える本格的な4WDシステム、リアデフロックなど、メカニズムは伝統的。外観は未来的だが、中身はあくまで積載性能とオフロード走行での頼もしさが重視された。そうした質実剛健な作りもまたピックアップトラックの魅力だろう。
そのうえでアクティブLSDや衝突被害軽減ブレーキ、レーダークルーズコントロールといった先進的な運転支援機能も積極的に採用され、現代的な水準の安全性能も実現された。

搭載されるパワーユニットは最高出力150kW(204ps)、最大トルク470N・m(47.9kg・m)を発生する2.4L クリーンディーゼルターボエンジン。洗練されたフィーリングとディーゼルならではの大トルクはトライトンの性格にぴったりだ。
三菱 トライトンの中古車価格は?
国内導入から約1年半たって、中古車市場も充実してきた。現時点でのカーセンサー掲載台数は約180台と、ピックアップトラックの中ではまずまずの数字。中古車平均価格は520万円前後となっており、新車時価格が498.1万~540.9万円であることを考えれば、常識的な水準と言えるだろう。
しかも流通している物件のほとんどが走行距離1万km未満で、上級グレードに集中している。トライトンは中古車としても、今後ますます魅力的になるはずだ。
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三菱 トライトン都市部におけるメリット&デメリットを検証
このように見た目も、機能面も素晴らしいモデルであるトライトン。そのトライトンをレジャーシーンや郊外だけでなく、都市でトライトンに乗ったらどうなる? そのメリットとデメリットを真剣に考えてみた。
【メリット】
他のどんな車とも似ていない、個性的なルックスはトライトン最大の魅力。ピックアップトラックの中ではヒットしているトライトンだけれど、日本ではそう頻繁に遭遇することはない。
だからショッピングモールなどの広い駐車場に止めても、見失う心配なし。駅前のロータリーで家族をピックアップ(←ダジャレにあらずよ)するときも、すぐ発見できる。街で走っているとき、友達が見かけて声をかけてくれる機会が増えるかも。
他の人が乗っていない車を求めている人にはピッタリだ。

視点が高くて見晴らしがいいから、運転するだけで気分がいい。そしてアクセルをひと度踏めば、大トルクの豪快な加速感にボルテージが上がること間違いナシ。「パワーフォーアドベンチャー」がトライトンのテーマだ。毎日の買い物に出かけるだけで非日常が味わえちゃう。
広大な荷台はたいていの荷物を飲み込んでくれる。例えば、家族でIKEAとコストコに出かけ、食料や家具をたんまり買い込んでも全く問題ない。
ホームセンターで大型の荷物を買ったときも安心。かさばる木材や鉢植えの観葉植物もそのまま載せられちゃう。友達の引っ越しを手伝ったりするシーンでも活躍してくれるはず。
もちろん、MTBやサーフィン、ダイビングなど遊びのギアを載せて海や山に出かけるのにも最適。アクティブに趣味を楽しむ人にとって、もってこいの相棒であることは言うまでもない。

SNOWモード付きの本格的な4WDシステム「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」とオールシーズンタイヤが採用されているので、都市部でまさかの大雪、というときも安心。
もちろん限界はあるが、乗用車が立ち往生してしまう積雪量でも難なく走破できる。さらに、タイヤチェーンやけん引ロープを装備していればレスキュー作業にも役立ってくれるだろう。

5人乗りだから、ごく普通にファミリーカーとして使えるのもダブルキャブのいいところ。リアシートのスライドやリクライニングはできないものの、広さそのものは十分。車内の空気を循環させるリアサーキュレーターも標準装備だ。
フロアは高めだけど、アシストグリップやサイドステップがあるので、子供でも乗り降りはさほど大変じゃない。ベビーカーや自転車をそのまま荷台に載せられちゃう便利さも。趣味の車であるだけでなく、家族でドライブにも行けるのは大きな価値だろう。

【デメリット】
ボディサイズがかなり大きめだから、ほとんどの機械式駐車場に止められないのはもちろん、コインパーキングも利用できない場合がある。手に入れられるのは、自宅の駐車場スペースに余裕がある人に限られてしまう。
また最小回転半径も6.2mと、ランドクルーザー250やアルファードを上回る大きさ。狭い道でのすれ違いや鋭角ターンはちょっと苦手だ。ただ、ボディが四角いので車両感覚は把握しやすい。慣れれば、意外に運転しやすく感じるかも。
トライトンのWLTCモード燃費は11.3km/L。ラージクラスのSUVとしては決して悪くない数値、しかもディーゼルなので軽油代自体の安さも考慮すべきだが、さすがにハイブリッドの乗用車などには太刀打ちできない。燃費については、楽しさの代償と考えよう。
フル乗車したときに荷物の置き場所に困る……のは、ピックアップトラックの宿命。小物入れはたくさんあるけれど、車内に旅行カバンを置くスペースはない。
雨が心配な場合は、デッキにコンテナボックスを置く、トノカバーを設置する、という手も。この点については工夫で乗り切るしかない!

トライトン以外のピックアップ①:トヨタ ハイラックス(7代目)

トライトンとともに世界中で活躍するピックアップトラックといえば、ハイラックスをおいて他にない。その歴史は1960年代の初代に始まり、現行型は7代目。日本では6代目の生産終了以来長らく未導入だったが、2017年に13年ぶりの日本市場復活を果たした。
トライトンに比べると全幅がスリムで、狭い道での移動にも適している。4WDシステムは信頼性に優れたパートタイム式で、コストや重量を抑えることにも成功。国内仕様のボディタイプはトライトン同様、ダブルキャブだ。
よりワークホースのイメージが強く、ピックアップトラックを実用的に使いたい人に向いているモデルと言えるだろう。

現時点で新車の販売はストップしているが、中古車市場には500台近くもの物件が流通している。年式別分布では2022年式のボリュームが最も多い。
このように比較的新しい年式の物件が多いにもかかわらず、中古車平均価格は420万円前後とリーズナブル。総額300万円台から狙える物件もあり、今まさに中古車として脂がのっている状況だ。
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トヨタ ハイラックス(7代目)トライトン以外のピックアップ②:ジープ グラディエーター(初代)

グラディエーターはオリジナルジープの血統を受け継ぐラングラーの高い悪路走破性能、屈強な構造はそのままに、ピックアップ化したモデル。こちらも4ドアのダブルキャブだが、ボディが大幅に延長され、全長は5600mmに至っている。
ラングラー伝統の前後リジッド式コイル・サスペンションはストロークが長く、オフロードで比類なきたくましさを見せてくれる。そのうえ日本に導入されるのはラングラーの中でも特にオフロード性能を高めたルビコン仕様。ロックセクションなど極悪路でこの車に匹敵するピックアップトラックは存在しないはずだ。
分割式ハードトップを取り外し、オープンにできるのもグラディエーターの特徴。フロントパネルだけ外してサンルーフのように使うことも、すべて外してフルオープンにすることもできる。

中古車市場には約60台のグラディエーターが流通している。中古車平均価格は約740万円。
ひときわ個性的なピックアップが欲しい人、オフロードを本気で走りたい人、オープンエアを楽しみたい人にはもってこいの1台だろう。
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ジープ グラディエーター(初代)トライトン以外のピックアップ③:トヨタ ランドクルーザー70ピックアップ(初代)

国産車の中でも頑固一徹、昔ながらの作りを踏襲してきたSUVといえば、ランドクルーザー70。その70にもピックアップが存在する。
ラダーフレーム構造・前後リジッド式サスペンションといった70ならではのタフな構造はそのままに、荷台をオープンにしてダブルキャブ化したのがコチラ。日本市場では2014年8月~2015年6月の限られた期間だけ正規販売された。
パワーユニットは、最高出力231ps/最大トルク360N・mを発生する4L V6ガソリンエンジンが搭載されている。5速MT仕様のみというのもシブいポイントだ。

ごく限られた販売台数だったはずだが、現在の中古車市場にも25台以上が流通。ただし、中古車平均価格は560万円前後と生産から10年以上経過している中古車としては高め。最も安い物件でも総額400万円台前半となっている。
それでも今では手に入らない70のピックアップ、しかもガソリンエンジン車というところに唯一無二の価値がある。
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トヨタ ランドクルーザー70ピックアップ(初代)▼検索条件
ボディタイプ/ピックアップトラック
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。