FD3S型RX-7の価格高騰が止まらない……悔しいから少しでも賢く狙う方法を真剣に考えてみた!
2025/09/17
▲大ヒット漫画『頭文字D』にも登場したFDこと3代目マツダ RX-7の中古車価格高騰が止まらず、今や平均支払総額は600万円を超える水準に。そんな市況の下でも、FDを「賢く上手に買う方法」はあるのでしょうか? 考えてみることにしましょう!「FD3Sに乗る」という夢は、あきらめざるを得ないのか?
珠玉のロータリーエンジンを搭載し、まずは「アンフィニ RX-7」として1991年に登場して、1997年10月以降は「マツダ RX-7」に車名を改めたFD3S型RX-7。
その中古車価格の上昇はここへきてもいっさい止まらず、ついに平均支払総額は600万円を超える水準になってしまった。
▲人気の源となっている部分のひとつである、13B型エンジンのローターシャフト&ハウジングこうなるともう「FDに憧れてはいたが、あきらめるか……」となってしまうのが人情ではあるかもしれないが、FD3Sは、完全にあきらめてしまうには惜しすぎる名車。なんとかして、運転免許を返納する前に一度は所有したいスポーツカーである。
そこで、そのモデル概要をあらためて振り返りつつ、少しでも賢い狙い方がないものか、検討してみることとしたい。
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マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型)モデル概要:進化を続けた最後のピュアロータリースポーツ
FD3S、またはシンプルに「FD」と呼ばれる場合が多い3代目マツダ RX-7は、1991年から2002年まで製造販売されたマツダのFRスポーツ。搭載される13B型ロータリーターボエンジンは、総排気量1308ccの水冷直列2ローターツインターボ。前期型では最高出力255psをマークし、最終的には当時の自主規制値いっぱいである280psまでパワーアップされた。
当初のボディサイズは全長4295mm×全幅1760mm×全高1230mmで、駆動方式は前述のとおりFR。トランスミッションは5MTを基本とするが、4速ATもラインナップされている。
▲抑揚のあるフォルムがなんとも美しいFD3Sのリアビュー計12年となったモデルライフの中で何度かのマイナーチェンジが行われ、細かく分類する場合は1型/2型/3型/4型/5型/6型の世代に分類される。ただ一般的には1~3型を「前期型」とし、4型を「中期型」、そして5~6型を「後期型」と分類する場合が多い。それぞれの世代の主な特徴は下記のとおりだ。
●前期型(1~3型/1991年12月~1995年12月)
この時代はマツダの「アンフィニ」チャンネルで販売されていたため、車名は「アンフィニ RX-7」となる。13B-REW型ロータリーターボの最高出力は255ps。
▲当時展開していたアンフィニブランドからリリースされた前期型。車名は「アンフィニ RX-7」だった
▲前期型5MT車の運転席まわり●中期型(4型/1996年1月~1998年12月)
CPU制御を8ビットから16ビットに強化し、吸気系の配管の最適化やブースト圧の向上も行ったことで、MT車の最高出力は+10psの265psに。それに伴い、大型ディスクブレーキの採用や最終減速比の変更なども行われた。エクステリアでは、リアコンビネーションランプが丸型3連デザインに改められ、メーターやインパネの照明色がアンバーからグリーンに変更されている。
1997年10月にはマツダの販売店ネットワークが変更されたため、「アンフィニRX-7」から「マツダRX-7」へと車名を変更。性能に関わる部分の変更はなかったが、それまで備わっていたアンフィニのブランドマークは、マツダのブランドマークへと置き換えられた。
●後期型(5~6型/1999年1月~2002年8月)
13B-REW型ロータリーターボの最高出力は280psに(ただしタイプRBは265ps、AT車は255ps)。エクステリデザインも小変更され、バンパーの開口部を大きく採ることでラジエターやインタークーラー、エアクリーナーダクトから効率よく走行風を取り込めるようになるなど、走りに関わる部分がブラッシュアップされている。
▲こちらが後期型。写真は6型の「タイプRS」
▲こちらは2001年12月に発売された「タイプR バサースト」のインパネ付近そして2002年3月には、FD3S型RX-7の有終の美を飾る限定車として「スピリットR」をリリース。スピリットRには、メーカー自らが「究極のRX-7」と表現した2シーター仕様の「タイプA」と、4シーターMT仕様の「タイプB」、4シーターAT仕様の「タイプC」が用意された。
▲最終限定車となった「スピリットR」。BBS製17インチホイールや赤く塗装されたブレーキキャリパーなどがエクステリアの特徴となる中古車状況:価格は上昇トレンドが続き、流通量はほぼ横ばい
時期によって多少の上下動はあるものの、中古車支払総額平均は基本的に上昇トレンドが続いており、2025年初めには600万円を突破。特に1997年10月以降の「マツダ RX-7」と車名が変わった世代の平均総額だけみれば640万円近くに達している。
▲2024年9月~2025年8月までの中古車平均支払総額の推移一方の掲載台数は、少々のダウントレンドになってはいるものの、基本的にはほぼ横ばい。2025年9月現在、カーセンサーnet上には約100台が流通しており、この数字は「豊富」とまではいえないものの、「探すのに苦労する」というほどではないはずだ。
ということで次章以降、今現在流通しているラインナップの中から「賢く狙う方法」はあるのかどうか、考えてみることにしよう。
選択肢①:価格重視で選ぶなら中期型の良質物件か?
価格重視で、つまり「なるべくお安い総額でFD3Sを買いたい!」と考えた場合でも、前期型(1~3型/1991年12月~1995年12月)はあまりオススメできない。
なぜならば、まず第一に25年ルール(製造から25年が経過した車両であれば、右ハンドル車でもアメリカに国内にそのまま輸入できるという、米国の特別ルール)の関係で前期型FD3Sの相場も上がってしまっており、今や前期型であっても総額500万円前後となってしまう場合が一般的であるからだ。
そして前期型は最終年式であっても「30年落ちの旧車」であるため、ボディの深刻なサビや、「結局、買った後に整備や修理で大金がかかる」という問題が発生する可能性を否定できない。
つまり、現時点におけるFD3Sの前期型とは「古くて手がかかるわりに、決して安くはない車」ということなのだ。
▲なんだかんだで相場が上がってしまっているアンフィニ時代の前期型FD3Sそれゆえ、できれば1999年1月以降の後期型を買いたいところではあるのだが、そんな中でも「なるべく安く!」と考えるのであれば、狙い目は1996年1月~1998年12月の中期型ということになる。
中期型には「アンフィニ RX-7」と「マツダ RX-7」が併存しているが、そこはどちらでもOKだろう。重要なのは以下のポイントだ。
・ボディの各部に深刻なサビが発生していない
・計6部屋ある燃焼室の圧縮比のバラつきが小さい
・過去に、補機類や冷却系を含めた形でエンジンオーバーホールが行われている
・もしくは新オーナー自身が、補機類と冷却系の交換を含めたエンジンオーバーホールを行うつもりがある
・圧縮比の数値やオーバーホール履歴にかかわらず、現時点におけるエンジンの始動性が悪くなく、異音や違和感もない
▲圧縮比は数値が高ければすべてOKというわけではなく、またエンジンオーバーホールも、いつ・どこまで・どうやったか? ということが重要となるちなみに、FD3Sの中古車に多く見られる「修復歴」は、過剰に気にする必要はない。もちろん修復歴はないに越したことはないが、フロントのコアサポートを修正した程度の修復歴であることが十分に確認できたならば、特に問題はないと考えたい。
そして上記の条件に合致する中期型を総額400万円台後半あたりで見つけることができたならば、それは「ある意味安い!」と考えることができる。
とはいえ、それと同程度のコンディションとなる後期型が、おおむね同額またはちょい高いぐらいの価格で見つかる可能性も、なくはない。そのため中期型であることにこだわらず、後期型も含めて「比較的安いが、コンディションと履歴は悪くない」という1台を探し出すことが――時間はかかるかもしれないが、この場合の王道となるだろう。
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マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型) × 1996年1月~2002年8月選択肢②:「性能重視」なら600万円前後の後期型か、いっそスピリットRで
「性能重視」でFD3Sの中古車を選ぶのであれば、選択肢はどう考えても13B型ロータリーターボエンジンの最高出力が280psとなった後期型(1999年1月~2002年8月)のMT車だろう。
とはいえ、「タイプRB」の最高出力は265psなわけだが、調子の良いタイプRBのパンチ力は、不調なタイプRやタイプRSよりも上であるため、ここは「コンディションの良い後期型MT車ならグレードは不問」という方向性で考えたい。
▲後期型とはいえ、このぐらいの年式になると、グレードの違い以前に「コンディションの良し悪し」によって体感パフォーマンスは大きく変わってくる。写真は6型の「RZ」ベストは、後述する最終限定車「スピリットR」を選ぶことだろうが、スピリットR以外を検討する場合は総額550万~650万円付近の予算感で市場を見渡せば、高性能な、つまりFD3S本来の性能に近いパフォーマンスを堪能できる1台が、見つかる可能性は高い。それを見つけ出すための大まかなチェックポイントは、前章で挙げたものと同様である。
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マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型) × 1996年1月~2002年8月 × 総額550万円~とはいえ、予算的な余裕がもっとある場合は、2002年3月に発売された最終限定車「スピリットR」のタイプAまたはタイプB(要するにMT車)が狙い目となる。
▲写真は「スピリットR」の4シーターMT車である「タイプB」こちらは総額1300万円以上が価格の目安だが、この価格を「へえ、意外と高くはないね」と考えることができる人には、ぜひスピリットRも含めて検討することをオススメしたい。
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マツダ RX-7(FD3S型) × 1999年1月~2002年8月 × スピリットR▼検索条件
マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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