FD3S型RX-7の価格高騰が止まらない……悔しいから少しでも賢く狙う方法を真剣に考えてみた!
2025/09/12

「FD3Sに乗る」という夢は、あきらめざるを得ないのか?
珠玉のロータリーエンジンを搭載し、まずは「アンフィニ RX-7」として1991年に登場して、1997年10月以降は「マツダ RX-7」に車名を改めたFD3S型RX-7。その中古車価格の上昇はここへきてもいっさい止まらず、ついに平均支払総額は600万円を超える水準になってしまった。

こうなるともう「FDに憧れてはいたが、あきらめるか……」となってしまうのが人情ではあるかもしれないが、FD3Sは、完全にあきらめてしまうには惜しすぎる名車。なんとかして、運転免許を返納する前に一度は所有したいスポーツカーである。
そこで、そのモデル概要をあらためて振り返りつつ、少しでも賢い狙い方がないものか、検討してみることとしたい。
▼検索条件
マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型)モデル概要:進化を続けた最後のピュアロータリースポーツ
FD3S、またはシンプルに「FD」と呼ばれる場合が多い3代目マツダ RX-7は、1991年から2002年まで製造販売されたマツダのFRスポーツ。搭載される13B型ロータリーターボエンジンは、総排気量1308ccの水冷直列2ローターツインターボ。前期型では最高出力255psをマークし、最終的には当時の自主規制値いっぱいである280psまでパワーアップされた。
当初のボディサイズは全長4295mm×全幅1760mm×全高1230mmで、駆動方式は前述のとおりFR。トランスミッションは5MTを基本とするが、4速ATもラインナップされている。

計12年となったモデルライフの中で何度かのマイナーチェンジが行われ、細かく分類する場合は1型/2型/3型/4型/5型/6型の世代に分類される。ただ一般的には1~3型を「前期型」とし、4型を「中期型」、そして5~6型を「後期型」と分類する場合が多い。それぞれの世代の主な特徴は下記のとおりだ。
●前期型(1~3型/1991年12月~1995年12月)
この時代はマツダの「アンフィニ」チャンネルで販売されていたため、車名は「アンフィニ RX-7」となる。13B-REW型ロータリーターボの最高出力は255ps。


●中期型(4型/1996年1月~1998年12月)
CPU制御を8ビットから16ビットに強化し、吸気系の配管の最適化やブースト圧の向上も行ったことで、MT車の最高出力は+10psの265psに。それに伴い、大型ディスクブレーキの採用や最終減速比の変更なども行われた。エクステリアでは、リアコンビネーションランプが丸型3連デザインに改められ、メーターやインパネの照明色がアンバーからグリーンに変更されている。
1997年10月にはマツダの販売店ネットワークが変更されたため、「アンフィニRX-7」から「マツダRX-7」へと車名を変更。性能に関わる部分の変更はなかったが、それまで備わっていたアンフィニのブランドマークは、マツダのブランドマークへと置き換えられた。
●後期型(5~6型/1999年1月~2002年8月)
13B-REW型ロータリーターボの最高出力は280psに(ただしタイプRBは265ps、AT車は255ps)。エクステリデザインも小変更され、バンパーの開口部を大きく採ることでラジエターやインタークーラー、エアクリーナーダクトから効率よく走行風を取り込めるようになるなど、走りに関わる部分がブラッシュアップされている。


そして2002年3月には、FD3S型RX-7の有終の美を飾る限定車として「スピリットR」をリリース。スピリットRには、メーカー自らが「究極のRX-7」と表現した2シーター仕様の「タイプA」と、4シーターMT仕様の「タイプB」、4シーターAT仕様の「タイプC」が用意された。

中古車状況:価格は上昇トレンドが続き、流通量はほぼ横ばい
時期によって多少の上下動はあるものの、中古車支払総額平均は基本的に上昇トレンドが続いており、2025年初めには600万円を突破。特に1997年10月以降の「マツダ RX-7」と車名が変わった世代の平均総額だけみれば640万円近くに達している。
一方の掲載台数は、少々のダウントレンドになってはいるものの、基本的にはほぼ横ばい。2025年9月現在、カーセンサーnet上には約100台が流通しており、この数字は「豊富」とまではいえないものの、「探すのに苦労する」というほどではないはずだ。
ということで次章以降、今現在流通しているラインナップの中から「賢く狙う方法」はあるのかどうか、考えてみることにしよう。
選択肢①:価格重視で選ぶなら中期型の良質物件か?
価格重視で、つまり「なるべくお安い総額でFD3Sを買いたい!」と考えた場合でも、前期型(1~3型/1991年12月~1995年12月)はあまりオススメできない。
なぜならば、まず第一に25年ルール(製造から25年が経過した車両であれば、右ハンドル車でもアメリカに国内にそのまま輸入できるという、米国の特別ルール)の関係で前期型FD3Sの相場も上がってしまっており、今や前期型であっても総額500万円前後となってしまう場合が一般的であるからだ。
そして前期型は最終年式であっても「30年落ちの旧車」であるため、ボディの深刻なサビや、「結局、買った後に整備や修理で大金がかかる」という問題が発生する可能性を否定できない。
つまり、現時点におけるFD3Sの前期型とは「古くて手がかかるわりに、決して安くはない車」ということなのだ。

それゆえ、できれば1999年1月以降の後期型を買いたいところではあるのだが、そんな中でも「なるべく安く!」と考えるのであれば、狙い目は1996年1月~1998年12月の中期型ということになる。
中期型には「アンフィニ RX-7」と「マツダ RX-7」が併存しているが、そこはどちらでもOKだろう。重要なのは以下のポイントだ。
・ボディの各部に深刻なサビが発生していない
・計6部屋ある燃焼室の圧縮比のバラつきが小さい
・過去に、補機類や冷却系を含めた形でエンジンオーバーホールが行われている
・もしくは新オーナー自身が、補機類と冷却系の交換を含めたエンジンオーバーホールを行うつもりがある
・圧縮比の数値やオーバーホール履歴にかかわらず、現時点におけるエンジンの始動性が悪くなく、異音や違和感もない

ちなみに、FD3Sの中古車に多く見られる「修復歴」は、過剰に気にする必要はない。もちろん修復歴はないに越したことはないが、フロントのコアサポートを修正した程度の修復歴であることが十分に確認できたならば、特に問題はないと考えたい。
そして上記の条件に合致する中期型を総額400万円台後半あたりで見つけることができたならば、それは「ある意味安い!」と考えることができる。
とはいえ、それと同程度のコンディションとなる後期型が、おおむね同額またはちょい高いぐらいの価格で見つかる可能性も、なくはない。そのため中期型であることにこだわらず、後期型も含めて「比較的安いが、コンディションと履歴は悪くない」という1台を探し出すことが――時間はかかるかもしれないが、この場合の王道となるだろう。
▼検索条件
マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S型) × 1996年1月~2002年8月選択肢②:「性能重視」なら600万円前後の後期型か、いっそスピリットRで
「性能重視」でFD3Sの中古車を選ぶのであれば、選択肢はどう考えても13B型ロータリーターボエンジンの最高出力が280psとなった後期型(1999年1月~2002年8月)のMT車だろう。
とはいえ、「タイプRB」の最高出力は265psなわけだが、調子の良いタイプRBのパンチ力は、不調なタイプRやタイプRSよりも上であるため、ここは「コンディションの良い後期型MT車ならグレードは不問」という方向性で考えたい。

ベストは、後述する最終限定車「スピリットR」を選ぶことだろうが、スピリットR以外を検討する場合は総額550万~650万円付近の予算感で市場を見渡せば、高性能な、つまりFD3S本来の性能に近いパフォーマンスを堪能できる1台が、見つかる可能性は高い。それを見つけ出すための大まかなチェックポイントは、前章で挙げたものと同様である。
とはいえ、予算的な余裕がもっとある場合は、2002年3月に発売された最終限定車「スピリットR」のタイプAまたはタイプB(要するにMT車)が狙い目となる。

こちらは総額1300万円以上が価格の目安だが、この価格を「へえ、意外と高くはないね」と考えることができる人には、ぜひスピリットRも含めて検討することをオススメしたい。
▼検索条件
マツダ RX-7(FD3S型) × 1999年1月~2002年8月
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
【関連リンク】
- マツダ RX-7(FD3S)の中古車価格約500万円超えに絶望した人に贈る「半額で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
- R34スカイラインGT-Rの中古車価格2500万円に絶望した人に贈る「1/3以下で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
- R33スカイラインGT-Rの中古車価格約870万円に絶望した人に贈る「半額くらいで買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
- R32スカイラインGT-Rの中古車平均価格約700万円に絶望した人に贈る「半額で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
- 国産4WDスポーツカー最新型オススメ5選|中古車価格や流通台数は?クーペやセダン、SUVも登場【2024年下期】
- 【2024年】スポーツカーおすすめ・人気ランキング一覧30選|国産から海外車まで、価格や意外な中古車を解説!
- 国産スポーツカー2Lターボ オススメ5選|気になる中古車価格や流通台数を解説【2024年下期】
あわせて読みたい
「安っ!」2代目カイエンが200万円台だけど買いなの? ポルシェの大人気SUV、中古車相場やオススメの狙い方を解説
【悲報】レクサス ISが“ほぼ”生産終了。絶望したあなたに贈る「代わりにコレ、どうですか?」5選
先代BMW 1シリーズが120万円から狙えるが買っても大丈夫? 買うならどんな物件がオススメ?
【悲報】日産 GT-R(R35型)が生産終了……今こそ中古車状況をチェック&賢い狙い方を考察!
BMWのMとは違う“絶妙”な味を堪能できるオススメの「BMWアルピナ」モデル5選【2025年最新版】
新型カングーの新車価格400万円超えに絶望したあなたに贈る「半額で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
【悲報】新型カングーから樹脂バンパーが消滅! 絶望したあなたに贈る「代わりにコレ、どうですか?」5選
Cクラスはもはや大きすぎる……ならお得に買えるCLAクラスかAクラスセダンはどう? モデル比較、オススメの狙い方を解説
Aクラスセダンの販売終了アナウンスに絶望したあなたに贈る「代わりにこのイケてるセダン、どうですか」5選
憧れのベンツデビューなら、Eクラスワゴンを狙うべし! 中古車平均価格が1年で130万円下落中のプレミアムワゴン、オススメの選び方は?