Eクラスが5代目なら200万円台で狙える? ベンツのプレミアムセダン、中古車状況やオススメの狙い方を解説
2025/10/24
▲5代目メルセデス・ベンツなら総額200万円台前半でも狙うことができるみたいですが、買っても大丈夫なモノなのでしょうか? オススメの選び方を含め、検討してみることにしましょう!「200万円台前半」という予算感は魅力的。でも大丈夫なのだろうか?
メルセデス・ベンツのセダンにおける販売面での中核モデルは、今やCクラスであるともいえるかもしれません。しかしCよりひとつ上のクラスに相当する「Eクラス」は、実際に乗ってみると、やはり質感などはCクラスよりも大きく上回っていることを実感します。
また、Eクラスならではの余裕たっぷりなサイズ感も、セダンに「プレミアム性」を求める場合にはかなり重要な要素だといえるでしょう。
そんなメルセデス・ベンツ Eクラスの6代目を買おうとすると、新車は総額1000万円級、中古車であっても総額700万円以上の予算が必要になるわけですが、「5代目の中古車」であれば、実は総額200万円台前半から狙うことも可能な状況になっています。
▲この素敵なメルセデスが200万円で狙えるとしたら、興味深い話ではあるが…とはいえ、総額200万円台のEクラスとは「買っても大丈夫な中古車」なのでしょうか?
5代目メルセデス・ベンツ Eクラスのモデル概要をふりかえりつつ、直近の中古車状況とオススメの狙い方について考えてみることにしましょう。
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メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目)モデル概要:従来型以上にプレミアム性を増したアッパーミドルセダン
5代目メルセデス・ベンツ Eクラスは、日本では2016年7月に発売されたメルセデスのアッパーミドルセダン。
ボディサイズは従来型よりもやや大ぶりとなった全長4930mm×全幅1850mm×全高1455mmで、エクステリアのスタイリングは同世代のCクラス(W205)やSクラス(W222)におおむね準じています。
▲こちらがW213こと5代目メルセデス・ベンツ Eクラス。写真はマイナーチェンジ前の前期型
▲全長だけでなくホイールベースも従来型以上に延長されたことで、従来型以上に伸びやかなフォルムを得るとともに、後席の居住性もより良好な水準になったしかし、インテリアにはセグメント初となる2つの高精細12.3インチワイドディスプレイを搭載し、ステアリングホイールにはタッチコントロール機能も採用。
スワイプ操作に反応するタッチセンス機能付きのボタンで、ほとんどの操作をステアリングから手を離すことなくできるなど、先行して登場したW222型SクラスやW205型Cクラスの一歩先をいく内容となりました。
▲2つの高精細12.3インチワイドディスプレイが並ぶ5代目Eクラスのインパネまわり上陸当初のモデルに搭載されたパワーユニットは全部で4種類。
「E200」に搭載されたのは最高出力184ps/最大トルク300N・mの2L直4ガソリンターボで、「E250」は、同じ2L直4ガソリンターボながら211ps/350N・mのハイチューン版を搭載。「E400」には、最高出力333ps/最大トルク480N・mをマークする3.5L V6ガソリンツインターボが搭載されました。
そしてガソリン車と同時にラインナップされたディーゼルモデル「E220d」が搭載したのは、最高出力194ps/最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボ。トランスミッションは、すべてのグレードが9速ATを採用しています。
W222型Sクラスに搭載されていたものをさらに進化させた運転支援システム「ドライブパイロット」は全グレード標準装備で、歩行者などとの衝突の危険を検知した際に、ステアリングトルクを制御することでドライバーの危機回避操作を支援する「緊急回避補助システム」も、メルセデス・ベンツとして初採用。
そして世界初の技術として、走行中にドライバーが気を失うなどの異常を感知した際に、車線を維持しながら自動で車両を停止させる「アクティブエマージェンシーストップアシスト」も搭載されました。
▲ドライブパイロットやアクティブブラインドスポットアシストなどを含む「レーダーセーフティパッケージ」は発売当初から全車標準装備2019年3月にはE200のパワーユニットを、それまでの2L直4ガソリンターボから1.5L直4ガソリンターボ+BSG(マイルドハイブリッド)に変更。そしてE250の2L直4ガソリンターボエンジンも改良されて最高出力258ps/最大トルク370N・mとなり、車名の数字部分も「E300」に変更されました。
そして2020年9月にはマイナーチェンジを実施。フロントまわりのデザインはよりシャープでダイナミックなものとなり、リアエンドのデザインも、横長の2分割型リアコンビランプを採用するなどして刷新。
また、内装関係ではカーナビや運転支援システムの設定がすべて手元で完結できるようになり、インフォテインメントシステムも、ドライバーのジェスチャーによって様々な設定と操作ができるようになっています。
▲ヘッドランプは切れ上がった造形に変更され、ラジエターグリルも下部が広い台形となった後期型のエクステリア
▲リアエンドのデザインも刷新され、横長の2分割型リアコンビランプを採用。ボディのワイド感とダイナミックさがよりいっそう強調されるデザインになった
▲ハンズオフの検知も、それまでのトルク感応式センサーからリムの静電容量式センサーに変更された後期型の運転席まわりその後、2022年10月にはディーゼルターボの220dにもISG(マイルドハイブリッド機構)を組み合わせ、2024年1月のフルモデルチェンジまで販売が続けられた――というのが、5代目メルセデス・ベンツ Eクラスの大まかなモデル概要です。
中古車状況:流通量はさほど増加していないが、平均価格は順調にダウン
2023年中は順調な下落ペースをたどっていた5代目メルセデス・ベンツ Eクラスの平均支払総額ですが、2024年に入ると若干の上昇基調に反転。
しかし2025年には再び下降トレンドへと回帰し、直近の中古車平均支払総額は380.1万円に落ち着いています。
▲2024年10月から2025年9月までの中古車平均支払総額一方、中古車の「流通量」に関しては、このところさほど増加はしていないというのが実情です。通常であれば、2024年2月のフルモデルチェンジをきっかけに中古車の流通量は増えるはずなのですが、このあたりの原因やメカニズムはいまひとつ不明です。
とはいえいずれにせよ、カーセンサーnet上には200万円台前半の予算で狙える物件を含め、300台近くの5代目メルセデス・ベンツ Eクラスが掲載されています。それらの物件をどう選んでいくべきなのか、次章以降、検討してみることにしましょう。
中古車のオススメ①:価格重視でいくなら総額200万円台前半の「整備履歴が良好な物件」
価格重視で、つまりなるべく安価な予算で5代目メルセデス・ベンツ Eクラスを入手したいと考える場合は「総額250万円以下で探してみる」というのが、ひとつの目安になるでしょう。
そして、総額250万円以下で狙える5代目Eクラスの年式やグレード、走行距離などは、おおむね下記のイメージになります。
【最も数が多いもの】
・グレード:E200 アバンギャルド スポーツまたはE200 4マチック アバンギャルド
・年式:2016~2017年式
・走行距離:5万~7万kmぐらい
【その次に数が多いもの】
・グレード:E220d アバンギャルド スポーツ
・年式:2016~2017年式
・走行距離:5万~7万kmぐらい
上記の他にも選択可能なグレードはいくつかあるのですが、それぞれの流通量は少なめであるため、実際に探しやすいのは上記の物件、つまり「2L直4のガソリンターボまたはディーゼルターボを搭載する、走行6万km前後の初期年式」です。
▲この価格帯で狙えるのは2L直4エンジン搭載グレードの初期年式そしてこれらの物件が「買い」なのかどうかといえば、結論としては「前オーナーの扱い方と整備履歴次第」というのが答えになります。
前期型のE200系が搭載していた「M274」という2L直4ガソリンターボエンジンは、正規ディーラーなどでしっかりケアされてこなかった場合には、調子を崩す可能性もあるエンジンです。またE220d系の「OM654」という2L直4ディーゼルターボエンジンも、同様に正規ディーラーなどでしっかりケアされてこなかったものだと、EGRバルブ(排気ガス再循環システムの一部)が詰まってしまうなどすることがあります。
もしもそういった物件であった場合には、せっかく総額200万円台前半という手頃な価格で中古車を購入しても、結局は購入後に、エアマスセンサーやEGRバルブ、またはその他の部品を自腹で交換しなければならなくなる可能性もあります。
▲こちらがOM654型直4ディーゼルターボエンジンとはいえ、これは「すべての初期型E200系およびE220d系がそうなる」という話ではなく、正規販売店の工場でしっかりお金と手間をかけて整備や部品交換などが行われてきた個体であれば、そう簡単に壊れるものでもありません。
そのため総額200万円台前半の初期型E200系またはE220d系を探す場合は、内外装に荒っぽく扱われた痕跡がない物件を選ぶのは大前提として、そのうえで「毎回の車検整備を正規販売店で受けてきたこと」を整備記録簿で確認することが重要になります。
結論としては、内外装がキレイで(=年式なりの使用感はあっても、乱暴に扱われてきた痕跡はなく)、なおかつヤナセやシュテルンなどの正規販売店で新車時から継続的にケアされてきた個体であれば「買い」、そうでない個体は「慎重に検討」ということです。
もしも総額200万円台前半で前述の条件に合致する物件が見つからなかった場合は、想定予算を「総額200万円台後半」に上げたうえで、あらためて探してみるといいでしょう。
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メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目) × E200 アバンギャルド スポーツ × E200 4マチック アバンギャルド系 × 2016~2017年式▼検索条件
メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目) × E220d アバンギャルド スポーツ × 2016~2017年式中古車のオススメ②:後期型を狙うなら総額500万円前後のE200またはE220d
総額200万円台という手頃な予算で、掘り出しモノ的な物件を探し出してみるのもオツなものではありますが、客観的に見て、より満足度が高い選択肢は「2020年9月以降の後期型を買う」ということになるでしょう。
5代目Eクラスは2020年9月のマイナーチェンジで運転支援システムなどがかなり強化されましたし、エクステリアデザインもグッと現代的になりました。そして何より中古車としての信頼性も、安価な前期型中古車と比べれば断然高いはずということで、どう考えても魅力的なわけです。
▲2020年9月以降の後期型。当たり前ではあるが、前期型よりもかなり現代的な造形に感じられるそんな魅力的な「後期型5代目Eクラス」の流通状況は、おおむね下記のとおりです。
【1.5L直4ガソリンターボ+BSG】
・E200 スポーツ(BSG搭載モデル)|38台|総額450万~620万円
・E200 スポーツ(BSG搭載モデル)MP202301|9台|総額560万~700万円
・E200 スポーツ(BSG搭載モデル)MP202302|6台|総額650万~750万円
・E200 4マチック スポーツ(BSG搭載モデル)|4台|総額450万~580万円
【2L直4ディーゼルターボ】
・E220d スポーツ|11台|総額490万~640万円
【2L直4ディーゼルターボ+ISG】
・E220d スポーツ MP202301|11台|総額540万~700万円
・E220d スポーツ MP202302|1台|総額630万円
【2L直4ガソリンターボ】
・E300 スポーツ|5台|総額470万~580万円
【2L直4ディーゼルターボ+プラグインハイブリッド】
・E350 de スポーツ|4台|総額490万~510万円
・E350 de スポーツ MP202301|1台|総額510万円
【3L直6ガソリンターボ】
・E450 4マチック エクスクルーシブ|4台|総額660万~730万円
▲プラグインハイブリッド車を含め、多種多様なグレードがターゲットになる後期型これらの中からどれをお選びになってもよいとは思いますが、高額なグレードおよび物件だと「ここまでの金額を出すなら、いっそ5代目ではなく6代目Eクラスの方が……」という迷いや後悔が生じてしまいそうではあります。
そういった意味で後期型を狙う場合のオススメは、筆者としてはおおむね以下のあたりではないかと考えます。
・総額500万円前後で走行2万~3万kmぐらいのE200 スポーツ(BSG搭載モデル)
・総額500万円ちょいで走行2万~3万kmぐらいのE220d スポーツ
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メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目) × E200 スポーツ系 × 支払総額550万円以下▼検索条件
メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目) × E220d スポーツ系 × 支払総額550万円以下中古車のオススメ③:いっそ「メルセデスAMG」を現実的な予算で探してみる
総額200万円台の予算で狙う掘り出しモノ的な前期型E200/E220dも悪くありませんし、総額500万円ぐらいで探す後期型の2L車もかなり素敵です。しかしせっかく「ベンツ」に乗るのであれば、存在感とパフォーマンスがさらに圧倒的なモノを選んでみたい――という気がしないでもありません。
そう考えた場合に注目すべきは「メルセデスAMGの2代目Eクラス」でしょう。
▲……そういえば「メルセデスAMG」という選択肢もあった!かつては独立メーカーでしたが、今ではメルセデス・ベンツの超ハイパフォーマンス部門を担うブランドとなっている「メルセデスAMG」のモデルであれば、一般的な5代目Eクラスとはやや次元が異なるパフォーマンスと存在感、そしてラグジュアリー性を堪能することができます。
とはいえメルセデスAMGのモデルは、2代目の中古車であっても高いモノだと1000万円を軽く超える支払総額になります。そんな中でも比較的現実的な予算感で検討できる「メルセデスAMGの2代目Eクラス」は、下記のとおりです。
【E43 4マチック】
・パワーユニット:最高出力401ps/最大トルク520N・mの3L V6ツインターボ
・想定予算:総額360万~540万円
▲メルセデスAMGのモデルとしては比較的おとなしめなビジュアルとなるE43 4マチック
▲エンジンやトランスミッションの走行モードは「AMGダイナミックセレクト」で変更可能。個別に設定できる「インディビジュアル」を含め、計5つのモードから選択できる▼検索条件
メルセデスAMG Eクラス(2代目) × E43 4マチック【E53 4マチックプラス(ISG搭載モデル)】
・パワーユニット:最高出力435ps/最大トルク520N・mの3L V6ターボ+スーパーチャージャー+ISG
・想定予算:総額460万~690万円
▲こちらはビジュアル的にもなかなか豪快なE53 4マチックプラス。可変トルク配分を行う四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を採用し、前後トルク配分は50:50から0:100の範囲で可変する
▲12.3インチのメーターパネルには、エンジンオイル温度やトランスミッションオイル温度、前後および横方向の加速度、エンジン出力やトルク表示、過給圧などのAMG専用メニューも表示される▼検索条件
メルセデスAMG Eクラス(2代目) × E53 4マチックプラス上記2モデルの他に、最高出力612ps/最大トルク850N・mの4L V8ツインターボを搭載する「E63 S 4マチックプラス」というモンスターマシンもあるのですが、こちらの支払総額は900万円以上となる場合が多いため、あまり現実的ではありません(そもそも、そこまでのパワーが必要か? という問題もありますし)。
とはいえ、総額700万円前後で販売されている低走行なE63 S 4マチックプラスも何台かは流通していますので、もしもド級のパフォーマンスを本気で望んでいる場合は、ぜひチェックしてみてください。
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メルセデスAMG Eクラス(2代目) × E63 S 4マチックプラス系▼検索条件
メルセデス・ベンツ Eクラス(5代目) × メルセデスAMG Eクラス(2代目)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。