【試乗】スバル フォレスター|依然としてバリューは高いが、AWDの雄として圧倒的な技術力を見せてほしかった
2022/03/19
▲2021年8月のマイナーチェンジで大きくデザインが変わったスバル フォレスター。少し時間が空いてしまったが、今回は雪道を含めた試乗をする機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けするe-BOXER搭載モデルの雪道での実力はいかに?
2021年8月にマイナーチェンジを受けたスバル フォレスター。
現行型のレヴォーグのデザインコンシャスを用いて刷新されたフロントマスクは、実直で素朴なデザインからシャープで切れのある装いとなった。
2020年に追加されたターボエンジン搭載の「SPORT」は、とてもスポーティな走りとリニアトロニックの相性も良くワインディングや高速道路でも印象はいい。
今回は、e-BOXERを搭載したモデルの“アドバンス”に、雪上を含む一般道で試乗する機会を得た。
その際のインプレッションをお届けする。


やや古さを感じるCVT制御
スバルのリアルトロニックのCVT技術は、一定の評価があるものの、走り出しの滑らかさに欠けている。
無段階のレシオにより、トルクを大きくしてスタートする方式は悪くはないのだが、アクセルの踏み加減に過敏に反応する傾向がある。
時速20kmを超えたあたりからハイギアード側にシフトし、少々おっとりとした加速になる。
これは、最近のモデルのドライバビリティの方向性から行くと少々古く、e-BOXERではこの傾向がさらに顕著に表れる。
最新のWRXのCVTはそのあたりを相当改善しているので、フォレスターを含めた他モデルへの技術展開が待ち遠しい。
高速道路では、老舗的ともいえるADAS(Advanced Driver- Assistant System)のEyeSightを試す。
今ひとつ調子が悪かったのか、キープレーン機能も前方との車間距離時のブレーキングも滑らかさに欠けていた。
雪道と相性の良い「Sモード」

続いて、いよいよ雪道へと移る。
見切りの良さはとても良好で、しっかりと雪の積もった不安定な状況下でも、目視による確認がしやすい点はスバルらしいと改めて感じる。
ソリッドなシャシーによるハンドリングは、路面状況によっては滑りやすいこともある。
そのようなシチュエーションでは、トランスミッションの制御によって安定感させるのが、e-BOXERは少々苦手なようだ。
もっとも、通常のドライブでの安定感は高い。
雪上において、アクティブトルクスプリット型AWDの反応は一歩遅れる印象で、以前に試乗した“SPORT”のような際立った印象は得られなかった。
しかし、走行モードを「Sモード」にすると、雪上でもスポーティで路面とコンタクトの取れたアクティブな走りが味わえる。
特にe-アクティブシフトコントロールの恩恵なのか、下りのコーナーなどはしっかりと路面をとらえる力がある。
本来ならば、Sモードでなくても可能にしてほしい制御である。

スバルは寡黙な技術集団で、決して誇張せず、奥ゆかしいがゆえ、本質をとらえ花開いて育ったブランドである。
フォレスターもサイズ感に似合わないパフォーマンスで、ブランド力を高めてきた歴史あるモデルだ。
ブランドが成長した現在、そのブランド力に頼ったドライビングになってしまっているのではないか? と、いささか危惧するのである。
他社も制御においてグングンと向上しているが、価格とバリューという点においてはまだまだアドバンテージはあるのだろう。
重厚感あるこの風格で税抜き300万円を切る価格で、縦置きハイブリッドユニットで緻密なAWDを搭載しているのはすごい。
しかし次世代モデルは、AWDの雄として圧倒的な技術力を見せつけてほしいと思う雪上の試乗であった。
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.0 アドバンス 4WD
| 型式 | 5AA-SKE | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.64m×1.82m×1.72m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
| ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.57m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 2.13m×1.55m×1.28m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1640kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1915kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.22m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ホライゾンブルー・パール、ダークブルー・パール、クリスタルブラック・シリカ、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、カスケードグリーン・シリカ、オータムグリーン・メタリック、ブリリアントブロンズ・メタリック |
||
| オプション色 |
クリムゾンレッド・パール、クリスタルホワイト・パール |
||
| 掲載コメント |
※2030(R12)年度燃費基準60%達成車 |
||
| 型式 | 5AA-SKE |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | CVT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ホライゾンブルー・パール、ダークブルー・パール、クリスタルブラック・シリカ、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、カスケードグリーン・シリカ、オータムグリーン・メタリック、ブリリアントブロンズ・メタリック |
| オプション色 | クリムゾンレッド・パール、クリスタルホワイト・パール |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.64m×1.82m×1.72m |
| ホイール ベース |
2.67m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.57m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 2.13m×1.55m×1.28m |
| 車両重量 | 1640kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1915kg |
| 最低地上高 | 0.22m |
| 掲載用コメント | ※2030(R12)年度燃費基準60%達成車 |
| エンジン型式 | FB20 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 水平方向4気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 48リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 18.6km/L |
| 総排気量 | 1995cc | 燃費(WLTCモード) |
14km/L
└市街地:11.2km/L └郊外:14.2km/L └高速:16km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 145ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
188(19.2)/4000 |
| エンジン型式 | FB20 |
|---|---|
| 種類 | 水平方向4気筒DOHC |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1995cc |
| 最高出力 | 145ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
188(19.2)/4000 |
| 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
| 使用燃料 | レギュラー |
| 燃料タンク容量 | 48リットル |
| 燃費(JC08モード) | 18.6km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 14km/L
└市街地:11.2km/L └郊外: 14.2km/L └高速: 16km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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