欧米のしゃれた車中泊スタイル「バンライフ」をカタチにする、DIYマスター
2021/04/06
▲自らの手で内装をカスタムするバンライフビルダーとして活躍する鈴木大地さんと、その愛車のメルセデス・ベンツ スプリンター車を自由に使いこなす達人たち。彼らのこだわりを参考に、自分らしく車を楽しむヒントを見つけよう。
今回は、新たなアウトドアジャンルとして定着しつつあるバンライフを楽しむ鈴木大地さんのバンを紹介。ビルダーとして自ら作り上げた愛車へのこだわりを聞いた。

バンライフビルダー
鈴木大地
東京都出身。41歳。20歳で工務店勤務の大工となり、店舗や住居のリノベーションを多数手掛ける。趣味と実益を兼ねて製作したカスタムバンがきっかけで、現在はバンのビルダーとして活動中。カスタムの費用は150万~200万円が目安(車両代別)。活動の模様はインスタグラム「daichi_suzuki.jp」で随時発信中。

鈴木大地さんの愛車
メルセデス・ベンツ スプリンター
日本には正規輸入されていない、質実剛健な商用バン。鈴木さんの愛車は初代で、ディーゼルエンジン+MT仕様。バンライフのスタイルを好むユーザーの間で密かな人気を集めていて、取材当日も顧客のオーダーを受けた現行型スプリンターが工房に入庫していた。
アメリカで生まれたアウトドアライフスタイルを日本から発信
キャンプ、MTB、トレッキングなどなど……、日本でも盛んなアウトドアアクティビティの多くは、アメリカで発展してきたものだ。
キャンピングカーもそのひとつ。「エアストリーム」に代表されるキャンピングトレーラーは、私たちにアメリカへの憧憬を抱かせる。
ただし、けん引にコツがいること(重量750kg以上はけん引免許が必要)や置き場所の問題などもあり、日本ではワンボックスカーやトラックをカスタムした、「バンコン」「キャブコン」と呼ばれるキャンピングカーが主流。また、2000年代以降は、ワンボックスやSUVで車中泊するスタイルも広く認知されるようになった。
一方、2010年代半ばからアメリカで台頭してきたのが「バンライフ」という概念だ。古いバン(商用車)をはじめ、シンプルで温もりのある道具とともに自然の中で過ごすライフスタイルは、ともすると生活感が強く出る従来の車中泊と違い、とてもファッショナブル。画像がSNSでシェアされるなどして、近年は日本でも人気が高まっている。
鈴木大地さんは、そんなカスタムバンを手掛ける人気ビルダーだ。
▲キャンピングカーは利便性を追求したものが多いが、鈴木さんがバンに求めるのはあくまで居心地のよさ大工仕事で培った確かな技術と独自のセンスで人気を集める
▲ルーフにソーラーパネルを設置。車中泊時の電力は、太陽光発電ですべてまかなっている。鈴木さん自身は旅やキャンプが格別好きというわけではなく、スキーやスノーボードで雪山に行くときの車中泊が主体。「とはいえ、こういう仕事をするうえで、まず自分が体験しなければわからないと思い、ノンストップで四国まで旅しました」(鈴木さん)
▲ウッドを多用した、オーソドックスなスタイルの室内の材料費は約50万円。車体と建材の間には断熱材を入れているが、冬の寒さを完全にしのげるほどではないとか。ソーラーパネルを稼働させてできた電気は、収納棚の下に設置した2基のバッテリーに充電「元々、大工仕事の移動中に体を休めることを目的に、メルセデス・ベンツの大きな商用バンを手に入れたのが始まりです。子供の頃から大きい車が好きだったし、車内で立って歩き回れるから、とても快適。内装のカスタムは海外のSNSや洋書を参考にした自己流です」
鈴木さんのカスタムバンはSNSやメディアを通じて評判を呼び、バンライフに憧れる人たちや、従来の日本製キャンピングカーに満足できない人たちからの支持を集めるように。
やがて、大工仕事よりもバンのカスタマイズが本業となり、今では東京の城東エリアにある、リノベーションした公団(UR)の一角に工房を構え、DIYアドバイザーとして活動する他、ワークショップも開催する。
「ここの団地は、入居者がリノベーションできるんです。工房で作った家具を見た住人の方が興味をもって、作り方を教えたり、楽しく交流させてもらっています」
▲存在感抜群のスプリンター。鈴木さんは並行輸入の中古車を2017年に約180万円で購入。あえて洗車をせず、道具らしい味を出している。鈴木さんの流儀だ
▲スチールホイールはセンターのエンブレムをマスキングして、黒く塗装。もともと錆びていて、むしろその方が味わい深かったとか夢はアメリカンスクールバスのカスタム!
「ずっと大工という仕事に誇りをもてませんでしたが、最近は続けてきてよかったと思えます」と語る鈴木さん。大工としての豊富な経験と確かな技術があるとはいえ、ビルダーとして支持を集めるのは、内装を仕立てるセンスの良さ、そして何よりも楽しい車を作りたいという思いをユーザーが感じているからだろう。
「ユニークな作例として、マイクロバスを移動オフィスにカスタマイズしたこともあります。オーナーは観光アプリを手掛ける社員数人の会社。バスで各地を移動しながら仕事をするというんです。今の時代らしい発想ですよね」
鈴木さんの夢は、アメリカのスクールバスのカスタム。集会所やカフェなど、みんなが集まれる楽しい空間を創りたいのだという。
固定概念にとらわれない発想と継続することの大切さ。鈴木さんの「バンライフ」には、車遊びの根源的な楽しさがある。
▲商用車特有の高い座面で見晴らし抜群。これまでに電装系や駆動系のトラブルで、車両代に匹敵する整備費用がかかったとか。現在もウインカーレバーの操作感が硬いとか、スライドドアの閉まりが悪いといった問題はあるものの、それでも他には代えられない魅力があるという
▲団地の敷地内にある、鈴木さんの工房。月に一度、DIYワークショップを開催し、住人と工具をシェアしたり指導を行っている
フリーエディター
櫻井 香
男性総合誌の編集者を経て、フリーランスに。雑誌メディアを中心に、カルチャー、アウトドア、ファッションなど、様々な企画を編集・執筆。これらのジャンルとクロスオーバーする形で車の楽しみ方を俯瞰し、非マニア層にもわかりやすい企画を得意とする。
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