エレガントなスポーツクーペ、プジョー RCZの中古車は今どうなってる?
2020/11/21
▲車名に3ケタの数字ではなく英表記を用いたプジョー RCZ。登場時にブランドエンブレムを変更するなど、プジョーの中でも特別な存在として扱われています(写真はRCZ R)プジョー初の数字ではない車名をつけた特別なモデル
2008、3008、5008といったSUVラインナップを拡充させるとともに、エントリーモデルの208をベースにピュアEVのe-208を登場させるなど、そのイメージを大きく変えつつあるプジョー。
1980年代以降のプジョーは205、106、306など小型のハッチバックが日本でも人気になり、走り好きの人やファッションにこだわりのある人から選ばれてきました。
90年代後半になると、電動メタルルーフでクーペとオープン、両方の良さを一度に味わえる“CC”シリーズがヒットしました。
ところで、プジョーと言えば車名に3ケタの数字で表記され、2ケタ目が0になることでも知られています。SUVシリーズやかつて日本でも販売された、両側スライドドアの小型ハッチバック1007など、4ケタ数字の車もありますが、真ん中の数字は0になっています。
現在は、新しく発売されたリフター(Rifter)という数字車名以外のモデルも登場しました。ですが、実は2010年に数字ではないではない、初のプジョー車が登場しました。それが、今回紹介するRCZです。
そんなプジョー RCZの気になる現在の中古車事情をお届けしますが、その前に、そもそもどんなモデルだったのか、振り返ってみましょう。
コンセプトをほぼそのままに市販化したRCZ
プジョー RCZは、2007年のフランクフルトショー(ドイツ)で初公開されたコンセプトカー「308RCZ」の市販モデルで、2010年から2016年まで日本で販売されました。ボディ形状は2+2のクーペになります。
まず目を引くのはデザイン! ワイドなボディと、全高1360mmという低い全高が熱い走りを予感させます。
AピラーからCピラーまで、弧を描く太いシルバーのアーチがエレガントな雰囲気を強調。そしてルーフは“ダブルバブルルーフ”と呼ばれた大きく2つの盛り上がりがある形状になっています。
▲この角度からだとダブルバブルルーフと呼ばれるルーフ形状がよくわかります。ルーフに合わせリアガラスも湾曲しています当時のプジョーを象徴する切れ長のヘッドライトは、大きなテールライトでデザイン的な共通性をもたせるとともに、サイドから車を見たときに、前後のシルエットがとても似ていることが特徴です。
スポーツモデルはフロントを長く、キャビン後方を切り詰めた“ロングノーズショートデッキ”と呼ばれるスタイルが王道。
FR車だとエンジンが縦置きになるので必然的にフロント部が長くなります。エンジンを横置きしたFFモデルでもスタイルを良くするためにフロント部を長くしたモデルもあるほど。
しかしRCZは、フロント部を切り詰めるとともに、リアを長くしたスタイル。これが逆に伸びやかな雰囲気で美しい!
コンセプトカーが示した世界観を、ほぼそのまま市販化したスタイリングに魅せられた人も多かったはず。
後部座席は、お世辞にも広いとは言えず実用的ではないので、ヒットモデルとはなりませんでしたが、発売時はそのスタイリングが大きな話題になりました。
コンセプトカーの名称からもわかるように、ベースとなったのは2008年に日本に導入された、ハッチバックの308です。
搭載エンジンは、308と同じ1.6Lツインスクロールターボ。トランスミッションは6ATと6MTが用意されていて、6ATが156ps、6MTが200psと、トランスミッションの違いによりエンジンの最高出力が異なっています。
また、6ATは右ハンドルなのに対し、6MTは左ハンドルに。RCZの6MTモデルはかなりマニアックな存在もありました。
最高出力を見てもわかるように、RCZは圧倒的なパワーを武器にしたスポーツカーではありません。しかし、エンジンを高回転まで引っ張りながら走らせたときの爽快感はプジョーの王道的な楽しさ! RCZにもそれが色濃く表れています。
RCZ専用にチューニングされた足回りは、“ネコ足”とも表されるしなやかな乗り味を継承しつつ、タイトコーナーでもスパンと切れるように曲がっていく。さすがプジョー! です。
トランク部分には、速度に応じて自動で角度が変わるアクティブリアスポイラーを搭載。このスポイラーは、センターコンソールのスイッチで任意に操作することも可能です。
RCZは、ベースグレードの他、カーボンルーフパック、インテグラルレザーパック、カーボンルーフインテグラルレザーパックというパッケージオプションが設定されました。2013年6月には、バイキセノンヘッドライトを装備し、より精悍な表情に変更されました。
2014年4月には、プジョーのモータースポーツ部門である、プジョースポールがチューンナップしたRCZ Rが150台限定で登場。最高出力を270psまで高めるとともに、専用サスペンションなどが奢られています。
▲プジョースポールがチューンしたRCZ R。リアのスポイラーは固定式になります
▲RCZ Rはシートがバケットタイプに2015年7月には、インテリアにレッドステッチをあしらったGTラインを追加。そして同年9月には、RCZ Rにカーボンルーフなどを追加装備したRCZ Rファイナルバージョンを30台限定で発売しました。
▲2015年に追加されたGTライン。フロントライト内がブラックになり精悍な印象に
▲GTラインはグリル内に専用バッジが付けられました
▲GTラインのインテリア。ブラックレザーに施された赤いステッチがスポーティな印象ベースグレードのATなら100万円以下も狙える!
そんなRCZは、2020年11月14日現在、68台と少ないながら流通していました。そのうち50台ほどが、2013年5月までのモデルとなります。
最も流通量が多いのは、ベースグレードの6ATモデル。2013年5月までAT車だと、価格帯は総額90万~180万円と、比較的リーズナブル。低価格帯は走行距離が8万km前後。高価格帯だと走行3万km以下の中古車も見つかりました。
台数は少なめですが、パッケージオプションが付いたものも見つかります。価格帯もベースグレードと変わらないものの、走行距離はベースグレードよりやや多めとなります。
左ハンドルのMT車の流通量は約20台。こちらも価格帯はATとあまり変わりませんが、走行距離は多め。その意味でMT車は、AT車より相場が高いと言えるでしょう。これはスポーツモデル全体に見られる傾向です。MTモデル狙いであれば、数が少ない分即買いが必須と言えます。
2015年に追加されたGTラインの中古車は6台。価格帯は180万~300万円となっていました。そしてスペシャルモデルのRCZ Rの中古車は3台で、価格帯は280万~350万円。
RCZ Rの中古車は流通量が増えることが考えにくいので、乗りたい人はこちらも見つけたら即買いをオススメします。
▼検索条件
プジョー RCZ(初代)×全国

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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