GLC ▲プレミアム感満点で、なおかつ日本の道でも扱いやすいサイズ感であることから人気が高いメルセデス・ベンツ GLC(初代)

まだ格安ではないが、「かなり狙いやすい状況」にはなった!

メルセデス・ベンツ GLCは、それまで「GLK」と名乗っていたモデルが中身とデザインを一新し、2016年2月から「GLC」と名乗り始めた中型のSUV。メルセデス・ベンツ Cクラスのテクノロジーを受けついだメカニズム的優秀性と、メルセデスならではのクオリティ感、そして日本の道でも扱いやすいサイズ感により、輸入SUVの中ではトップクラスの人気を博し続けている1台です。

そんな素敵なミドルサイズSUVである初代GLCの中古車平均価格は、この1年間で約70万円の大幅下落を記録。もちろんまだまだ「格安」とは言い難い相場ではありますが、かなり狙いやすい状況にはなってまいりました。

これを機に、初代メルセデス・ベンツ GLCのモデル概要を振り返りつつ、お得な買い方やオススメグレードを検討してみることにしましょう。
 

GLC▲程よいプレミアム感とサイズ感が魅力的な初代GLC

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メルセデス・ベンツ GLC(初代)
 

モデル概要:Cクラスのテクノロジーを応用して誕生したミドルサイズSUV

メルセデス・ベンツ GLC(初代)はその名のとおり、同時期のメルセデス・ベンツ Cクラスのテクノロジーをベースに作られたSUVで、ボディサイズは全長4660mm×全幅1890mm×全高1645mm。ラゲージルームの容量は前身であるGLKより100L多い550Lで、後席を倒せば最大1600Lまで拡大可能です。
 

GLC▲こちらがメルセデス・ベンツ GLC(初代)。写真はマイナーチェンジ前の前期型
GLC▲ボディサイズは全長4660mm×全幅1890mm×全高1645mm。発売当時、メルセデスのSUVとしては2番目にコンパクトなモデルだった
GLC▲前期型の場合、センターコンソールには8.4インチのディスプレイが装備される。写真は本国モデルのオプション装備装着車
GLC▲荷室の容量は後席使用時で550L。後席の背もたれを倒すことで最大1600Lまで拡大できる

当初ラインナップされた「250 4マチック 4WD」のパワーユニットは最高出力211psの2L直4ガソリンターボで、駆動方式はフルタイム4WD。走行状況に応じて減衰力をコントロールする「アジリティコントロールサスペンション」を採用し、5つドライブモードを選択できる「ダイナミックセレクト」も標準で搭載されました。

登場年の9月にはプラグインハイブリッド車を追加し、翌年2017年2月にはエントリーグレードの「200」を追加。こちらは「250 4マチック 4WD」と同様の2L直4ガソリンターボエンジンではありますが、最高出力を184psに抑え、なおかつ駆動方式も4WDではなくFFとしたグレードです。また同じタイミングで、最高出力170ps/最大トルク400N・mの2.2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「220 d 4マチック ディーゼルターボ 4WD」も追加されています。

そしてその後いくつかの小変更を行ったのち、2019年10月にはマイナーチェンジが実施されました。

マイナーチェンジの内容は、エクステリアデザインを変更するとともに、インテリアではダッシュボード上部のディスプレイを8.4インチから10.25インチにワイド化。また、ステアリングホイールも指先のタッチ&スワイプで各種設定が行えるタイプに変更され、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も採用されました。さらには運転支援システムも、このタイミングでバージョンアップしています。

そしてマイナーチェンジではパワーユニットも刷新されました。前期型では「250 4マチック 4WD」という車名だったグレードは「300 4マチック 4WD」という車名になり、2L直4ガソリンターボエンジンの最高出力は211psから258psに増強。また「220 d 4マチック ディーゼルターボ 4WD」の2.2L直4ディーゼルターボエンジンも、前期型の同170psから194psに変更されています。
 

GLC▲ヘッドランプやバンパーなどのデザインが変更された後期型のエクステリア
GLC▲こちらは後期型のリアビュー。テールランプは、他のメルセデスSUVに共通する「ブロックデザイン」と呼ばれる意匠を新たに採用した
GLC▲後期型の運転席まわり。ダッシュボード上部のディスプレイは10.25インチにワイド化されている
 

その後も少々の改良が行われたのち、2023年3月に2代目GLCへとフルモデルチェンジされた――というのが、メルセデス・ベンツ GLC(初代)の大まかなモデル概要です。
 

 

中古車状況:流通量はやや減少傾向だが、平均価格は順調にダウン

冒頭でも述べたとおり、メルセデス・ベンツ GLC(初代)の中古車平均価格は、この1年間で約70万円のダウンを記録しています。

具体的には、2024年6月の時点で437万円だった平均価格は、2025年5月時点では367万円に。そしてこちらは「平均価格」ですので、実際の市場では200万円台の物件も多数流通しています。

GLC


中古車流通量の方を見てみると、延べ掲載台数は442台とまずまず豊富で、選びやすさにおいても特に問題はありません。とはいえ流通量は今年に入ってから減少傾向となっていますので、そこは少しだけ頭に入れておく必要があるかもしれません。

それでは次章以降、具体的なオススメグレードを見てまいりましょう!

GLC


 

中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら総額200万円台前半のGLC 250 4マチック スポーツ 4WD

いくらのラインをもって「価格重視」とするかは判断が分かれるところでしょうが、メルセデス・ベンツ GLC(初代)の2025年5月時点での中古車平均価格が367万円であることから考えると、「総額250万円以下での購入=割安感あり」とするのが妥当であるように思えます。

2025年7月上旬現在、総額250万円以下で狙えるGLC(初代)の物件数は約50台。そのうちの約7割が2L直4ガソリンターボエンジンを搭載する「250 4マチック スポーツ 4WD」で、約3割が2.2L直4ディーゼルターボエンジンの「220 d 4マチック スポーツ ディーゼルターボ 4WD」。

そして少数の「200 スポーツ(出力を抑えた2L直4ガソリンターボを搭載するFF車)」が流通しているという状況です。
 

GLC▲総額250万円以下の価格帯で流通の中心を占めている「250 4マチック スポーツ 4WD」
 

流通量的にメインとなる「250 4マチック スポーツ 4WD」は、総額200万円付近ですと走行距離が多めになるものの、総額250万円に近い価格帯(240万円台ぐらい)の物件は、走行距離が比較的短めである傾向があります。もちろん中古車のコンディションというのは走行距離だけで測れるものではないのですが、一般論としては「総額240万円台ぐらいの予算感で、内外装の状態と整備履歴が良好な250 4マチック スポーツ 4WDを探す」というのが、価格重視でGLC(初代)を探したい場合の王道的作戦となります。

同じぐらいの予算感でディーゼルターボの「220 d 4マチック スポーツ ディーゼルターボ 4WD」を探してもいいのですが、こちらのグレードは総額250万円以下の価格帯だと、走行距離延び気味の物件が中心になります。前述のとおり、中古車は走行距離だけでうんぬんできるものではありません。しかし基本的には、ディーゼルターボが欲しい場合はもう少しだけ予算感を上げてみるのが得策となるでしょう。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代)× 250 4マチック スポーツ 4WD × 総額250万円以下
 

中古車のオススメ②:総額200万円台後半の予算感ならGLC 220 d 4マチック スポーツ ディーゼルターボ 4WD

想定予算をもう少しだけ上げて「総額200万円台後半」にすると、選択肢の内容はやはり好転します。

総額250万~299万円のゾーンで流通しているメルセデス・ベンツ GLC(初代)の物件数は約65台。その中の割合は「250 4マチック スポーツ 4WD」と「220 d 4マチック スポーツ ディーゼルターボ 4WD」がおおむね半数ずつで、FFのエントリーグレードである「200 スポーツ」は、この価格帯でも少数派です。
 

GLC▲総額200万円台後半では、ディーゼルターボ車がガソリンターボ車と同数程度流通している
 

総額250万円台前半では走行距離多めの物件が中心となってしまうディーゼルターボの「220 d 4マチック スポーツ ディーゼルターボ 4WD」も、この価格帯であれば走行4万km台ぐらいの物件を見つけることができます(※もちろんこの数字は「イメージ」または「傾向」で、実際の走行距離は物件により千差万別です)。あるいは走行距離が若干延び気味だったとしても、その代わり、総額200万円台前半では探せなかった「本革仕様」を見つけることが可能になります。

そして同じく流通の中心である「250 4マチック スポーツ 4WD」も、総額250万円台後半の予算感であれば走行3万km台ぐらいの物件も検討可能となり、グレード的にも素の「250 4マチック スポーツ 4WD」ではなく「本革仕様」が中心になります。

もちろん考え方や予算感は人それぞれであるため、総額250万円以下でメルセデス・ベンツ GLC(初代)を探すのも決して悪くない選択です。しかし、よりイージーかつ的確に「価格重視」で探したい場合は、総額250万円台後半または300万円ちょいぐらいまでのゾーンで物事を考えてみるのが、基本的には最適解となるでしょう。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代)× 220 d 4マチック スポーツ系 × 総額350万円以下
 

中古車のオススメ③:後期型狙いなら総額400万円台のディーゼルターボ車

ここまでは、いかにも中古車らしく「なるべく割安に」という観点で考えてまいりました。しかし「中古車らしい割安感は重視しつつも、やはり機能性や質感の高さ、デザインの現代性なども重視したい」と考える人も少なくないでしょう。

そのように考える場合は、当然ながら2019年10月以降のGLC(初代)後期型を検討することになります。
 

GLC▲2代目と比べてもさほど遜色ない「今どきっぽさ」が感じられるGLC(初代)後期型

2025年7月中旬現在、GLC(初代)の後期型中古車は約110台が流通中。

比較的安価な前期型ではガソリンターボ車とディーゼルターボ車の流通量はおおむね拮抗していましたが、後期型ではディーゼルターボエンジンを搭載する「220d 4マチック AMGライン ディーゼルターボ 4WD」が多数派を占め、ガソリンターボの後期型「300 4マチック 4WD」は全体の2割以下にとどまります。ちなみに、プラグインハイブリッドの「350 e 4マチック 4WD」は超希少です。

後期型のメインである「220d 4マチック AMGライン ディーゼルターボ 4WD」は総額360万~640万円付近にて約90台が流通していますが、総額300万円台の物件は(後期型としては)走行距離が延び気味である場合が多いのがやや気になるところ。かといって総額500万円以上になると「ここまでのお金を拠出するなら、いっそ初代ではなく2代目の方が……」という迷いが生じてしまいそうです。

そのため、後期型のGLC(初代)を狙う場合に納得感と品質感、そして割安感のバランスが取れるのは「総額400万円台」であるはず。一概にはいえませんが総額440万円前後にて、何かと好バランスな後期型「220d 4マチック AMGライン ディーゼルターボ 4WD」を見つけられる場合が多いでしょう。

ちなみにガソリンターボエンジンを搭載する「300 4マチック 4WD」は、流通量が少なめゆえに各店間の価格競争が起きにくいせいか、好バランスな物件の想定価格は総額490万~520万円付近と、若干お高くなってしまいます。

そういった意味でも、よほどガソリンエンジンならではの鋭い吹け上がりがお好みな場合は別として、後期型を狙う場合はディーゼルターボの一択でよろしいかと思います。

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メルセデス・ベンツ GLC(初代)× 後期型(2019年10月~2023年2月)

以上、多少なりともメルセデス・ベンツ GLC(初代)選びのご参考になったならば幸いです。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(初代)
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
※記事内の情報は2025年7月15日現在のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。