R34型スカイラインGT-Rが高すぎる……少しでも賢く狙う方法はないのか、真剣に考えてみた!
2025/09/12

ほんの少しでも現実的な買い方はないものか?
1999年1月から2002年8月まで製造販売されたBNR34型日産 スカイラインGT-R。言わずと知れた名作スポーツカーであり、その人気のほどは、今さらご説明するまでもないだろう。
そんなBNR34は、日本のみならず北米などでも大人気を博しているせいか、中古車価格は信じられないほどに高騰してしまった。

BNR34型スカイラインGT-Rのそもそもの新車価格は――時期やグレードによって異なるが、おおむね500万円から630万円。最終限定車である「Mスペック ニュル」でも630万円だったのだ。
それが、あれよあれよという間に平均価格が上昇し、直近のそれは約2500万円。ほんの5~6年前までは「一番高いモノでも1600万円ぐらい」というイメージだったBNR34だが、直近の最高値物件は6000万円を軽く超えている。
……こうなってしまうと「もうBNR34に乗るのはあきらめるしかない」とも思ってしまうわけだが、とはいえ、ほんの少しでも現実的な買い方はないものだろうか?
次章以降、そのモデル概要をふりかえるとともに、BNR34型日産 スカイラインGT-Rの「2025年的探し方」を、真剣に検討してみたい。
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日産 スカイラインGT-R(5代目)モデル概要:当時の日産の技術と魂の粋を集めたスポーツモデル
「R34型スカイラインGT-R」と呼ばれることも多いBNR34型日産 スカイラインGT-Rは、1999年1月8日に販売開始となった日産のスポーツモデル。
前身であるBCNR33型で若干不評だった大柄なボディは、ホイールベースが55mm、全長が75mmサイズダウンされ、前後重量配分も約55:45に改善。そしてそこに、最高出力280ps/最大トルク392N・mとなるRB26DETT型2.6L直6DOHCターボエンジンが搭載された。駆動方式は、アテーサET-Sと呼ばれる電子制御フルタイム4WDだ。



発売当初に設定されていたグレードは、標準車である「GT-R(※カーセンサーnet上の表記は2.6 4WD)」と、専用の空力パーツや専用チューンされた足回りなどを採用した「Vスペック」、そしてスーパー耐久シリーズ参戦用ベースモデルである「Vスペック N1」の3種類。
2000年8月に行われたマイナーチェンジ時に登場した「VスペックII」は、量産車としては初となるNACAダクト(NASAの前身であるNACAが開発した空気取り込み用のダクト形状)付きカーボン製エンジンフードや、アルミ製ペダルを採用。また、このときのマイナーチェンジでは、前期型ではVスペック N1のみに採用されていた大径リアブレーキを全車に採用している。
2001年5月には、乗り心地と上質感を重視した仕様である「Mスペック」が登場し、こちらは比較的洗練された乗り味と、ハンドメイド縫製の本革ヒーター付きシートなどが特徴だった。
そして2002年1月には、BNR34型GT-Rの生産終了を記念した限定モデル「VスペックII ニュル」と「MスペックII ニュル」が登場。こちらはニュルブルクリンク24時間耐久レースや国内のスーパー耐久レースなどで使われるN1仕様エンジンがベースで、ピストンやコンロッドの重量バランスは均一化され、高回転域における回転フィーリングに磨きがかけられた。また、300km/hの専用スピードメーターなども「ニュル」の特徴である。

中古車状況:約90台の中古車が平均価格を大きく下げることなく流通中
前述したとおり、5~6年ほど前は「一番高いモノでも1600万円ぐらい」という中古車状況だったBNR34であり、その当時の中古車平均価格はおよそ900万円だった。だが、2023年になると平均価格は楽勝で2000万円台まで上昇し、翌2024年には3000万円台に突入してしまった。
とはいえ、同年6月ぐらいには3000万円台を脱したわけだが、その後も依然として2900万円付近で、要するに「だいたい3000万円ぐらい」で推移中であるという、もはやスケール感がよくわからない状態となっているのが、BNR34型日産 スカイラインGT-Rの価格状況だ。

一方の延べ掲載台数は、2023年から2024年にかけては若干増加していたものの、2025年に入ると「90台ぐらい」で微動だにせず。要するにBNR34の中古車状況は、特に大きな転換期は迎えておらず、このまま謎のスケール感の超絶高値が続くものと推察される。

どうやら「待っていれば、そのうち安くなる」という可能性はなさそうであるため、もしも本当にBNR34が欲しいのであれば、今流通している中古車のなかから賢く狙う以外に方法はない――というのが結論だ。
……だが、「賢く狙う方法」なんてものは存在するのだろうか? 次章にて熟考してみることにしよう。
狙い方①:「平均価格×老舗専門店」の合わせ技で失敗を防ぐ
BNR34型日産 スカイラインGT-Rの中古車を2025年の今になって狙うなら、主には以下のポイントに留意することが重要となるだろう。
1. ボディがサビていない。そして歪んでいない
2. 派手な改造が施されていない(アンダーパネルにロールケージを取り付けていた穴があったり、追加メーターの取り付け穴などが内装パネルに多数あったりしない)
3. エンジンのアイドリングが安定していて、高回転域まで息継ぎなしで吹け上がる。エンジン始動中に妙な金属音などが聞こえてこない
4. アテーサ警告灯(4WD 警告灯)やHICAS警告灯などが点灯していない
5. ストラットタワー(ストラット上部を取り付ける車体側部分)が補修されていない
6. その他、いろいろ
BNR34ぐらいの年式、つまり20年落ち以上の車を買う場合は、「走行距離の短さ」にこだわるのはナンセンスであり、基本的には10万kmでも15万kmでもぜんぜん構わない。
とにかくボディが生きていて(つまり重大なサビが発生しておらず)、前オーナーまたは歴代オーナーがお金と手間と愛情を注いでいたこと=定期的なメンテナンスや部品交換、あるいはオーバーホールなどが行われ、なおかつ日頃から丁寧に扱われていたかどうかにこだわる方が、走行距離計の数字にこだわるよりも百倍は重要である。

とはいえ……それらを中古車販売店の店頭で確認するのはなかなか難しい。
「ボディのサビの有無を確認する」といっても、店頭でお客ができる確認作業には限界がある。また、「内外装がノーマルで、かつキレイであることに着目する」としても、いわゆるノーマル戻しの中古車であった場合には、なかなかアマチュアに判別できるものでもない。
つまりは「お手上げ」ということにもなるわけだが、あきらめたらそこで試合終了であるため、なんとか良質車を、比較的安価に入手する方法は見つけたい。
そして結論としては、「おおむね平均価格ぐらいの価格を想定しつつ、歴史のあるGT-R専門店で購入する」というのが、ほぼ唯一の解決策となるだろう。

中古車のコンディションというのはたいてい「値段なり」であり、20年以上前の硬派スポーツカーであるBNR34をちゃんとした商品車に仕上げるためには、どうしたってけっこうなお金がかかる。そしてそのお金は販売店がかぶるわけではなく、車両価格に転嫁される。
つまり、現在の平均価格ぐらいで売られているBNR34は「それなりの手間とお金をかけて商品化(整備や部品交換など)が行われた」と推測できるわけだ。
もちろん、世の中には「平均価格ぐらいで売るし、内外装もぱっと見はそんなに悪くないけど、見えない部分の商品化作業は何ひとつやってません」という極悪体質な販売店も、ないとは限らない。
だが、そういった極悪体質な販売店は今の時代、口コミパワーによって徐々に淘汰されている可能性が高い。つまり「歴史のあるGT-R専門店は、そういったあこぎなことはしていないからこそユーザーがリピートし、経営を続けられている」と推測できるわけだ。
それゆえ、長らく営業を続けている専門店にて平均価格ぐらい=2000万円台半ばぐらいを目安としてBNR 34を購入すれば、そうひどいことにはならない可能性は高い――と見ることができるのだ。
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日産 スカイラインGT-R(5代目) × 総額3000万円未満狙い方②:もういっそのこと最高値ゾーンの物件を買う!
平均価格ぐらい=2000万円台半ばぐらいの予算で、歴史のある専門店にて物件を探すというのは、なかなか現実的な方策であるとは思うものの、決して最善の策ではない。最善は「もういっそのこと最高値圏の物件を、カネの力に物をいわせて購入する!」ということになるはずだ。

現在、BNR34GT-Rの中古車における最高値圏とは、おおむね3600万~6600万円を意味する。そういった予算を用意できる人が日本に何人いるかはわからないが(当然ながら筆者は無理である)、もしもあなたが「用意できる人」であったならば、主には下記のようなBNR34を購入できるだろう。
・走行数百kmレベルの前期型標準車
・走行数千~3万km台ぐらいのVスペック ニュルIIまたはMスペック ニュルII
いくら低走行であったとしても、車は時間の経過とともに必然的に劣化したり固着したりする部品も多いため、それなりの整備費用はかかることが予想される。だが、それでも内外装のコンディションは「極上」といって差し支えないレベルであろうし、もしもそのまま走行距離をさほど延ばさずに手放せば、購入価格以上で売却できる可能性もあるだろう。
筆者には無縁な世界だが、「世界的な文化遺産を保護する」という意味合いで、ぜひニッポンのお金持ち各位にはこういったBNR34をご購入いただいたうえで、豪邸のガレージにて保管なさってただきたい。そしてある程度の年数がたって飽きを感じた頃には、ご売却なさるのも一興ではあるが、できれば博物館などにご寄贈いただければ――と願う次第である。
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日産 スカイラインGT-R(5代目)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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