X3 ▲プレミアム感と走りの良さは十分以上で、比較的扱いやすいサイズのSUVであるBMW X3。新車を買うとなると高額になりますが、3代目の中古車であれば総額200万円台前半から検討可能という。

新車を買うとなると総額900万円級の予算が必要だが

日本の道でも扱いやすいサイズ感と、SUVとしての高い実用性。そしてBMWならではの上質な内外装デザインと胸のすく走りにより、今も昔も大人気となっているBMW X3。

新車を購入するとなると、最も安価なグレードでも乗り出し価格は900万円ぐらいになる高級SUVですが、「3代目X3の中古車」であれば、総額200万円台前半から狙える状況になっています。

なかなか魅力的なプライス感になってきている3代目BMW X3の直近の中古車状況を詳細にチェックしてみるとともに、その上手な狙い方を考えてみることにしましょう。
 

X3▲このステキなたたずまいが総額200万円台前半で手に入れられるのはうれしい限りだが、具体的には何をどう選べばいいのだろうか?

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BMW X3(3代目)
 

モデル概要:オンもオフもイケるプレミアムな中型クロスオーバーSUV

2017年10月に上陸したX3は、通算3代目となるBMWのコンパクトSUV。「コンパクト」といっても、それはドイツや北米基準で考えた場合の話で、全長4720mm×全幅1890mm×全高1675mmというサイズは、日本では「ミドルサイズSUV」に該当すると考えていいでしょう。

プラットフォームはそれまでの2代目と同様にFRベースのもので、50:50の理想的な重量配分を実現している他、最大で2代目と比べ55kgの軽量化も実現。また同様の高い悪路走破性も受け継いでおり、最低地上高は204mmを確保。さらに最大渡河浸水は500mmと、十分以上の性能を有しています。
 

X3▲こちらが3代目BMW X3。写真は2017年10月から2021年9月までの前期型
X3▲全長4720mm×全幅1890mm×全高1675mmというスリーサイズは、日本の感覚でいうと「やや大柄な中型SUV」といったニュアンスか
X3▲パッケージオプションや世代によって細部は異なるが、3代目X3の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン
X3▲5名乗車時の荷室容量は550L。分割可倒式の2列目シートを倒せば最大1600Lまで拡大可能
 

日本仕様の当初のパワートレインは、ディーゼル車である「xドライブ20d」が搭載するのが最高出力190ps/最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボで、ガソリン車である「xドライブ20i」は同184ps/同290N・mの2L直4ガソリンターボエンジンを搭載。

その後2018年9月には最高出力326ps/最大トルク680N・mの強力な3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載する「M40d」が追加され、2020年3月には、こちらは強力な3L直6ガソリンターボエンジン(高出力387ps/最大トルク500N・m)を搭載する「M40i」を追加。
 

X3▲こちらは最大トルク680N・mの3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載するM40d
 

さらに同年4月には、最高出力184psの2L直4エンジンに同109psのモーターを組み合わせ、システム最高出力292psをマークするプラグインハイブリッド車「xドライブ30e」も追加されました。なお、日本仕様の駆動方式は全車フルタイム4WDです。

そして2021年10月には、主に内外装デザインと装備内容を中心とするマイナーチェンジを実施。

車体前後のデザインを小変更するとともに、最新の予防安全・運転支援システム「ドライビングアシストプロフェッショナル」を全車に採用。こちらには全車速対応型のアクティブクルーズコントロールやレーンキーピングアシスト、後側方警戒システム等々の他、渋滞時の手放し運転を可能にする「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」も搭載されています。
 

X3▲2021年10月の大幅改良を経た後期型
 
 

中古車状況:新型X3の登場をきっかけに中古車平均支払総額は下降傾向

2024年までは基本的に横ばい傾向が続き、一時は微妙な上昇局面もあった3代目X3の中古車平均支払総額ですが、2025年に入ってからは下落基調が鮮明となり、直近の中古車平均支払総額は444.4万円までダウンしています。

X3▲2024年9月~2025年8月までの中古車平均支払総額推移
 

平均価格ダウンの要因は、2024年11月に新型が発売された影響を受け、2025年1月頃から3代目モデルの中古車流通量が増加してきたことであると考えられます。つまり、何らかのネガティブな要因で平均価格が下がっているわけではない、ということです。

X3▲2024年9月~2025年8月までの延べ掲載台数
 

そして前述のとおり、3代目BMW X3の直近の平均価格は444.4万円ですが、実際の市場には「総額200万円台前半」ぐらいで狙える物件も流通しています。

そのようなお手頃価格で検討可能なセグメントを中心に、次章以降「3代目X3の上手な狙い方」について考えてまいります。
 

 

中古車のオススメ①:総額200万円台前半で選ぶなら程度良好な前期型xドライブ20d

結論から申し上げると、総額200万円台前半の3代目BMW X3は「選び方次第では、買っても普通にOKな選択肢」であるといえます。

2025年10月上旬現在、総額200万円台前半の予算で狙える3代目X3の流通量は約20台で、そのすべてが、2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載している「xドライブ20d」の系統です。

その中でもスタンダード(※カーセンサーnetでの表記はxドライブ20d ディーゼルターボ 4WD)の流通量は少なめで、メインとなっているのは「xドライブ20d Mスポーツ」と「xドライブ20d Xライン」です。

ちなみにMスポーツはスポーティな内外装と19インチまたは20インチのアルミホイールが特徴となるグレードで、Xラインは上質なヴァーネスカ・レザーシートなどが標準装備となる落ち着いた上級仕様です。
 

X3▲「Mスポーツ」のビジュアルはおおむねこのような雰囲気(※写真はM40d)
X3▲こちらはやや落ち着いたイメージの「Xライン」
 

そして総額200万円台前半で狙える3代目X3の年式は、そのほとんどが最初期年式にあたる2018年式ということで、多くの物件の走行距離は――もちろん実際は物件によって様々ですが、イメージとしては「6万~8万kmぐらい」となります。

初度登録から7~8年ほどが経過し、走行距離的にも6万~8万kmぐらいとなる中古車のコンディションというのは、3代目X3に限らず「個体によりけり」というのが正直なところです。

前オーナーが丁寧に扱い、正規ディーラーでの定期点検と整備を欠かさず、なおかつ必要な消耗部品交換を適切に行なってきた個体であれば、7~8年/6万~8万km程度の歳月と距離など、何の問題もありません。むしろ「本調子になってきた!」ぐらいの場合すらあるでしょう。

しかし、逆に前オーナーが荒っぽく扱い、なおかつ点検と整備もサボり気味だった個体は、同じ7~8年/6万~8万kmであってもずいぶんヤレてしまっている場合が多いものです。仮に見た目的には問題なかったとしても、そういった個体は7万km前後で要交換となる消耗部品も未交換である可能性が高いため、その中古車を購入したユーザーが、納車から半年後などに、当該の消耗部品を自分で交換するハメになったりもします。

そういった「手間とお金がかかる物件」を避けるためには、まずは内外装に荒っぽく扱われた痕跡がないかを確認してください。一概にはいえませんが、「荒っぽく扱われた痕跡」は、主にはインテリアに現れる場合が多いものです。
 

X3▲シフトレバーの周囲などにある小キズの数が妙に多すぎたり、タバコなどの異臭が染みついていたりする物件は、前オーナーからあまり大切に扱われてこなかった個体である可能性を考えたい
 

そしてそういった痕跡の有無を確認したうえで、整備記録簿にて「正規ディーラーにて定期的な点検と整備、部品交換を受けてきたこと」が確認できる個体であれば、総額200万円台前半で購入する中古車であっても、特に大きな問題なく維持できる可能性は高いと考えられます。
 

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BMW X3(3代目) × xドライブ20d系 × 2017年10月~2021年9月
 

中古車のオススメ②:後期型狙いなら総額500万円前後のxドライブ20d系

3代目BMW X3は2021年10月に、デザイン変更と運転支援システムの強化を中心とする大幅改良を行いました。

パワーユニットは前期型も後期型も同一ですが、より新しいニュアンスのエクステリアとなり、さらには高速道路でのハンズフリー運転も行えるようになった後期型は、やはり魅力的な選択肢ではあります。
 

X3▲キドニーグリルが左右一体構造になった他、より空力性能に優れた形状のバンパーや新デザインのヘッドランプを採用した後期型のエクステリア
X3▲リアまわりも、テールランプの意匠やバンパーの形状がより現代的なものに変更されている
 

そんな後期型先代BMW X3の、グレード別の中古車価格と流通量の目安、および「狙い目と思われる価格帯」は、おおむね下記のとおり。下記のプライスを「決して高くはないな」と感じる人にとって、後期型の先代X3は大いに狙い目な選択肢になります。

●xドライブ20d系|約150台|総額440万~690万円
 →注目ゾーン=総額450万~520万円

●xドライブ20i系|約10台|総額380万~440万円
 →注目ゾーン=総額420万~440万円

●M40d系|約20台|総額540万~770万円
 →注目ゾーン=総額540万~670万円

●M40i|約20台|総額540万~710万円
 →注目ゾーン=総額540万~670万円

逆に「高いな……」と感じる場合は無理に後期型にはこだわらず、総額250万~300万円付近にて前期型の良質物件を探してみるのがオススメとなるかもしれません。
 

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BMW X3(3代目) × xドライブ20d系 × 2021年10月~2024年10月
 

中古車のオススメ③:プラグインハイブリッドも素敵! ただし流通量の少なさが難点に

先代BMW X3は登場から約2年半後にあたる2020年4月に、プラグインハイブリッド車である「xドライブ30e」を追加しました。
 

X3▲モーターのみで140km/hまで加速させることができ、44kmのEV走行も可能となるxドライブ30e
 

こちらは前述したとおり高出力184psの2L直4エンジンに同109psのモーターを組み合わせ、システム最高出力292psをマークするプラグインハイブリッドを採用したグレード。

一充電あたりのEV走行距離(WLTCモード)は44km。0%から80%までの充電時間は普通充電で約3.5時間、0%から100%までは同4.3時間で完了します。

自宅に200Vの普通充電設備がある人や、今後それを設置する予定がある人にとってはなかなかナイスな選択肢となるはずのxドライブ30eであり、マイルドな乗り味や、「AUTO eDRIVE」モード選択時のシームレスな走りも好印象です。
 

X3▲表示内容などが純エンジン車とは異なるxドライブ30eのメーターパネル

しかし、いかんせんxドライブ30eの中古車流通量は激レアで、全国で4台ほどしか流通していません。

とはいえ、いちおう流通していることは確かであり、すぐに売り切れてしまうほどの大人気グレードでもないため、もしもプラグインハイブリッド車を欲しているのであれば、おそらくは確実に中古車を入手できるでしょう。

参考までに、xドライブ30eの細かなグレード別の中古車価格目安は2025年10月上旬現在、下記のとおりです。予算感が合う場合は、ぜひチェックしてみてください。

●xドライブ30e Mスポーツ エディション ジョイプラス:総額400万~410万円
●xドライブ30e Mスポーツ:総額490万~530万円
 

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BMW X3(3代目) × xドライブ30e系
文/伊達軍曹 写真/BMW
※記事内の情報は2025年10月1日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。