【試乗】新型 メルセデスベンツ EQC|ベンツ初のピュアEVは、“電気っぽさ”をあえて抑えた新感覚のドライビングフィール
2019/11/23
▲プレミアムブランドのメルセデスが量産型として初めて販売するEQC。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする既存モデルとは一線を画す、柔らかく丸みを帯びたデザイン
メルセデスベンツが初めて、量産型ピュアEVの“EQC”を発売した。
しかも、日本仕様である。
いったいどんなエッセンスを導入してくるのか?
自動車の王者として持ち味は何か?
興味は尽きない。
その見た目は、Cクラスのプラットフォームで作られたSUVである“GLC”の車高を少し落とした印象だ。
幅が広く見えるが、実寸はほとんど同じサイズである。
しかし全長は10cm伸びているので、より堂々とした印象がは強い。
電気自動車の専用ブランドであるEQとして初めてのモデルであるが、違和感のないデザインである。
強いて言えばフロントマスクにメルセデスらしい印象は少なく、エンブレムのスリーポインテッドスターを除けば柔らかい雰囲気の造形と言える。
▲既存のメルセデスとは明らかに違う造形
▲テールランプから上の車幅が絞られており、どっしりとした印象を受けるフィーリングはガソリンエンジンに近い
試乗コースは、六本木からお台場までの往復である。
ドアを開けるとGLCと雰囲気はそう変わらないが、インテリアはEQCならではのICやトランジスタを冷却するヒートシンクのデザインが目に飛び込む。
エアコンの送風口にも、EQCのアイデンティティが投入されている。
シートポジションから前方を見ると、GLCよりも幾分大きな印象を受ける。
車幅の感覚はメルセデスらしくつかみやすいのだが、車体先端部の想像がつきにくい。
右手にあるセレクタレバーをDレンジに入れて、ゆっくりとスロットルを開けていく。
コントロールが非常に容易だ。
内燃機関よりも唐突なトルク特性もなく細かな制御が感じられる。
六本木の目抜き通りを走る。
ここは路面のクォリティが良くないのだが、EVにありがちな上から重さで押さえつけるような乗り心地よりも、内燃機関に近いセッティングだ。
それがとても心地よく、しかも荒れた路面でも静粛性がいい。
EVは動力音が静かなだけに、相対的にロードノイズが聞き取りやすくなってしまう。
しかし、EQCではそれらは抑えられ、驚くほどの静粛性が保たれていた。
同社のSクラスよりも静かである。
一本裏道に入って、狭い道の操作性も見てみる。
乗り始めは車両感覚がつかみづらかったが、10分ほど乗れば初めに感じたフィールとは違い乗りやすくなる。
メルセデスは、不思議と車両感覚をドライバーに促す部分が上手だ。
▲GLCより大きな印象を受けるが車両感覚はメルセデスの他モデルと同様につかみやすい
▲エンジン音がしないにも関わらずロードノイズを不快に感じることはなかった回生ブレーキ使っての操作もスムーズ
首都高速都心環状線にある飯倉料金所から入って、お台場にある潮風公園に向かう。
飯倉料金所から本線への合流は、上り坂と短いアプローチで加減速が慣れないと難しい。
しかし、さすがEVである。時速100kmまで5.1秒という俊足をいかして、グッと加速する。
しかも、それは暴力的ではなくジェントルな加速だ。
ペダルのオンオフで調整して、他の車と足並みを揃える。
少々回生ブレーキが強くなっていたので、ステアリングホイール裏に取り付けられた、まるでシフトパドルのような右側の+プラスパドルをコントロールして回生を弱くする。
これで、ペダルを離したときの速度の調整をする。
一度、設定した回生の度合いに慣れてしまえば、それほど頻繁に動かす必要はなさそうだ。
EQCはあえて、ワンペダルで停止までできる仕様にはなっていない。
最終的には、ドライバーが停止するように仕向けているのだ。
ノロノロ運転では、先ほどのパドルをうまく使って回生ブレーキを働かせてもいいが、右足だけでフットブレーキを使わなくても操作することもできる。
浜崎橋を過ぎて右カーブを軽快に走る。
地に足の着いた動力は、前後のモーターの特性を変化させてスムーズに走り抜ける。
加速も素晴らしい。メルセデスの他モデルと比較しても、上品でSクラスに近い4マチックという印象だ。
モーター特有の一気に出力の出るトルク特性を抑えながら、内部に力をためている感じがして心強い。
今回は短い距離での試乗なので、EVの性能を測るもっともわかりやすい航続距離(カタログ上では400km(WLTCモード))を体感することはできなかった。
実際の距離は難しいかもしれないが、今度機会があったら都内だけではなくEQCのボリュームにあったロングドライブもしてみたい。
そうさせる思わせる静粛性と乗り心地がそこにはあった。長距離でのドライバー支援システムも楽しみだ。
▲給電口は右側のサイドと後方に2ヵ所。CHAdeMO企画の急速充電器では30分で120kmの走行が可能
▲モデルバッジもボディデザインに合わせて柔らかいイメージのフォントが採用されている【試乗車 諸元・スペック表】
●400 4マチック 4WD
| 型式 | - | 最小回転半径 | -m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.76m×1.88m×1.62m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.87m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.62m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2495kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ポーラーホワイト、オブシディアンブラック、グラファイトグレー、カバンサイトブルー、ブリリアントブルー、ハイテックシルバー、セレナイトグレー |
||
| オプション色 |
ヒヤシンスレッド、ダイヤモンドホワイト |
||
| 掲載コメント |
※諸元情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
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| 型式 | - |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポーラーホワイト、オブシディアンブラック、グラファイトグレー、カバンサイトブルー、ブリリアントブルー、ハイテックシルバー、セレナイトグレー |
| オプション色 | ヒヤシンスレッド、ダイヤモンドホワイト |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | -m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.76m×1.88m×1.62m |
| ホイール ベース |
2.87m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.62m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2495kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※諸元情報は一部本国仕様の情報を掲載しております ※納車時期を2020年春以降を予定しているため、車両価格は消費税10%が適用された金額を掲載しております |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 408ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
760(77.5)/- |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 408ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
760(77.5)/- |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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