【試乗】BMW M2クーペ(2代目)|乗りこなす「腕」を必要とする希少価値のあるMTモデル
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2025/04/11

BMW M社が鍛え上げたハイパフォーマンスクーペ
現在日本において、コンパクトなボディに縦置きパワーユニットを搭載した後輪駆動のハイパフォーマンスモデルは、これしかない。
それがBMW M2クーペである。


M2クーペは、3シリーズをベースに作られたM3などと同じプラットフォームが用いられているハイパフォーマンスモデルだ。
M社を今さら語る必要はないとは思うが、BMW モータースポーツの頭文字「M」から名付けられただけあって、手がけたモデルのすべては、世界一過酷なサーキットで知られるニュルブルクリンク専用のプログラムでテストされている。
以前、BMWの方から伺ったことがあるが、「M」と名乗るモデルはニュルをレコードラップで周回しても不具合が生じないという。特にブレーキやルブリケーティングオイル類にも問題ないと太鼓判が押されて、それら専用パーツを組み込んだ仕様が「M」なのだ。
だから、見せかけではない本物の特別なモデルなのである。今回はM2の中でも、ハイパフォーマスモデルとしては絶滅危惧種のMT仕様車をお借りして試乗した。



スタイリングは賛否両論あるが、装飾的な部分がないのは潔い。ブリスター化してマッシブになった各部は、性能に特化したいでたちである。
しかも、MT仕様である。これほど特化したクーペモデルはポルシェ 911かこのM2だけであろう。個人的には911よりも際立っていると感じるし価格も1000万円を切ったプライスであるから、昨今のパフォーマンスモデルから比べると相対的に値頃感があると思う。


自分を高めてくれるマシン
深めのクラッチを踏んで、赤いボタンを押せばドラマは始まる。エンジンが冷えていればシリンダー内の圧力を高くすることから音圧もパンチがあるが、温間時であればジェントルなアイドリングといえよう。近所迷惑になることはないはずだ。
クラッチは踏んだまま、H型レーシングパターンの6速トランスミッションのシフトを1速に放り込む。独特なプルンとしたシフトフィールである。


最高出力460馬力と最大トルク56.1kg・mという出力をMTで試乗するのは久しぶりだ。ちなみに、2025年モデルは480馬力に向上しているが、それでも十分すぎるパワーである。
運転には慣れているとはいえ、生粋のFRモデルで少々緊張感はある。発進してすぐに2速3速とシフトアップして極端に過給圧を上げず流しながら走らせる。「S58B30A」のパワーユニットはMの証しである頭にSが入る。素材を吟味して作られたエンジンだ。
ツインターボと緻密な燃料コントロールによりラグを感じる暇はない。すべてにソリッドというのがこのモデルにはふさわしい。

カーボンによって型どられたシートは、エクステリアのデザイン以上に機能とデザインが際立っている。普段でもステアリングとサスペンションはスポーツモデルであることがわかりやすく、車両の動きも把握しやすいので路面とのコンタクトもつかみやすい。
コーナリングスピードはふくらはぎで押さえたいほどGがかかる。高速コーナーを最も得意とする走りがうかがえた。
ただヒール&トーに関しては、高速からの操作であればコントロールしやすいが、中速以下の速度領域ではストッピングパワーが一気に立ち上がるために慣れた人でないと難しいだろう。そういう部分があるからこそ乗りこなそうと思うに違いない。


ステアリングもシャープで雑に扱ってはいけない。すべてをリズミカルに操作することによってM2を飼いならすことができる。
馬を上手に扱うためにこんな言葉がある。「名馬にならえ」と。自分にないものを教えてくれるそんなモデルがこのM2クーペである。

【試乗車 諸元・スペック表】
●M2クーペ 3.0
型式 | 3BA-12DM30 | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.58m×1.89m×1.41m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.75m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.61m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1710kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1930kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ザントフォールト・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、ブルックリン・グレーメタリック |
||
オプション色 |
フローズン・ピュア・グレーメタリック、フローズン・ポルティマオ・ブルーM |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-12DM30 |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 2 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ザントフォールト・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、ブルックリン・グレーメタリック |
オプション色 | フローズン・ピュア・グレーメタリック、フローズン・ポルティマオ・ブルーM |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4.58m×1.89m×1.41m |
ホイール ベース |
2.75m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1710kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1930kg |
最低地上高 | 0.12m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | S58B30A | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 52リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 2992cc | 燃費(WLTCモード) |
9.9km/L
└市街地:6.8km/L └郊外:10.3km/L └高速:11.8km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 460ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
エンジン型式 | S58B30A |
---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2992cc |
最高出力 | 460ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 52リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 9.9km/L
└市街地:6.8km/L └郊外: 10.3km/L └高速: 11.8km/L |
燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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