【試乗】新型 ロータス エミーラ|今までのロータスとは違う! 超一流のパフォーマンスに程よい快適性の新世代ミッドシップスポーツ
カテゴリー: ロータスの試乗レポート
2023/09/17
▲エキシージやエヴォーラの後を継ぐ新世代のミッドシップスポーツ。ロータスらしいドライビングダイナミクスはそのままに、日常でも使えるモダンでラグジュアリーなスタイルを採用しているまずは使い慣れたトヨタ製V6エンジンを搭載
ロータスが中国の巨大資本ジーリーの傘下となったのは2017年のこと。資金と人材という“金棒”を得たロータスはすぐさま“ヴィジョン80”という近未来戦略を整えて、創立80周年を迎える2018年までに大胆な変身を宣言したものだった。その第1弾が新時代到来を告げる打ち上げ花火のEVハイパーカー、エヴァイヤ。そして第2弾がこのタイプ131、エミーラだった。
“リーダー”を意味する古代言語からその名をとったという。このネーミングには現在から近い将来にかけてもスポーツカー界をけん引するという、ロータスの強い思いが秘められていた。
▲ボディサイドには吸気口に空気の流れを導くシェイプセクションが備わる
▲12.3インチ液晶メーターディスプレイとダッシュボードにタッチスクリーンを備えた“モダン”なインテリアそのスタイルはミニエヴァイヤだ。ヘッドライトまわりやサイドの巨大なトライアングル、全体的なシルエットにエヴァイヤからの影響が顕著に見える。
ボディサイズはエリーゼよりかなり大きい。ベンチマークとしたのは恐らくポルシェ ケイマン。要するにエリーゼの後継モデルではなくケイマンのように世界市場で通用するスポーツカー像として開発されたのだろう。事実、開発当初から実用性の向上という目標が掲げられていた。2シーターながらホイールベースを+2シーターのエヴォーラと同じ2575mmとし、座席後ろにシェルフとエンジン後方にトランクスペースを設けたのはその際たる成果だ。大型化の背景には将来の電動化も透けて見える。
インテリアはさらに“ロータスらしくない”。はっきりと快適性重視となり、インフォテインメントに加えてADASなど各種先進機能も充実している。スパルタンな名残はマニュアルミッションの下部、メカニカルパートが透けて見える程度。
だからと言ってロータスらしいドライビングダイナミクスをおざなりにしたわけじゃない。ワイドトラックとなり、ジオメトリーや前後重量配分を徹底的に最適化した。空力デバイスに頼らないエアロダイナミクスを全面的に採用する。
まずはエンジンモデルのみの導入となった。初期の限定モデルにはお馴染みのトヨタ製3.5L V6が搭載され、従来どおりMTもしくはATを組み合わせることができる。注目は続いて登場した4気筒グレードで、なんとAMG製の2L 直4ターボ(M139)+7DCTを搭載した。このあたり、ジーリーを介したアセットの有効利用であろう。今後のフル電動パワートレインも含め、ロータスの開発環境とアセットは非常に恵まれていると言っていい。つまり、未来に期待が持てる(ボルボの成功がそのことを如実に物語っている)。
果たしてエミーラはどこまでケイマンに迫ることができたのか。まずはトヨタ製V6に3ペダルミッションを組み合わせたモデルを長距離ドライブに供してみた。
▲3.5L V6スーパーチャージャーエンジンをリアミッドに横置きで搭載結論から言うと、ポルシェ 718ケイマンやアルピーヌ A110ほど“お利口さん”ではなく、かといってアルファ ロメオ 4Cやロータス エリーゼほど“ヤンチャ”ではない。スポーツカーとしてのパフォーマンスは超一流ながら、程よい快適性を備えているというあたり、718ケイマンやA110のオルタナティヴとして積極的にオススメできるモデルになっていた。ロータスらしくないことに!
718ケイマン(ただしハードボイルド系を除く)ほど安楽ではないし、A110ほどクリーンなテイストではないけれど、グランツーリスモとして十分に使える。ボディが強く、シャシーがきちんと自分の仕事をこなせるため、クルージングのコンフォート性は下手なスポーツセダンよりも上。ただし、低い視線(流れる景色)が疲れを呼んでしまうことは仕方ない。718ケイマンは低いが疲れない。そこは、さすが実用性のポルシェである。
V6エンジンとマニュアルミッションの組み合わせは、さすがに使い慣れているだけあって、もはやロータス製と思えるほど適度に官能的で十分なパフォーマンスをこの車に与えている。そのことは高速クルージングでも、また高速を降りた街中のドライブでも、十分に感じられる。そして、ワインディングロードへと気分は導かれるのだ。
楽々と京都までの450kmを走り切り、待ちきれずホームワインディングロードへ繰り出した。エリーゼやエキシージの“切れ味鋭いナイフ感覚”はもとより期待していなかった。かといって、最近の718ケイマンやA110のように完成度が高すぎるのもどうかと思う。果たしてエミーラはそんな個人の思いの程よい領域をついてきた。
もちろん完成度は高い。そこは718ケイマンやA110寄りだ。小型のミッドシップカーながらピーキーで手に負えないという感覚はまるでなく、しっかりとした前輪の手応えとコントローラブルだと思わせる腰から後ろの一体感は、エミーラが実に完成度の高いスポーツカーであることをよく物語っている。そこまではエリーゼあたりとはまるで違う。けれどもこの個体は3ペダルだ。2ペダルに比べて未完成なドライバー要素による影響を顕著に受ける。つまり、素晴らしい立ち上がりの加速もガックリのコーナリング姿勢もドライバーの技量によるところがまだまだ大きい。要するに味わい深い。長く付き合えそうなのだ。
もちろん、速さだけを言うなら2ペダルである。それは間違いない。けれども車好きは単なる速さのためにスポーツカーに乗るのではない。レーサーではないのだ。
マニュアルミッションで操るエミーラは、そのことを改めて教えてくれた。おそらく、2ペダルのみとなるAMGパワートレインでは、もう少し“つまらない”と思ってしまうに違いない。
▲エアベントを備えたボンネットをはじめ、エヴァイヤにインスパイアされたデザインが取り入れられた
▲内外装にはファーストエディションのエンブレムが備わる
▲V6ファーストエディションにはレザー/アルカンターラのコンビシートを採用。シートの背後には容量208Lのシェルフが備わる
▲エンジン後方にラゲージを配置、容量は151Lとなる
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
ライバルとなるポルシェ 718ケイマンの中古車市場は?

2005年に2シーターミッドシップオープン「ボクスター」のクーペモデルとして登場したケイマン。2016年のモデルチェンジで、1950年代の水平対向4気筒エンジンを搭載したレーシングカー「718」に由来する「718ケイマン」に車名を変更し、水平対向4気筒ターボ搭載モデルとして登場した。その後、水平対向6気筒の上級モデルが追加された。911がラグジュアリーなグランドツーリングカーとなるに伴い、ポルシェのリアルスポーツモデルとしてのポジションを確立している。
2023年9月中旬時点で、中古車市場には110台ほどが流通しており、その平均価格は990万円となっている。水平対向4気筒ターボ搭載モデルが多いものの、水平対向6気筒を搭載する高性能モデルのGTS 4.0とGT4も40台ほどが流通している。また、MT車も40台程度が流通しているので、スポーツカーはMTで楽しみたいという人にも注目してもらいたい貴重なオススメモデルだ。
▼検索条件
ポルシェ 718ケイマン× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●V6 ファーストエディション
| 型式 | - | 最小回転半径 | -m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.41m×1.9m×1.23m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.58m |
| ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.61m/1.63m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1458kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
へセルイエロー、セネカブルー、マグマレッド、シャドーグレー、ニンバスグレー、ダークバーダント |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
※諸元数値はイギリス本国発表を基にしています |
||
| 型式 | - |
|---|---|
| 駆動方式 | MR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 6MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | へセルイエロー、セネカブルー、マグマレッド、シャドーグレー、ニンバスグレー、ダークバーダント |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | -m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.41m×1.9m×1.23m |
| ホイール ベース |
2.58m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.61m/1.63m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1458kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.13m |
| 掲載用コメント | ※諸元数値はイギリス本国発表を基にしています |
| エンジン型式 | 2GR-FE | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | スーパーチャージャー | 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 3456cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 405ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
430(43.8)/6700 |
| エンジン型式 | 2GR-FE |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC |
| 過給器 | スーパーチャージャー |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 3456cc |
| 最高出力 | 405ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
430(43.8)/6700 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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