【試乗】新型 ジープ グランドチェロキーL|アメリカンSUVらしさに満ちたロングボディのフラッグシップ
カテゴリー: ジープの試乗レポート
タグ: ジープ / SUV / 4WD / グランドチェロキーL / EDGEが効いている / 西川淳 / c!
2022/03/21
▲10年ぶりのフルモデルチェンジでグランドチェロキー初の3列シートを備えたLが登場古き良きスタイルをほうふつとさせる3列シートのアメリカンSUV
ジープ グランドチェロキーが10年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。初めて写真を見た瞬間にそのスタイリングに惚れた。最近の非ラングラー系ジープが忘れていたテイストで、古き良き時代のアメリカンSUVをほうふつとさせるデザインだったからだ。四角くて長いワゴンスタイルも実にグランドチェロキーらしい。
実際、SUVの元祖としてかつて一世を風靡した“ワゴニア”をデザインリソースとして選んだのだという。ワゴニア的逆スラントのマスクからはすでに威風堂々の貫禄すら漂っている。ちなみに、ジープは最上級ラインナップとしてさらに大きなSUVシリーズを設定し、それをワゴニアと名付けた。そちらはキャデラックエスカレードクラスがライバルだ。
新型グラチェロ最大のポイントもまたボディサイズだろう。3列シートのSUVといえば現代のミニバンというべき人気カテゴリーで、当然ながらジープもそこに目をつけてきた。新たに3列目シートを備えたロングバージョンのグランドチェロキーLをラインナップに加えたのだ。さすがにアメリカンだけあって、Lともなれば全長も5.2mに及ぶ。
まず、そのグラチェロLのみが日本仕様として導入された。シンプルに2種類のグレード、「リミテッド」(7人乗り)と「サミット リザーブ」(6人乗り)を用意する。2列シートのショートボディの方が好みという既存オーナーも少なくないと思うが、どうやら生産が遅れているらしい。ちなみに、ショートは全長4.9m。これは旧型よりわずかに長い程度。とはいえ、全高や全幅の数値は増しているから、新型は2列シート同士で比較してもやっぱり大きくなった。
日本仕様に積まれるパワートレインは3.6L V6+8AT+4WDの1種類のみだ。本国には設定のある高性能でお馴染みのV8 HEMIやプラグインハイブリッドの導入は今のところ見送られている。
▲5つのモードがセレクトできるセレクテレインを標準装備。サミット リザーブにはエアサスペンションが装着される
▲エンジンは他モデルにも搭載される3.6L V6のみ。副変速機を備えた4WDを組み合わせている実車を見る前から大きくなったという情報を意識しすぎたせいだろうか。実物の脇に立ってみても驚くほど大きいという印象にはいたらなかった(最近はもっと大きなSUVが日本へも導入されている)。Lボディだけあって確かに長く見えるが、マスクが低く幅広いデザインなので威圧感はさほど強くない。もっといえば、水平基調のためスマートにさえ見える。なるほど、これならグラチェロサイズだと納得できるスマートさ。インテリアの高級感も期待していたほどの上質さはなく、イマドキの高級アメ車ならクリアしているスタンダードレベルだった。
グループのアルファ ロメオが開発したFR系プラットフォーム、ジョルジョを使うと聞いていたので、実を言うと脱アメリカンな走りを期待しつつも、逸脱するとそれはそれでやばいと思っていた。チェロキーがステルヴィオのようにキレッキレに走ったら、と思うと、それはそれでちょっと怖い。
▲こちらは3列7人乗りのベーシックグレード、リミテッド。サミット リザーブに21インチホイールに対し、18インチを装着しているところが、乗ってみて拍子抜けした。そのドライブフィールはまさにグランドチェロキー、おうようさをしっかりと感じるアメリカンSUVだったからだ。これなら生粋のチェロキー派を驚かせることはないだろう。むしろ、程良くボディがしまった感じに感心されるかもしれない。
気になったのはパワートレインの古さが乗り味に悪影響を与えている点だ。微妙なアクセルコントロールが難しく、全体的に荒っぽいあたり、昔のアメ車そのもの。自宅の駐車場からしてだだっ広いアメリカ市場ならともかく、微速域でこそドライブに慎重さを求められる日本ではちょっといただけない。ここは、プラグインハイブリッドなど他のパワートレインに期待したいところ。
ライドフィールのおうようさはアメリカンSUVの典型だと書いたが、ボディが強くなったぶん下半身の震えもはっきりと伝わって、大きなタイヤの存在をこれまで以上に感じてしまうというネガもあった。
総じて、旧型グラチェロやアメリカンSUVからの乗り替え需要には適した仕上げになっていると思われるのだが、内外装のデザインに惚れてヨーロピアンSUVから乗り替えるユーザーは、その走りの質感にもちょっとしたカルチャーショックを受けるかもしれない。
▲インテリアは水平基調で横方向の広がりを強調。ATシフトはブランド初のロータリーシフトが採用された
▲サミット リザーブ(写真)にはパレルモレザーを用いたシートを標準化。リミテッドもレザーシートを備えている
▲サミット リザーブは2列目が独立2座となる。座席の間にはセンターコンソールが備わり、車内からの3列目への移動はできない
▲3090mmのホイールベースにより室内は広く、3列目も十分な広さを確保している
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
ジープ グランドチェロキー(先代)の中古車市場は?

ベーシックなラレードやサミット、上級グレードのリミテッド、ハイパフォーマンスモデルのSRT8やトラックホーク、オフロード性能を高めたトレイルホークなど豊富なラインナップが揃う先代モデル(WK型)。流通量は270台前後、中古車平均価格は約377万円となっている。
▼検索条件
ジープ グランドチェロキー(旧型)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●リミテッド 4WD
| 型式 | 7BA-WL36L | 最小回転半径 | 6.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.2m×1.98m×1.82m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 3.09m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.67m/1.67m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2170kg |
| シート列数 | 3 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 7名 | 車両総重量 | 2555kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブライトホワイトクリアコート、バルティックグレーメタリッククリアコート |
||
| オプション色 |
ダイアモンドブラッククリスタルパールC、ヴェルヴェットレッドパールコート |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 7BA-WL36L |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブライトホワイトクリアコート、バルティックグレーメタリッククリアコート |
| オプション色 | ダイアモンドブラッククリスタルパールC、ヴェルヴェットレッドパールコート |
| シート列数 | 3 |
| 乗車定員 | 7名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 6.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.2m×1.98m×1.82m |
| ホイール ベース |
3.09m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.67m/1.67m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2170kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2555kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | G | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 87リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 3604cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 286ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
344(35.1)/4000 |
| エンジン型式 | G |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 3604cc |
| 最高出力 | 286ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
344(35.1)/4000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 87リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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