日産 GT-R

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
 

ゲームの中で出合った憧れのGT-R

街を走れば、視線を集めずにはいられない。そんな圧倒的な存在感を放つのが、ピンクにラッピングされた R35 GT-Rだ。

迫力のある4本出しマフラーから響くサウンドは、まるでその場の空気までも支配するかのよう。

そんな車から降りてきたのは、意外にも小柄でかわいらしい女性だった。彼女の名前は、のんちゃんRさん。
 

日産 GT-R

「憧れの車を所有できて、本当にうれしいんです」

そう語りながら愛車を見つめる彼女の表情は、どこかやさしい笑顔であふれていた。

GT-Rとの最初の出合いは、ゲームの中だった。まだ幼かった頃、ゲーマーだったというのんちゃんRさんは、歴代のグランツーリスモシリーズに夢中になり、画面の中で車を操る楽しさを知った。

「初代グランツーリスモには、R32やR33のGT-Rが収録されていて。すごくかっこ良くてなによりも速かった。その時ですかね、いつか絶対GT-Rに乗りたい! って決意したのは」

オシャレも大好きだったのんちゃんRさんは、美容師としてキャリアをスタート。夢が叶ったのはその数年後、3台目の愛車としてR33 スカイラインGT-Rを手に入れた。

ドライブが大好きだった彼女は、昼夜を問わずいろんな場所へ大好きな愛車と出かけて行ったという。

そしてR33GT-Rに乗りながら、次に乗る車は最新最強の性能を誇るR35 GT-Rと決めていた。
 

日産 GT-R

「できれば人と違う車に乗りたい!」との思いを胸に探していたところ、中古車サイトで全国に2台しかなかった赤いボディのR35を見つけた。すぐさまお店へと向かい、その場で即決。まさに運命の出合いであり、2回目の夢がかなった瞬間でもあった。

しばらくはもとの赤のままで乗っていたが、1年後には「自分が好きなピンクにしたい」と思い立ち、専門店にお願いしボディ全体にラッピングを施した。フロントはピンク、リアはグレーという個性的なスタイルを採用。

それからはカーラッピングの魅力にハマり一回全てはがすものの、数年後にもう一度フルラッピングを施した。今度は前回のデザインをベースに、カモフラージュ柄の模様も取り入れた。

「このGT-Rは現行型だけど、登場は2007年。今となってはもう18年もたってるし、生産終了も発表されたし……。少しでも新しく見えるように、カモフラージュ柄を入れてみたんです。ほら、たまにデビュー前の新しい車がカモフラージュ柄で走っているじゃないですか(笑)」
 

日産 GT-R
日産 GT-R
日産 GT-R

いろんな人と出会えたのは“サンゴー”のおかげ

今や「R35のんちゃんR号」は、彼女の顔ともいえる存在に。この車があったからこそ、広がった世界がある。

「今の活動ができているのは、すべてこの子のおかげなんです」

現在は、日本スーパーカー協会の広報、シュアラスター広報、A PITオートバックス東雲イベントスーパーアドバイザーとして活躍している。それらの多くは、愛車でイベントに参加したことがきっかけで出会った人たちとのご縁だった。

さらに、軽量スポーツカーも楽しむためにAUTOZAM AZ-1を、街乗り用にはBMW 5シリーズを数年前に増車。「気づいたら仲間が増えてました(笑)」と話すその笑顔に、車への深い愛情がにじむ。

「このサンゴーに出会えなかったら、今の私はありません。知り合えなかった人や、経験できなかったことばかり。車には感謝しかありません」

そう語るのんちゃんRさん。

注目の的となるピンクのGT-Rは、ただの派手な車ではない。人との縁をつなぎ、未来を切り開く、彼女の大切な相棒である。

今日ものんちゃんR号は街を走る。きっと誰かの目に留まり、新たな縁を運んでいることだろう。
 

日産 GT-R
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文/瀬イオナ、写真/阿部昌也

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日産 GT-R(R35型)
日産 GT-R

のんちゃんRさんのマイカーレビュー

日産 GT-R(R35型)

●購入価格/600万円
●マイカーの好きなところ/アフターパーツが多いので色々とカスタムが楽しめて、サーキットを走ったらとても速い
●マイカーの愛すべきダメなところ/私の35は初期型なので、正直故障は多いです……。
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/やっぱりGT-Rが好きって人に乗ってもらいたいです。絶対に後悔しないので!

瀬イオナ

自動車ジャーナリスト

瀬イオナ

車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ。