【図説で愛でる劇中車 第19回】メタルヒーローはアメリカ車好き?「東映特撮の劇中車 その2 アメリカ車編」
2021/04/28

国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第19回は、昭和50年代中頃から平成10年代に放送された「メタルヒーロー」シリーズから、「アメリカ車」をベースに作られた劇中車を紹介します。
「メタルヒーロー」とは、昭和57年の「宇宙刑事ギャバン」に端を発する、「金属っぽいスーツを着たヒーロー」が登場する特撮番組のこと。
劇中には、ヒーローの特徴や個性をさらに際立たせる、個性的(無茶があるともいう)な設定・特徴的なデザインのスーパーマシンが数多く登場するのですが、その中から厳選して紹介します!
ダークカラーがクールな「機動刑事ジバン」のレゾンと、“変身”する「特警ウインスペクター」のウィンスコード

平成元年に放送開始の「機動刑事ジバン」は、メタルヒーローシリーズ8番目の作品です。
ヒーローといえば人間から変身するパターンが主ですが、ジバンは「犯罪組織バイオロンによって絶命したセントラルシティ署の刑事・田村直人がサイボーグとして復活」というストーリーでした。
そんな主人公ジバンが乗るのは、KK-01 レゾンというスーパーポリスカー。
「特撮ヒーローが乗るマシンは派手!」という印象を覆すメタリック・カラーは、メタルヒーローのジバンにぴったり。
発進時にはボンネットの電飾が点滅して、未来感を演出していました。そして、最高時速はなんと800km/h! 人工知能も搭載という設定です。
ベースは、ポンテアック ファイアーバード トランザムで、マイナーチェンジを受けた1985年以降のモデルになります。
そして、次に紹介するのは「レスキューポリス」シリーズ。「機動刑事ジバン」の後番組として平成2年から始まった「特警ウインスペクター」から続く3作にあたります。
大規模な悪の組織は出現せず、災害や犯罪から人々を救出するヒーローというコンセプトが斬新で、単体ヒーローから複数人体制になったことも新機軸でした。
ウインスペクターの正式名称は、警視庁特別救急捜査隊ウインスペクター(WSP)。ハイテク犯罪から市民の安全と平和を守るべく立ち上がった組織です。
3人構成のうち、人間が変身(着化)するのはファイヤー1人だけで、残りはサポートロボットというのも画期的。ちなみにその中の1人バイクルは、名古屋弁を喋ります(笑)。
ファイヤーの通常の愛車は、パトロールスコード。白と黒の色合いが、ベースのシボレー カマロ(3代目)によく似合っていました。
そして、パトロールスコードはウインスコードに“変身”が可能!
ボンネットが開いて中から赤い装甲が、車体下からも上にかぶせる装甲が出現するという大胆な変形プロセスが見どころです。ちなみに、変形後の最高時速は、これまた800km/h!
秘密武装を満載した「特捜エクシードラフト」のバリアス7

レスキューポリスシリーズ3部作のラスト、「特捜エクシードラフト」は平成4年の作品。
2作目「特救指令ソルブレイン」では男女+ロボットというチームでしたが、エクシードラフトでは3人ともに人間が変身するようになりました。
エクシードラフトの正式名称は、特別救急捜査隊(SRED)。前2作と大きく異なるのが中盤以降の内容で、神と悪魔の戦い・天使の登場など、観念的で壮大なストーリーが展開されました。
エクシードラフトで活躍するマシンで印象的なのが、25話から活躍するSRED-02 バリアス7です。
ベースはシボレー コルベット(4代目)。モダンで流麗なフォルムに付加した装飾が、SFマシンらしさをアップしていました。
しかもバリアス7は、通常形態のパトロールモードから各種機能を展開してエマージェンシーモードに変身します。
最高速度は400km/hですが、ハイパースピードモードでは1200km/h、ウルトラハイスピードモードではなんと2000km/hに達するとのこと(驚)。そう、これぞ劇中車のロマンです!
悪役マシンのようなスゴみと迫力! 「特捜ロボ ジャンパーソン」のダークジェイカー

エクシードラフトの後番組で、メタルヒーローシリーズ第12作が、平成5年放送開始の「特捜ロボ ジャンパーソン」です。
本作の大きな特徴は、主人公が「人間から変身しない純粋なロボット」であるということ。人間とロボットが共存共栄する世界で、多発するロボット犯罪に対応すべく警視庁が開発した戦闘ロボットがジャンパーソンでした。
ジャンパーソンが乗るスーパーマシンが、ダークジェイカー。
ベースは、抑揚のあるデザインが印象的なシボレー コルベット(3代目の1980~1982年頃のモデル)で、紫と黒というダークカラーも相まって、まるで悪役が乗るようなスゴみと迫力が醸し出されていました。
ダークジェイカーは、運転席周辺がなんと分離式という設定で、もぬけの殻になった部位には助手席からビッグキャノンが展開するという大胆な設計でした。
さらに、分離するコックピット部は、空を飛ぶ「スカイジェイカー」、地中を進む「ドリルジェイカー」、そして海に潜れる「マリンジェイカー」に載せ替え可能。
しかも、26話からはこれらを換装し、ダークジェイカーも輸送する母艦「ジェイガリバー」も登場しています。
あ、もはやお約束の最高速度ですが、ダークジェイカーは700km/hです。もはや驚きませんよね(笑)。
アメリカ車とメタルヒーローの相性ヨシ!
メタルヒーローシリーズ4作品に登場した、アメリカ車ベースのスーパーマシンたち。
もともとのデザインが未来的に見えることもあり、メタルヒーローのイメージによく似合っていました。いやー、劇中車ってほんとうに奥が深くて面白いですね。
ちなみに、当連載の第11回では、「昭和の東映特撮に出てくる劇中車 その1」と題し、昭和40~50年代に東映が製作した4つの特撮から、ヒーローが乗る特徴的な万能スーパーマシン4台をピックアップしています。
興味を持たれた方は、こちらも合わせてご覧ください!

イラストレーター/ライター
遠藤イヅル
1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はサーブ900、VWサンタナほか実用的な車ばかり。
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