貴重な国産ミッドシップ『トヨタ MR-S』の価格がついに上昇へ転じた! 欲しい人は早めの行動を
2020/08/29

国産では貴重なミッドシップレイアウトのMR-S
中古車は、基本的に年を追うごとに価格が下がる。その中で、人気車は一定の価格で留まり、おおむね水平基調を維持しながらゆっくり落ちる傾向がある。
しかし、そこからコレクターズカーへの階段を上がるように、価格が上昇する車もたまにある。例えば、近年の旧車ブームで値上がりした、昭和の日本の名車なんかはそうだった。
そしてつい最近、トヨタ MR-Sもこの階段を上り始めたようだ。
まずは、MR-Sとはどんなモデルなのか振り返ることにしよう。MR-Sの祖に当たるのが、1984年に国産乗用車初のミッドシップレイアウト(MR)を採用して登場したMR2だ。
フェラーリ 512BBやランボルギーニ カウンタックのように、エンジンをシートの後ろに置き、後輪を駆動させるが、MR2はあくまでもシティランナバウト。つまり街を軽快に走るモデルで、スーパーカー系とは異なるものだ。
ちなみにMR2という車名は「ミッドシップ・ランナバウト・2シーター」から付けられた。ランナバウト(runabout)とは「その辺を気軽に走り回る」という語源をもつ、乗りものを示す言葉だ。

その意思は、1989年に登場した2代目MR2にも引き継がれたが、同期の日産 スカイラインGT-Rを筆頭に、ハイパワースポーツカーが人気を集めていた時代。
その波に飲み込まれた2代目MR2も、最終的には当時WRCで活躍していたセリカのベース車であるGT-FOURと同じ3G-GTE(2Lターボ)を載せ、最高出力245psを誇った。
ところが1999年に登場したMR-Sは、2代目とは一転して140psの1.8L自然吸気エンジンを搭載。
全長は280mm短くなったが、ホイールベースは50mm延長され、車重は一気に320kgも軽くなった。名前もMR2からMR-S(ミッドシップ・ランナバウト・スポーツカー)へと変わっている。

わざわざ「スポーツカー」を名乗ったにも関わらず、パワーダウンしたわけだが、だいたい「スポーツカー」という言葉には様々な定義がある。
MR-Sが目指したスポーツカーは、そして本来MR2が志していたのは、サーキットや峠道へ行かなくても、例えば交差点を曲がるだけなど、何気ない日々でも運転が楽しいと思えること。何しろ「ランナバウト」なのだから。
280psのGT-Rと比べたら、2代目MR2の245psはたいしたことないように見えるかもしれない。だが、MRレイアウトでハイパワーなエンジンを載せたら、普通の人が公道でそのポテンシャルを出し切るなんて不可能だ。全然ランナバウト=その辺を気軽に走り回る乗りもの、じゃない。
その点MR-Sはわずか140psだが、徹底した軽量化と、ミッドシップゆえ駆動輪である後輪によくトラクションがかかるため、加速感が十分高かった。しかもオープンカーゆえ、開放感が運転する気持ちよさにもつながった。
一方で堅守したMRレイアウトは、曲がりやすい=クルッと回転してしまう、という課題があるが、ロングホイールベース化と重量配分によって、MRらしい曲がる楽しさと安定性を備えることができた。
手法こそ違えど、似たようなことを今も続けているのが、マツダ ロードスターだ。MR-Sと違いFRだが、同じライトウェイトスポーツのオープンカー。
残念ながらMR-Sは、ロードスターほど人気を得ることができず、2007年に生産を終了し、後継モデルが登場することもなく、その後トヨタ製スポーツカーは86まで途絶えることになった。


台数の減少、人気の再燃が起因か? 平均価格が90万円を突破
しかし、MR-Sに一定の人気があったのは事実。だからこそ生産終了から10年以上経った今でも、中古車相場は平均額で言えば70万~80万円前後で推移してきたのだ。
だが、2019年後半から80万円を超えるようになる。さらに、今年6月の平均額は88.0万円、7月はついに91.0万円にまで上がった。

一方で、中古車の流通台数を見ると6月、7月は減少傾向が続いている。

「台数が減れば中古車価格が高くなっても当然」なのだが、2018年も1年間を通して見れば、1月の340台から12月は259台へと大きく下がっている。にも関わらず、先述のとおり、価格は77.6万円(1月)から70.9万円(12月)になるなど、大きな変化はなかったのだ。
つまり、現在のMR-Sの中古車は、価格が高騰中だということ。
偶然にも、今年1月からマンガ雑誌でMR-Sに乗る少年が主人公の連載が始まった。これを人気再燃(=価格高騰)の一因とみる者もいる。因果関係は定かではないが、マンガ次第ではさらに価格が上がってもおかしくない。
何しろ、現状ミッドシップレイアウトの国産スポーツカーは、スーパースポーツのホンダ NSXと軽自動車のS660しかないのだから。
「いつかは手に入れたい」とか「もう一度乗りたい」と思ったまま、しばらく様子見していたのであれば、早めに行動した方が良さそうだ。
▼検索条件
トヨタ MR-S(初代)×全国
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
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