【名車試乗】トヨタ アルテッツァ(初代)|メカチューンの真髄を知らしめる、超高回転2Lモデル
2025/04/15
▲自動車テクノロジーライター松本英雄氏が、トヨタの名車アルテッツァ RS200に試乗。インプレッションをお届けするトヨタ最高峰のメカチューンが施されたエンジンを搭載
今から20~30年ほど前は、新車の試乗はワインディングで行われることが多かった。
私の記憶だと、アルテッツァのデビュー時も、ワインディングのメッカともいえる箱根ターンパイクが試乗コースだった。1998年のことである。
アルテッツァの最大の特徴は、FRという王道の4ドアスポーツセダンというところであろう。
スタイリングのクライマックスは、張り出したフロントフェンダーだ。リップの部分が薄く作られたデザインは、最近では車幅が2mを超える弩級モデルのみに見られるフォルムである。
そして、これまた大径に見せる純正のホイールもカッコイイ。17インチというサイズは、今となっては控えめと言っても良いが、フェンダーとのデザインが合っていた。

エンジンのバリエーションは2種類。1つはAS200という1G-FEの直列6気筒。おとなしめのパワーユニットだが静粛性にすぐれているのと、やっぱりバランスとハーモニックな雰囲気が個人的には好きだった。
そして2つ目が、最もホットなモデルであるRS200である。名機で名高い“3S-GE”の最も進化したジェネレーションが搭載された。
1L当たり100ps以上のパワーは、トヨタ最高峰のメカチューンだといえよう。
▲RS200に搭載される3S-GE型エンジン。最高出力210psを発揮するしかもRS200はJ160という、日産やマツダにも使われているアイシン製の6速MTが搭載された。
クロームメッキのシフトノブは、どことなくクラシカルな印象があり好きだった。
RS200には5AT仕様も存在したが、ほとんどがこの6MT仕様だったのではないだろうか。
当時、吸排気に可変バルブタイミング(VVT-i)を採用してドライバビリティと高回転・高出力が可能となった点も魅力的だった。
トヨタが製造したVVT-iは、様々なメーカーが使用している。そのことからも、信頼性と性能の高さがうかがえるであろう。
話は戻るが、当時試乗したときはパワーを感じたく、若気の至りでスロットルを踏み込んだ。
クロノグラフの時計のデザインを取り入れたメーターのレッドゾーンは7800rpmぐらいであった。市販される2Lのメカチューンエンジンは、超高回転域で最高出力を甲高い音とともに絞り出した。
▲クロノグラフを模したメーターやクロームメッキのシフトノブが印象的だNAの高回転・高出力エンジンは時代とともに少なくなってきた。スペシャルモデルを除き、このアルテッツァは量産モデルとして最後の世代である。
改めて乗って気づくジェントルさ
今回は「Vintage Club by KINTO」にてしっかりとレストアされた、アルテッツァ RS200に試乗する機会をいただいた。あれから27年ほどの時を超えた今、名機を積んだ名車にまた試乗できるなんて……。一粒で二度おいしいとでもいうのであろうか? このような機会をいただいたことに、感謝は尽きない。
▲今回試乗することができたのは、1999年式のトヨタ アルテッツァRS200 Zエディション
▲ボディカラーは純正色のブルーメタリックお借りしたアルテッツァRS200は、純正色のブルーメタリック。落ち着いたダーク系のカラーは、大人のスポーツセダンといったところだ。
ブラックを基調とした純正のシートは全く色あせがなく、良コンディションが保たれているのがわかる。
当時は現在のレギュレーションよりも甘い点があり、ノーズが短くても許された。シート座ると、その見切りの良さに驚く。
3S-GEの集大成に火を入れると、4気筒エンジン特有のブルっとした振動とともにエンジンが始動する。
レスポンスは良好だ。クラッチも整備が行き届いている。クラッチを切ってすぐに1速に放り込んでも、実にスムーズ。まるで熱したナイフでバターに切りこんだかのようだ。

セミバイワイヤーのスロットルは扱いやすくレスポンスも非常にいい。2L 4気筒は1気筒当たり500㏄というバランスの良さで、スタート時のドライバビリティも好調で、扱いやすい。
早めにシフトアップをして、伸びの良さを感じる。4000回転付近でも十分楽しい。
当時よりも進化を感じさせるキットで武装されているため、サスペンションもしなやかでブレーキのコントロールはしやすく、ヒール&トーもとても容易だ。
今回は一般道での軽い試乗であったが、当時はこのようなおおらかな乗り方ができなかった。今改めて軽く乗りこなすと、扱いやすいスポーツサルーンだということが理解できる。
肩肘張って乗りこなすのではなく、軽く扱う技量をもってジェントルに扱えることができるモデルだと改めて感じた。
初代レクサス IS、日本名アルテッツァは紳士的である。しかし、日本仕様のみ存在するRS200はトヨタが贈るメカチューンの真髄を知らしめる、超高回転2Lモデルであることも間違いない事実である。


自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は馬場馬術。
アルテッツァ RS200をはじめ、往年の名車に乗れるサービス
「Vintage Club by KINTO」では、様々な往年の旧車を借りられるサービスを展開している。各車両の整備はトヨタ自動車やレストアを手がける新明工業が行う。
レンタルできるモデルは下記サイトを参照。
今回試乗したアルテッツァ RS200については、現在埼玉キャラバンとして、次のトヨタディーラーにてレンタルを行っている。
3/13(木)~6/10(火):埼玉トヨペット株式会社 GR Garage 浦和美園(埼玉県さいたま市岩槻区美園東2-1-1)
詳細、レンタルの予約は下記のリンクより。

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