【海外試乗】新型 BMW M5|727ps/1000N・mのモンスターサルーン!
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2024/11/04
▲5シリーズをベースにBMW M社が手がけたM ハイ・パフォーマンスモデル。7代目となる新型は、Mモデル史上最強パワーのM専用プラグインハイブリッドを搭載するM5初のプラグインハイブリッドモデル
M5というモデルの本質は何か。BMWはG90型となる新型M5の国際試乗会を地元ミュンヘンで開催するにあたり、参加するジャーナリストにそのことを再確認させる機会を用意してくれていた。それは初代E28型セダン、2代目E34型セダン&ツーリング、3代目E39型セダン、そして4代目E60型セダンという歴代M5の“ちょい乗り”だ。
そして再確認したことはというと、M5は自分の記憶よりもいっそう“洗練された高性能サルーン”であったことだった。もちろん歴代M ハイ・パフォーマンスモデルのパワートレイン、特にエンジンには圧倒的な存在感があった。その記憶だけでいえば、過激なモデルというイメージが残って当然だったのかもしれない。けれども改めて乗ってみて、車全体としては5シリーズにふさわしいライドコンフォートを備えつつ、高性能にもフォーカスしたモデルであることが確認できたのだった。
そして、新型M5は“そんなスーパーサルーン”の極めて真っ当な後継モデルであったと言っていい。
モデルの詳細は別記事に詳しいので差し控えるけれど、試乗に当たって注目しておくべきポイントはやはりパワートレインだろう。M5では初となるプラグインハイブリッドシステム“M HYBRID”を搭載。585psの4.4L V8ツインターボ+プリ・ギアリングステージ付き電気モーター+22.1kWhバッテリーによるシステム統合スペックはなんと最高出力727ps(535kW)/最大トルク1000N・m。2023年に発表されたXM レーベル・レッドと基本的には同じシステム構成である。もう一つの注目ポイントは、これもまたMモデルならいつものことだけれども、最先端をいくサスペンションの制御統合システムで、M5としては初めてインテグレーテッド・アクティブ・ステアリング(四輪操舵システム)を装備した。
▲Mモデル専用4WD(M xDrive)を搭載しており、DSC(ダイナミックスタビリティコントロール)オフ時には後輪駆動モードもセレクト可能となっている
▲エンジン単体で最高出力585ps/最大トルク750N・m発揮。モーターが作り出すトルクはプリ・ギアリングによって450N・mまで増強される。なお、約70kmのEV走行も可能となっているアウトバーンではあっという間に280㎞/h超え!
ミュンヘン空港近くのとあるBMW施設を出発し、最寄りのアウトバーン入口へと急ぎ始めたとき、助手席と後席に陣取ったジャーナリストの仲間たちから驚嘆の声が上がった。乗り心地がよいらしいのだ。確かに運転席でも悪くはないと思っていたが、驚くほどよいとも思わなかっただけにかえって驚いた。運転席ではソリッド感がしっかりあって、それなりにガッチリと走っているように思える。そんなふうに感じるときの運転席以外はというと、たいてい“心地悪い”ものだからだ。ちなみに後ほど後席に座ってみたが、他のジャーナリストがテストドライブする間、ほとんど居眠りできてしまった!
上質なドライブフィールという印象は、街中からアウトバーン、そしてカントリーロードまで一貫していた。前述したように、それがM5の伝統なのだ。グランドツアラーとして上等であることが何よりも重要であり、同時にステアリングフィールも正確無比で心地よい。つまりBMWらしさを時代の極限まで磨き上げることがM ハイ・パフォーマンスモデルの役割であると言っていい。
とにかくすべてが高次元でバランスされている。1000N・mもの最大トルク(しかも2000回転以下からエンジン単体でも大きなトルクを発揮する)をうたうセダンとなれば、それなりのモンスターフィール=手に負えない感じ、があってもおかしくないはずが、すべてをしっかりとコントロールできているという感覚がドライバーには常にあった。踏んでいても、だ。確かにスリリングさには欠ける。けれどもこれはリアルスポーツカーではない。リアルスポーツカーのようにも走ることのできる「サルーン」なのだ。
野太いMサウンドエフェクトを切っても、V8ノートは耳に心地よい。BMWの極上グレードらしく、ハンドリングの正確さはピカイチだ。ハンドリングマシーンだと言ってもいい。前輪をドライバーの手で直接操作できる感覚こそBMWらしさだが、M5ではその上をいく。前輪がすでに進むべき道を知っていて、ドライバーのほんのわずかな意思表示を敏感に察知して、曲がる準備をしてくれているかのようだ。さりとて、忙しくは決してない。あくまでもドライバーの気持ちに忠実なニンブルさを発揮する。
さらに高速コーナーでの姿勢が最高だった。車体の傾き(ロール)と乗り手の握るハンドルの位置関係がすこぶるつきに気持ち良い。旋回姿勢の良さは極めつきである。セダンゆえ、この姿勢を作り出すことは重要で、BMWもまた重い車体のコントロールに長けてきたというわけだ。
もちろん、1000N・mの加速フィールには驚愕されることだろう。中間加速は文字どおり“ぶっ飛ぶ”感覚だ。それでいて速度感覚は低め。これじゃ免許が何枚あっても足りない。アウトバーンでは軽く280km/hを超えていった。
▲フェンダーはベースモデルよりフロント75mm、リア48mmワイドに仕立てられた。日本仕様には軽量なカーボンルーフが標準装備される
▲M専用エアロバンパーやガーニッシュを装着。ブラック・キドニーグリルをライトアップするBMWアイコニック・グローを備えた
▲ディフューザーを備えた専用デザインのリアバンパー、カーボンスポイラーやMスポーツ・エグゾーストを採用
▲カーブド・ディスプレイを備え、スイッチ類を大幅に減らした最新ブランドデザインを採用。M専用パーツを多数採用しスポーティ感を高めている
▲スイッチ式のシフトを採用、スイッチ類もタッチ式となりすっきりした印象とされた
▲Mモデル専用のマルチ・ファンクション・シートを標準装備
▲後席はベーシックな5シリーズ同様にゆったりと快適。日本仕様はBMW Individual レザー・メリノ・シートが標準となる
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
BMW M5(先代)の中古車市場は?

2017年に登場したF90型となるM5は、先代5シリーズ(G30型)をベースにBMW M社が手がけたハイパフォーマンスセダン。サーキットでの高い運動性能と、ラグジュアリーなスポーツセダンの資質を併せ持つ。最高出力600ps/最大トルク750N・mの4.4L V8ターボを搭載し、Mモデルのセダンで初めて4WD(M xDrive)を採用した。2019年にはよりサーキット走行を重視した、最高出力625psのコンペティションが追加設定されている。
2024年10月下旬時点で、中古車市場にはM5が20台程度、M5 コンペティション が10台程度流通。支払総額の価格帯はそれぞれ560万~920万円、850万~1450万円となる。
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BMW M5(先代)× 全国▼検索条件
BMW M5 コンペティション(先代) × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●4.4 4WD
| 型式 | 3LA-82FK44 | 最小回転半径 | 5.9m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.1m×1.97m×1.51m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 3.01m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.69m/1.66m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 2400kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2675kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ファイヤー・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック、マリナ・ベイ・ブルーメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ブルックリン・グレーメタリック |
||
| オプション色 |
フローズン・ディープ・グレーメタリック、ストーム・ベイメタリック |
||
| 掲載コメント |
※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 75km |
||
| 型式 | 3LA-82FK44 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | アルピン・ホワイト、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ファイヤー・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック、マリナ・ベイ・ブルーメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ブルックリン・グレーメタリック |
| オプション色 | フローズン・ディープ・グレーメタリック、ストーム・ベイメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.9m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.1m×1.97m×1.51m |
| ホイール ベース |
3.01m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.69m/1.66m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2400kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2675kg |
| 最低地上高 | 0.12m |
| 掲載用コメント | ※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 75km ※EV走行換算距離(等価EVレンジ WLTCモード) 70km ※交流電力量消費率 WLTCモード 310Wh/km 市街地モードWLTC-L 291Wh/km 郊外モードWLTC-M 164Wh/km 高速道路モードWLTC-H 216Wh/km ※一充電消費電力量(WLTCモード)21.3kWh/回 |
| エンジン型式 | S68B44A | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 4394cc | 燃費(WLTCモード) | 9.6km/L └市街地:6.1km/L └郊外:11.7km/L └高速:11km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 585ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
750(76.5)/5400 |
| エンジン型式 | S68B44A |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 4394cc |
| 最高出力 | 585ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
750(76.5)/5400 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 9.6km/L └市街地:6.1km/L └郊外: 11.7km/L └高速: 11km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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