【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2021/06/04
▲アバントにもA4初となるクリーンディーゼルエンジンを設定。ステーションワゴンならではのゆとりのある全長を生かし、ロー&ワイドなダイナミックボディにまとめ上げた1台。軽快な走りを実現する4WDのクアトロと、FFの2モデルがラインナップされる速いのに家族で使えて経済的、お得でおいしいモデル
2020年10月にビックマイナーチェンジを実施した、アウディ A4シリーズ。エクステリアデザインを大幅に刷新。ドアパネルに至るまで手を加え全幅を5mm拡大、全グレードでブリスターフェンダーを備えるようになるなど、フルモデルチェンジに匹敵する改良が施された。
インテリアでは、最新のインフォテインメントシステムMIB3を初採用。センタースクリーンは、タッチパネル式となり操作性の向上を図っている。また、歩行者検知機能付きアウディプレセンスシティや、渋滞追従支援機能付きアダプティブクルーズコントロールなど、ADAS(先進運転支援システム)もアップデートされている。
そして2021年1月、A4シリーズとしては初となるクリーンディーゼルエンジンのTDI搭載モデルが追加された。TDIは2タイプで、「35 TDI」と「40 TDI」というそれぞれ出力の異なる2L直噴ターボディーゼルエンジンだ。
「35 TDI」は、最高出力163ps、最大トルク380N・mを発揮し、トランスミッションはより効率を高めた7速Sトロニックを組み合わせた前輪駆動のFFとなる。ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)とリチウムイオンバッテリーを搭載する12V MHEV(マイルドハイブリッド)システムを備えており、回生エネルギーでトルクをアシストしたり、コースティング(惰性走行)時にエンジンを完全に停止するなどして燃費効率を高めている。
「40 TDI」は、最高出力190ps、最大トルク400N・mを発揮。トランスミッションは同じく7速Sトロニックを組み合わせ、機械式センターディファレンシャルを搭載したクワトロ四輪駆動システムを採用する。
▲立体構造のヘッドライトやテールライトは、流れるように光るダイナミックインジケーターとLEDヘッドライトを全車標準装備。照射をコントロールし周囲に迷惑をかけない、マトリクスLEDヘッドライトはオプションとなる
▲ボディカラーは全10色。印象的なレッドやブルーの他にブラックやホワイト、ソリッドカラーのホワイトも用意される
▲Sラインではサイドベントなどのデザインが変更され、専用オプションも用意される。ダイナミックデザインの18インチホイールや、S4標準の19インチホイールなどを装備可能
▲エンジンは燃費向上のため、ピストンなど素材の変更により軽量化を行った。それによってスポーツ性能も向上し、40 TDIでは0-100km/h加速が7.7秒、最高速度241km/hというパフォーマンスを誇る試乗車は、ステーションワゴンの「A4 アバント40 TDI クワトロSライン」だった。Sライン仕様のエクステリアは、1980年代の名車“アウディスポーツクワトロ”をモチーフに、チタンブラックのハニカムメッシュシングルフレームグリルや、ボンネット先端には3連スリットを備える。また、ドアミラーカバーやアバント特有のルーフレールもブラックとし、力強いデザイン要素が盛り込まれている。
エンジンを始動する瞬間のみディーゼルであることを意識するが、しばらく運転席に座っていると特有のノイズを感じることもなく、そうであることを忘れてしまうほどだ。1750~3000回転で最大トルクの400N・mを発揮するだけあって、アクセルペダルに少し力をこめるだけでグッと加速する。7速Sトロニックも切れ味よくシフトチェンジしていく。ちなみに、カタログ燃費は14.6km/L(WLTCモード)だが、高速道路主体で走れば20km/Lに迫る数値を出すことも難しくない。
足元には標準の18インチサイズではなく、オプションの245/35/19インチサイズのピレリPゼロを装着していた。硬い乗り心地をイメージしていたが、想像以上にしなやかに走る。
この40 TDIクワトロが採用する4WDシステムには、機械式センターディファレンシャルを搭載している。前後50:50のトルク配分をベースに、後輪へ積極的に駆動力配分を行う本格仕様だ。ただ、アウディの新世代クワトロは、時代の要請に応じて積極的に前輪駆動とすることで燃費性能を高めたオンデマンドタイプのAWDクラッチ付き四輪駆動システム。今後は、A4シリーズもそちらへと移行していくことが想定されるので、本格クワトロのフィーリングがお望みの人はいまのうちに手に入れておいた方がいいかもしれない。
「A4 アバント40 TDI クワトロSライン」はアウディの代名詞ともいえる“クワトロ”、“アバント”、そしてRSモデル譲りのスポーティなスタイリングと、いいとこ取りの好バランスモデルだ。同グレードのセダンの新車価格が612万円なのに対して、アバントはオートマチックテールゲートも標準装備で641万円。わたしなら後者を選ぶ。
▲最新のインフォメントシステムとデジタルメーターを標準装備。USB-Aポートも設置され、Apple CarplayやAndroid Autoにも対応する
▲Sラインには、アルカンターラとレザーのホールド性のスポーツシートを装備
▲後席は3分割レイアウトで大人が乗っても余裕の広さ。膝まわりや頭上空間はもちろん、足元もシートの下にしっかりと入り込むゆとりのある設計
▲ラゲージ容量は495L。後席を収納すると1495Lまで拡大できる。リアゲートは足をかざすと電動でオープンする、オートマチックテールゲートを搭載▼検索条件
新型アウディ A4 アバント × 全国 × 2020年以降4代目(先代)アウディ A4アバントの中古市場は?

2008年から2016年まで販売されていたA4 アバント(4代目)のラインナップはガソリンモデルのみ。新型に迫る490Lの広いラゲージや、フルセグ対応ナビを搭載している。中古車市場では車両本体価格70万円後半からグレードや仕様、ボディカラー、走行距離などの選択肢が多くなるゾーンとなる。諸費用含め予算100万円前後であれば、様々な条件で選ぶことができそうだ。全体的には白、黒、グレーなど落ち着いた色合いの物件が多い傾向。
▼検索条件
4代目アウディ A4アバント × 全国【関連リンク】
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