【試乗】新型 ボルボ V60|“マニアックな変更”で圧倒的に乗りやすくなったマイルドハイブリッド
カテゴリー: ボルボの試乗レポート
2023/01/06
▲2022年7月に一部改良を受けたミドルサイズワゴン。PHEVとマイルドハイブリッドが用意され、各2グレードをラインナップしている。Google搭載インフォテイメントシステムの標準装備化やパワートレインの改良などにより、着実な進化を遂げた注目はGoogle搭載だけでない、地道な改良で洗練された走り
2025年には販売車両の50%をBEVに、そして2030年にはBEV専業メーカーへの転身を目標に掲げまい進するボルボ。現行ラインナップを見渡せば、BEVか、PHEVか、48Vマイルドハイブリッドのいずれかであり、すでにピュア内燃エンジンモデルは消滅している。
一気にすべてをBEVにするわけではなく、これまでもひたすら年次改良を重ねてきたボルボらしく、PHEVや48Vマイルドハイブリッドもアップデートしている。
その一つが2023年モデルのS60、V60およびV60 Cross Countryで、全モデルにGoogle Apps&Serviceを搭載したことだ。
いまボルボがパワートレインの電動化とともに推し進めているのが、Google搭載のインフォテイメントシステムを採用すること。「OK、グーグル」と話しかければ、ナビの目的地を設定したり、好きな音楽をかけたり、電話をかけたり、シートヒーターをオンにしたりできるものだ。メルセデスのMBUXなど自然対話方式による音声操作機能はいまや珍しいものではない。各社が独自にシステム開発を進める一方で、ボルボはGoogleと手を組んだところが最大のポイントだ。システムに話しかけると日本語をスムーズにセンタースクリーンに表示するのだが、その認識精度の高さからも圧倒的なデータ保有量を誇るGoogleのすごさが伝わってくる。そして、自宅にGoogle対応のスマートホーム機器があれば、車内から家の照明を点灯したりエアコンをつけるなど音声でリモート操作できるといった拡張性も強みだ。
▲今回の改良ではリアバンパーとアルミホイールのデザインが変更されている 試乗車は「V60 Ultimate B4」だった。少々ややこしいが、これまでボルボは内外装の装備などの違いによってグレードを上からInscriptionとMomentumと呼んでいたが、それがUltimateとPlusへと置き換えられた。そして四輪駆動の場合はAWDが加わる。したがってこのモデルは前輪駆動の上級モデルという位置づけだ。
インテリアデザインは基本的に従来モデルを踏襲するが、Google搭載にともないメーターパネルのデザインを一新。メーター内にもGoogleマップが表示できるようになったが、これは視線移動が少なく済むし見やすい。シフトノブはスウェーデン・オレフォス社のクリスタル仕様にアップグレードされている。試乗車にはオプションのBowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステムが付いていたが、音源がラジオであっても素晴らしい音を奏でる。価格は34万円と決して安いものではないが、音楽好きならぜひ奮発したいところだ。エクステリアデザインは小変更にとどまる。ホイールが新デザインになったところが見分けるポイントだ。
▲メーターパネルは液晶ディスプレイに変更。Ultimateには流木を用いたドリフト・ウッド・パネルが採用されているパワートレインは従来あったB5が廃止となり、PHEVの「T6」と48Vマイルドハイブリッドの「B4」の2本立てに整理された。このB4は、2L直列4気筒ガソリンターボで、最高出力197ps/最大トルク300N・mで、アシストする電気モーターの出力は14ps/40N・mと、数値としてはこれまでと変わっていない。ところが、走り出してみると圧倒的に乗りやすくなっていることに驚く。1500回転で最大トルクを発生するが、アクセルにそっと力を込めるだけでまるでBEVのようにスッと加速する。
聞けばこの2Lエンジンは、かなりマニアックな変更が加えられているという。VVT(可変バルブタイミング機構)を用いて、吸気バルブのタイミングを制御し、少ない混合気からより多くの膨張圧力を取り出し、エネルギー効率を高めるミラーサイクルテクノロジーを採用しているのだ。そして、ピストンのデザインやインテークマニフォールドの形状、新型オイルポンプなどにも変更点は及ぶ。さらに、B4 のトランスミッションはこれまで8速ATだったものが、湿式デュアルクラッチの7速DCTに変更されている。これによってカタログ燃費(WLTCモード)は12.8km/Lから15.4 km/Lへと約20%も改善されている。
4気筒エンジンにありがちなノイズも聞こえないし、DCTにありがちな低速域でのギクシャク感もまったくない。さり気なくモーターがアシストしてくれることによって日常域でよく使うタウンスピードでの走行が気持ちいい。また、サスペンションの洗練度も上がっているようだ。新デザインの18インチホイールに、タイヤはミシュランのプライマシーの組み合わせだったが、路面からの振動をうまく抑えて、乗り心地はとてもしなやかだ。
▲2Lターボはミラーサイクルテクノロジーの採用など、細かな変更が施されているそして、安全機能にオプションなしをうたうボルボだけあって、ADAS(先進運転支援システム)にぬかりはない。前走車を追従するACCやステアリング操作を支援するパイロットアシストなど従来機能のアップデートに加えて、この新型では前車発進警告機能とリアの衝突回避被害軽減ブレーキが追加された。
電動化をうたいながらも、既存の内燃エンジンのこともおろそかにせず、年次改良でトランスミッションにまで変更を加えるさまはボルボの良心をみるようだ。Bowers&Wilkinsのサウンドに没入しながらドライブしていると、エンジンノイズもバイブレーションも感じない、まるでBEVを運転しているかのような感覚に陥る瞬間が何度かあった。皮肉なことに内燃エンジン付きでこれほど洗練されているのなら、まだしばらくはBEVじゃなくてもいいかもと思った。
▲ボディカラーは新色3色を含む計9色が用意されている
▲「トールハンマー」デザインのヘッドライトを備えたブランドフェイスが採用される
▲ファインナッパレザーを用いたフロントシートには、ベンチレーションやリラクゼーション機能が備わる
▲リアシートは中央以外にシートヒーターを備える。後席に乗車しない場合、ヘッドレストを電動で前に倒して後方視界を向上させることができる
▲ラゲージ容量は5名乗車時で529L、後席を倒せば最大1441Lとなる▼検索条件
ボルボ V60× 全国ボルボ V60(初代)の中古車市場は?

V50の後継として2011年に登場したミドルサイズワゴン。セダンバージョンのS60と同様にスポーティな走りとスタイルをセールスポイントとしており、ラゲージ容量は430Lとやや小さめであった。よりスポーティなR-DESIGNや、ポールスター・レーシングがチューンを施したハイパフォーマンスモデルなども用意されていた。
2022年12月時点で中古車市場には280台ほどが流通し、その平均価格は約90万円。初期モデルなら30万円くらいから、最終モデルでも150万~250万円くらいで探せる。なお、360ps以上を誇る希少なスポーツグレード「ポールスター」も350万~450万円くらいの相場で、わずかながら流通している。
▼検索条件
ボルボ V60(初代)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●アルティメット B4
| 型式 | 5AA-ZB420TM | 最小回転半径 | 5.7m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.78m×1.85m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.87m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.6m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1710kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1985kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.15m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブラック |
||
| オプション色 |
デニムブルーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック、サンダーグレーメタリック、プラチナグレーメタリック、シルバードーンメタリック、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトプレミアムメタリック |
||
| 掲載コメント |
※Googleアプリ/サービスは4年間無償、緊急通報/故障通報サービスは15年間無償 |
||
| 型式 | 5AA-ZB420TM |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブラック |
| オプション色 | デニムブルーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック、サンダーグレーメタリック、プラチナグレーメタリック、シルバードーンメタリック、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトプレミアムメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.7m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.78m×1.85m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.87m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.6m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1710kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1985kg |
| 最低地上高 | 0.15m |
| 掲載用コメント | ※Googleアプリ/サービスは4年間無償、緊急通報/故障通報サービスは15年間無償 |
| エンジン型式 | B420T5 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1968cc | 燃費(WLTCモード) |
15.4km/L
└市街地:10.8km/L └郊外:16.1km/L └高速:18.2km/L |
| 燃費基準達成 | R12年度燃費基準 70%達成車 |
||
| 最高出力 | 197ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/4500 |
| エンジン型式 | B420T5 |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1968cc |
| 最高出力 | 197ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/4500 |
| 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 15.4km/L
└市街地:10.8km/L └郊外: 16.1km/L └高速: 18.2km/L |
| 燃費基準達成 | R12年度燃費基準 70%達成車 |
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