新型アコードハイブリッドの乗り心地から感じる“未来へのステップ”
2016/07/31

初代の発売からはや3年
思い返せば、初代アコードハイブリッドの発売の数ヵ月前にプロトタイプを試乗したことがあった。その際、細かい部分に改善した方が良いと思うところがいくつかあったので率直に話をしたことを思い出す。メーカー担当者はそれをとても真摯に受け止めてくれ、発売時にはほとんどが改善されていた。そういった姿勢のメンバーが作ったモデルが、前期型アコードハイブリッドである。
あれから3年が経過した今年5月、ついに新型が発売となった。販売はお世辞にも良好とはいえないが、車自体はとても好感が持てるモデルだ。今回は、その理由を述べたい。

各所から感じる未来志向
まずデザインだが、大きく変更したLEDヘッドライトの採用によってシャープな目つきとなり、エクステリアは未来的な印象が強くなった。しかしそれ以上に変わったと感じるのは、インテリアとドライブしたときの印象だ。
まず、シートに座ると、ホンダの水素燃料電池自動車クラリティと同様のエッセンスが導入されていることに気づく。最も似ている部分は、ボタンによるドライブセレクトスイッチである。握って押し/引きで切り換えるレバー方式ではなく、指で押すだけのボタン方式なのだ。一度、Dレンジボタンを押してしまえばそれほど下を見る必要はないと思うが、この未来志向に慣れるまでは少々時間を要する。致し方ない。しかしこれのおかげで、クリーンなインテリアが作り出され、クラスターの高級感も増した。

そしていよいよ走り出してみて驚いたのは静粛性だ。ロードノイズがとても改善されている。アクセルをゆっくりと踏み込んだ状態だとモーターのみで走らせるため、余計に実感できる。サスペンションも低中速域で細かな路面の凹凸をいなし、旧型より乗り心地に深みが加わった。
高速道路で一気に加速してみたが、滑らかで強烈な加速だ。合流に迷いはなくなる。エンジンのガサついた音も軽減されているように感じた。さらに深く踏み込みエンジンとモーターに鞭を入れてみたが……やはり静かだ。以前のようにCVT特有の“無駄に高い回転でホールドする”ような嫌な印象もなく、静かになった。旧型の場合、ここが唯一「400万円近く支払う車にしてはちょっと……」と思った部分であったが、改善されている。風切り音も少ない。目立たない部分に最適な部品使いが見られる。
ハンドリングは、以前よりもサスペンションがよく動き、乗り心地に気を使ったセッティングだということが分かった。高速でのコーナーもボディをフラットに保ち、バッテリーの重さなど全く気にならない。新しいバッテリー系統への変更による、小型・軽量化の恩恵もある。
気になるのはステアリングの最小半径が大きいことだ。アメリカでは問題ないと思うが、意外に小回りが利かないと感じた。切れれば良いというものではないが、日本では重要なエッセンスである。
この他、ホンダセンシングやウインカーを左に操作したときに左側を瞬時にモニターで映し出す仕組みはとても便利でミラーレス化を予感させた。
このように、様々な技術が盛り込まれた新型アコードハイブリッド。まさに、未来へのステップを体現してくれたモデルといえるだろう。


【SPECIFICATIONS】
■グレード:HYBRID EX ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC ■総排気量:1993cc
■最高出力:107(145)/6200[ kW(ps)/rpm]
■最大トルク:175(17.8)/4000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4945×1850×1465(mm) ■ホイールベース:2775mm
■車両重量:1600kg
■車両価格:410万円(税込)~
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