プリウス▲半年ほど前まで「6ヵ月程度(PHEVモデルは4~5カ月程度)」だった新車の納期は、原稿執筆時点で「4ヵ月程度」まで短縮されている。これに伴い中古車の流通量が増加し、中古車の平均価格も下がってきた

大人気の中古車も食べ頃に!

2023年1月に登場した5代目トヨタ プリウス。先行予約の時点で納車が半年~1年待ちという人気ぶりで、当初は「すぐに手に入る」中古車が人気となった。とはいえ中古車流通量が少ないため、新車より高いプレミアム価格がついたほどだ。

あれから2年以上たち、さすがに中古車のプレミア相場は落ち着いてきた。中古車平均価格は2023年11月から徐々に下落し7月の中古車平均価格は、前年同月より42.4万円も低い364.6万円だ。走行距離5万km未満で探すと支払総額約250万円で見つけることができる。

BMW キューブのグラフ▲2024年7月~2025年7月の平均支払総額推移

2024年度の新車販売台数ランキングで乗用車の6位を獲得するなど、いまだに高い人気を誇るプリウス。その中古車は、本当にお買い得なのか? 早速見ていこう。
 

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トヨタ プリウス(5代目)
 

モデル概要:「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」がコンセプト

2023年1月にハイブリッドモデルが、同年3月にはプラグインハイブリッド(PHEV)モデルが登場した代目プリウス。両モデルの見た目はほぼ同じで、従来の「ハイブリッドの代名詞」という実用車的なイメージから、「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」をコンセプトに生まれ変わった

これまでのプリウスの歴史の中でも、特に大きな転換期を迎えたモデルと言えるだろう。

プリウス▲フロントノーズからルーフ、リアまでなだらかな曲線を描くモノフォルムシルエットで“プリウスらしさ” は継承しているものの、全高は4代目より40mm下げられ、かつ高さのピークが前席から後席側へとズレている
プリウス▲ボディカラーは写真のアッシュ(グレー色)やマスタードといった新色に加え、全8色が用意されている
プリウス▲プラグインハイブリッドのZ。専用デザインの19インチアルミホールや、テールランプがスモークカラーになる。それ以外はほぼハイブリッドモデルと同じだ

まず目を引くのは、その流麗かつアグレッシブなスタイリングだ。歴代プリウスが継承してきた「モノフォルムシルエット」をさらに洗練させ、フロントウインドウからルーフにかけてのラインを大胆に寝かせ、全高を旧型より低く、全幅を広くした。これにより、一目でスポーティさが伝わるワイド&ローなプロポーションを実現している。

特に、ハンマーヘッドをモチーフにしたシャープなフロントフェイスや、リアドアのピラー一体型ドアノブなどは、これまでのプリウスにはない強い個性を放っている。もはや単なるエコカーではなく、感性に訴えかけるデザイン性の高い車へと変貌を遂げたと言えよう。
 

プリウス▲トランク容量はパワーユニットによって異なり、1.8Lハイブリッドモデルが422L、2Lハイブリッドモデルが410L、2Lプラグインハイブリッドモデルが345Lとなる
プリウス▲ドアのガラスを閉じたまま外部へ給電できるアタッチメント(写真)は全車に標準装備

注目のパワートレインは、2Lと1.8Lの2種類のハイブリッドシステム(HEV)、そして2Lのプラグインハイブリッドシステム(PHEV)が用意されている。

2Lハイブリッドシステムは新開発のシステムで、28.6km/L(WLTCモード、2WD)という優れた燃費性能を保ちつつ、レスポンスの良さと力強い加速を両立。

1.8Lハイブリッドシステムは、旧型である4代目と基本は同じ。もちろん、燃費性能をさらに磨き上げ、4代目の32.1km/Lを上回る32.6km/Lを実現している。ただし、この1.8Lハイブリッドシステムは現行型では法人向けや、同社のサブスクリプション「KINTO」向けのグレードにのみ搭載されている。

一方、2Lプラグインハイブリッドシステムはモーターのみで走るEV走行距離を大幅に向上。19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤなら105kmもモーターのみで走ることができる。これなら日常のほとんどの走行を電気のみで賄うことが可能だ。しかもシステム最高出力は223ps。従来のプリウスのイメージを覆し、スポーツカー並みの力強い加速性能を備えている。

プリウス▲歴代のセンターメーターをやめ、メーターディスプレイはステアリングの奥に配置された。代わりにセンターディスプレイ(グレード「Z」は12.3インチ(写真)、「G」と「U」は8インチ)が備わる
プリウス▲内装色は写真の赤のアクセントが入る「マチュアレッド」や、上質感のある「グラディエントブラック」と、モダンな「アクティブグレー」の3タイプが、グレードによって設定されている

インテリアは、運転に集中しやすいコックピットと、開放的で広々とした空間を両立。運転席のメーターは、視線移動を最小限に抑えるよう、ステアリングの上から見るトップマウント式が採用された。

もちろん、最新の先進運転支援機能「トヨタセーフティセンス」は全車に標準装備。さらに、災害時などに家電に給電できる「非常時給電システム」も全車に標準で備えられている。
 

 

グレード構成:基本はベースグレードの「G」と、上級グレードの「Z」

グレード構成とその違いを、新車時の車両本体価格で手頃な順から並べると、次のとおりになる。

・1.8Lハイブリッド車
X:主に法人向けとなる最廉価グレード。オーディオレス、スチールホイールが標準だ。
U:同社のサブスクリプション「KINTO」専用モデル。上記Xに対し、ディスプレイオーディオやアルミホイールを標準装備するなど、装備が充実している。

・2Lハイブリッド車
G:ベースグレード。1.8Lハイブリッド車より上質なファブリックシート地が備わる他、インテリアの質感も向上。
Z:上級グレード。見た目の質感や機能が充実している。

・2Lプラグインハイブリッド車
G:2024年10月に追加されたベースグレード。装備は最上級グレードのZから簡易化され、2LハイブリッドのGとほぼ同等だ。
Z:上級グレード。2LハイブリッドのZ同様、見た目の質感や機能が充実している。
 

プリウス▲写真は2.0 プラグインハイブリッド Z試乗時の様子
 

中古車状況:価格下落と掲載台数増加で選びやすくってきた

5代目プリウスの中古車が流通し始めた2023年2月には485.2万円だった中古車平均価格は、その後も半年以上440万円前後を推移していた。これは当時の新車車両本体価格で最も高い2.0 プラグインハイブリッドZの460万円に近い価格だ。

しかし、2023年度の新車販売台数ランキングで乗用車の4位、2024年度も6位になるほど売れる人気車で、サブスクリプション「KINTO」からの流入もある現行型プリウスだ。また、当初は「1年以上」と言われたほど長期化していた新車の納車遅れは徐々に解消し、原稿執筆時点(2025年8月23日)で公式ホームページを見ると4ヵ月程度となっている。

こうした状況の変化に沿って、中古車延べ掲載台数は徐々に増え、2025年1月には2000台を超え、さらに右肩上がりで増加している。
 

BMW キューブのグラフ▲2024年7月~2025年7月の延べ掲載台数の推移

冒頭で述べた通り価格が下がり、流通量が増えたことで選びやすくなった現行型プリウスの、どんな中古車を選べばいいのか。以下で考察していこう。
 

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トヨタ プリウス(5代目)
 

オススメの狙い方①:とにかく安く手に入れたいなら「1.8 X」

お手頃価格で手に入れたいなら「1.8 X」がオススメだ。

走行距離5万km未満なら支払総額約250万円から、走行距離3万km未満でも支払総額約260万円から狙うことができる。ちなみに、デビュー時の車両本体価格は275万円(2WD)だ。

プリウス▲「1.8 X」の内装色はアクティブグレーのみとなる。充電用USB端子やオートエアコンは標準装備

全車に標準装備されている「トヨタセーフティセンス」は「1.8 X」にも当然備えられているから、安全性能は他グレードと変わらない。

一方で、ビジネス用途向けのグレードのため、シート地が一般的なファブリックになり、インテリアの加飾が抑えられている。またオーディオレスが標準だが、購入後に好きな機器を付けることもできるし、そもそも社外品のディスプレイオーディオやカーナビゲーションを装着している中古車が多いので、あまり困らないだろう。
 

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トヨタ プリウス(5代目) × 1.8 X

 

 

オススメの狙い方②:コストパフォーマンスで選ぶなら「2.0 Z」

装備が充実しているわりに、意外と安い、つまりコストパフォーマンスの高い現行型プリウスを狙うなら、2Lハイブリッド車の上級グレード「2.0 Z」がオススメだ。デビュー時の車両本体価格は370万円(2WD)だが、走行距離3万km未満なら支払総額約310万円から狙うことができる。

プリウス▲「2.0 Z」はワイヤレス充電機能が備わる。写真のようにスペースをあまり取らないので便利だ

ちなみに、ベースグレードである「2.0 G」のデビュー時の車両本体価格は320万円(2WD)で、走行距離3万km未満なら支払総額約280万円から見つかる。また、KINTO専用モデルの「1.8 U」の場合、デビュー時の車両本体価格が299万円(2WD)で、走行距離3万km未満なら支払総額約270万円からとなる。

つまり、走行距離3万km未満で比較すると、「2.0 G」や「1.8 X」「1.8 U」がデビュー時の車両本体価格より15万~40万円の値落ちになるのに対し、「2.0 Z」なら値落ち額が約60万円という計算になる。

「2.0 Z」はワイヤレス充電器が標準で備わり、「2.0 G」の前席がファブリック地の手動調整シートなのに対して、合成皮革地の電動シートになるなど快適機能が充実。

しかも、原稿執筆時点でグレード別では最も流通量が多く、「2.0 G」の約5倍もあるので、比べて選びやすい。予算に余裕があるなら、「2.0 Z」がオススメだ。
 

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トヨタ プリウス(5代目) × 2.0 Z
 

オススメの狙い方③:プラグインハイブリッド狙いなら「2.0 プラグインハイブリッドZ」

自宅に充電設備がある、あるいは備えるつもりなら「2.0 プラグインハイブリッドZ」がいいだろう。走行距離3万km未満で支払総額約370万円から狙える。1.8Lハイブリッド車や2Lハイブリッド車よりも高いが、デビュー時の車両本体価格が460万円だったことを考えれば、最も値落ち額が大きいグレードだ。

プリウス▲「2.0 プラグインハイブリッドZ」は2Lハイブリッドの2.0 Zに対して充電ポートや、EV/HVモード切替スイッチなど、プラグインハイブリッドならではの装備が追加される

満充電で19インチタイヤなら87km、17インチタイヤなら105kmも電気だけで走ることができ、毎日の通勤や通学、買い物などに使うだけならガソリンを使うことはまずない。最近の燃料費の高騰を考えると、かなり魅力がある。また、装備面は上記2Lハイブリッド車の「2.0 Z」と同等だ。

ちなみに、2024年10月に追加されたプラグインハイブリッドGは、流通量がほとんどなく、あってもあまり値落ちしていない(0.5万km未満で支払総額約370万円~)から、やはり「2.0 プラグインハイブリッドZ」がオススメだ。
 

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トヨタ プリウス(5代目) × 2.0 プラグインハイブリッドZ
文/ぴえいる、写真/トヨタ
※記事内の情報は2025年8月25日時点のものです。

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。