【試乗】新型 メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV|すべてを車に任せ安心快適に移動できる安楽さはまさしく“個室新幹線” !
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
タグ: メルセデス・マイバッハ / SUV / 4WD / EQS SUV / EDGEが効いている / 西川淳
2025/02/13
▲BEV専用プラットフォームを採用したラージSUV「EQS SUV」のラグジュアリーなマイバッハバージョン。4座仕様となり、内外装はさらに豪華な仕立てとされている大きさと豪華さで別次元のオーラ
EV専用プラットフォーム“EVA2”をSUVとして初めて採用した3列シート7人乗りのEQS SUV。位置づけとしてはGLSクラスの電気版、つまりフラッグシップモデルだが、SクラスとEQSとの関係と同様に、その見た目は大いに違っている。
日本向けにはメルセデス・ベンツ EQS 450 4MATIC SUVとEQS 580 4MATIC SUV スポーツという2グレードを用意するが、さらにその上級に置かれたモデルが今回の主役、メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUVである。
実物を見ればビッグサイズぶりと豪華絢爛さ(この2トーンカラーだけで約300万円のオプションだ)に半ばおののく。見た目の“ちょっと変わっている”感はスタンダードモデルを何度か試しているのでもはや驚かないにしても、サイズにはいまだ慣れないし、豪華さに至ってはもはや別格。スタンダードと変わらぬ大きさだというのに放つオーラは別次元である。
そんなマイバッハシリーズの“超絶感”については、もはや改めて語る必要などないだろう。先祖のウルトラ高級モデル群や、復活後のマイバッハに比べるとメルセデス・マイバッハと改称された以降のモデルは多少なりとも民主的になったように思えるけれど、世界トップランクに位置する仕立てのモデルであるとすることに異論はない。
▲専用デザインの22インチアルミホイールを装着。ボディカラーにはオプションで5種類の2トーンペイントが用意される満充電スタートにおけるカタログ航続距離は640kmだ。電池容量は118kWhとかなりの大型で、カタログ電費は4km台らしい。実用上の航続可能距離は話八分、つまり500km弱あたり。
思い返せばそもそもベースとなったメルセデス・ベンツ EQS SUVが乗用車として最高ランクのモデルだった。マイバッハとなってもボディサイズは変わらず、内外装がいっそうゴージャスになり超贅沢な4名乗車となった、という程度の変更である。せいぜい22インチタイヤの心地はどうなのか(悪化しているのでは? )くらいしかチェックし直すポイントはないと試乗前には思っていた。
▲インパネのデザインはメルセデス・ベンツ EQS SUVと同様ながら、マイバッハ専用モチーフをトリムやステアリングなどに用いることで特別感を高めている運転席にただ座っているだけでラク
結論から言うと懸案の22インチタイヤも実にしっかりと履きこなしていて、スタンダードモデルからの乗り心地の劣化はまるで感じさせない、どころか真っ白なインテリアに囲まれてさらに上等な気分に浸っていた。
それくらい内装のゴージャスさには目を見張るものがある。ちょっと触ることをためらってしまうほど白く滑らかで光っている。そんなインテリアのゴージャスさがドライブに与える精神的な影響も少なからずあった。これだけ素晴らしい空間に座っていると、周りの状況も余裕を持って眺めることができ、常に心が平静でいられるのだ。ちょっとマナーの悪い他車を見かけても舌打ち一つすることなく、平然と眺めていられた。
▲Bピラーをクローム仕上げとし、BピラーからCピラーにかけての後席空間の広さが外観からも想起できるようにデザインされている都内を満充電で出発し、京都を目指す。いつもの試乗コースである。高速クルージングのドライブフィールは街中で経験した以上に極上級だった。とはいえ、決してドライバーズカー的な居心地のよさではない。すべてを車に任せ安心快適に移動できる気持ちよさ、とでも言おうか。あえて例えるならば“個室新幹線的”な安楽さである。
たとえば、同じく超高級SUVであってもロールスロイス カリナンの方がまだしもドライバーズカー的な気持ちよさがあった。もちろん、ドライバーへの忠誠度はマイバッハ EQS 680 SUVでも十分に高く、ドライバビリティも優決して凡庸ではないのだが、積極的に運転するという感覚は比較的乏しい。常に車から「すべて任せておけ、大船に乗った気分でいろ」と言われているようなライドフィールだった。
つまり、精神的にはもちろん、肉体的にも疲労が極端に少ない車だ。実際、ロングドライブの道中でも自ら休憩したいと思うことなど一度もなかった。118kWhという巨大バッテリーのおかげで本来なら京都まで無給電でいけたはずだが、150kWh充電器のある浜松サービスエリアでトイレ休憩しつつ15分ほど急速充電にかけたくらいで、本当にあっけなく片道450kmのドライブをこなしてしまった。ちなみに、15分の急速充電で+140km分くらい入るから、それはそれで安心材料となる。
京都までのドライブで心底ラクだと思った車は過去にロールスロイスをはじめ何台かあった。けれども運転席にただ座っているだけでラクだと思えた車は初めて。ロールスロイスはもちろん、ICEのマイバッハもこの電動SUVに比べるとまだしもずっとドライバーズカーだった。
それが電動化時代におけるマイバッハ流の新しいラグジュアリーということなのだろう。ドライバーもパッセンジャーの一人として扱ってしまえるほど高い完成度を誇っている。
▲キルト加工のナッパレザーシートを装着。インテリアトリムは3色からウッドトリムも3種類から選択可能
▲左右独立式シートを採用。ファーストクラスパッケージを選択するとウッドトリムを用いたセンターコンソールや格納式テーブルなどを装備、センターアームレストヒーターも備わるひるむほどの巨体とはいえ、京都の街中でも落ち着いてドライブすることができた。取り回しやすさが狭い道でのドライブをまだしも気楽に感じさせてくれる。静かな走りというものは、他人はもちろん自分の心も平静に保ってくれる。
前述したように泰然としたドライブフィールはいつも心に余裕を与えてくれるし、こうも威風堂々としたスタイルでは周りから急かされることも極端に少なく、狭い道でも落ち着いて進路を探りつつ走っていけた。他府県ナンバーには普段いけずな京都人も一目おいてくれたようだ。
次回はぜひ後席を試そう。そう思って先日も久しぶりに対面したのだが、結局ドライバーシートに収まってしまった。若い成功者もまたショーファー使いより自らドライバーになることを好む傾向があるというから、それで良しとしよう。ちなみに、後席に座った人もまた個室新幹線のようだと言っていた。
▲フロントにはスリーポインテッドスターのマスコットグリルが備わる
▲走行モードにはコンフォートモードに代わり、後席重視のマイバッハモードが備わる
▲ファーストクラスパッケージをセレクトすると後席中央にクーリングボックスが備わるが、ラゲージにボックスが張り出すためラゲージ容量が減少する▼検索条件
メルセデス・マイバッハ EQS SUV × 全国
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
ベーシックモデルとなるメルセデス・ベンツ EQS SUVの中古車市場は?

EV専用プラットフォーム“EVA2”をSUVとして初めて用いた3列シート7人乗りのBEV。ホイールベースが3210mmと長く、室内も広く快適。空力に優れたキャブフォワードデザインを採用する。
2025年2月上旬時点で、中古車市場には35台程度が流通。支払総額の価格帯は900万~1400万円となる。流通している中古車の多くが最高出力360psの「450」で、544psの「580」は少数となっている。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ EQS SUV× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●680 ファーストクラス パッケージ 4WD
| 型式 | ZAA-296955 | 最小回転半径 | 5.1m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.14m×2.04m×1.73m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 3.21m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.67m/1.69m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 3050kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.18m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、ソーダライトブルー、ベルベットブラウン、エメラルドグリーン、セレナイトグレー |
||
| オプション色 |
アルペングレー、オパリスホワイト、ハイテックシルバー/OBSブラック、オブシディアンブラック/カラハリゴールド、ハイテックシルバー/ノーティックブルー、ベルベットブラウン/オニキスブラック、オブシディアンブラック/セレナイトグレー |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率 WLTCモード 224wh/km 市街地モードWLTC-L 223wh/km 郊外モードWLTC-M 215wh/km 高速道路モードWLTC-H 230wh/km |
||
| 型式 | ZAA-296955 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、ソーダライトブルー、ベルベットブラウン、エメラルドグリーン、セレナイトグレー |
| オプション色 | アルペングレー、オパリスホワイト、ハイテックシルバー/OBSブラック、オブシディアンブラック/カラハリゴールド、ハイテックシルバー/ノーティックブルー、ベルベットブラウン/オニキスブラック、オブシディアンブラック/セレナイトグレー |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 4名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.1m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.14m×2.04m×1.73m |
| ホイール ベース |
3.21m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.67m/1.69m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 3050kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.18m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率 WLTCモード 224wh/km 市街地モードWLTC-L 223wh/km 郊外モードWLTC-M 215wh/km 高速道路モードWLTC-H 230wh/km ※一充電走行距離(WLTCモード)640km |
| エンジン型式 | EM0031 / EM0028 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 658ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
955(97.4)/- |
| エンジン型式 | EM0031 / EM0028 |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 658ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
955(97.4)/- |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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