【試乗】新型 フォルクスワーゲン ID.4|エントリーグレードこそ初めてのBEVにオススメ! 後輪駆動で運転が楽しいSUVスタイルのグローバルカー
カテゴリー: フォルクスワーゲンの試乗レポート
タグ: フォルクスワーゲン / クロスオーバーSUV / ID.4 / EDGEが効いている / 藤野太一
2024/02/10
▲フォルクスワーゲンが「ID.ファミリー」で世界戦略車に位置付けるSUVスタイルのBEVモデル。2023年以降の生産モデルでは制御系の改良により一充電走行距離が向上している(写真はすべてID.4プロ)安定供給に合わせて航続距離が約10%アップ
2022年11月に国内導入が始まったフォルクスワーゲンの電気自動車(BEV)シリーズ「ID.ファミリー」の第1弾「ID.4」。
BEV専用に開発されたアーキテクチャー「MEB」を基本骨格とするSUVで、アウディ Q4 e-tronとは姉妹車にあたる。日本では発売当時「Launch Edition」という導入記念特別仕様車を用意するもすぐに完売。その後コロナ禍による部品供給不足などもあり、納車までに時間がかかるといった課題があった。
日本仕様のID.4は当初ドイツのツヴィッカウ工場で生産されていたが、近頃、輸出港を併設する同じくドイツのエムデン工場にID.ファミリーのMEBモデル生産ラインを新設し、そこで日本仕様のID.4の生産を行うことで安定供給を実現。納期も大幅に短縮されたという。
そこにタイミングを合わせるように、2023年以降の生産モデルにアップデートが施された。エントリーグレード「ライト」の一充電走行距離(WLTCモード)が388kmから435kmへ、上級グレードの「プロ」が561kmから618kmになった。バッテリー容量などは従来モデルと変更はないが、制御に関わるハードウェアおよびソフトウエアの改良によって、一充電あたりの航続距離が約10%延びている。
▲バッテリーを前後アクスル間のアンダーボディに収納することで、低重心化と最適な前後重量バランスを実現。Cd値0.28と空力性能も高いあらためて、2023年生産モデルに試乗することができた。ボディサイズは全長4585mm、全幅1850mm、全高1640mm、ホイールベース2770mm。ボディサイズに対して長いホイールベースを生かしフロア下にバッテリーを敷き詰め、リアアクスルに電気モーターを配置し後輪を駆動する。エクステリアは、いわゆるSUVクーペといえるスタイリングで、空力性能にも優れておりCd値は0.28とSUVとしてはとても優秀だ。基本的には従来モデルと同一だが、ボディカラーには新色が設定された。
特筆すべきはキャビンスペースの広さで、MEBの恩恵もあって178cmの大人が後席に座っても、頭上にも膝まわりにもたっぷりと余裕がある。ラゲージスペースも通常時は543L、リアシートをすべて倒すと最大1575Lにまで拡大する。
今回はエントリーグレードのライトに試乗した。バッテリー容量52kWhで最高出力170ps(125kW)、最大トルク310N・mを発揮。ちなみに、プロはバッテリー容量77kWhで204ps(150kW)/310N・mとなる。
エクステリアを見てみると、プロのヘッドライトがマトリクスLEDなのに対して、ライトはべーシックなLEDライトになる。そしてタイヤサイズはプロが20インチなのに対して、18インチに。また、ルーフアーチがプロはグレーなのに対して、ライトはブラックに。パノラマガラスルーフも省かれている。
キーを携帯していれば、車に近づくと自動で解錠する。一般的なスタート/ストップボタンはない。シートに座ってブレーキペダルを踏むだけでシステムが起動する。足元に目をやると、アクセルペダルには“PLAY”、ブレーキペダルに“PAUSE”の、オーディオプレイヤーをモチーフとしたマークが施されている。デジタルを感じさせる遊び心のある演出だ。
装備が簡素化されていることによるメリットもある。バッテリー容量が少ないため車両重量がプロの2140kgに対して1950kgと190kgも軽くなることだ。体重60kgの大人3人分と考えれば、その差は大きい。プロとライトでは最大トルクは310N・mと共通なので発進時には明らかに軽さを感じる。コーナリング時の身のこなしも適度なロールをともない、いたって自然なもの。また、18インチの60扁平という今どきとしてはエアボリュームの多いタイヤを装着しているため路面とのコンタクトがやさしく、街乗りでの乗り心地はこちらの方がコンフォートだ。
ADAS(先進運転支援システム)はぬかりなく、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストシステムなど、しっかりと標準装備している。これらはいまや安全かつ快適に長距離ドライブをこなすためには、必須アイテムといえるものだ。
フォルクスワーゲンは、2023年にはグローバルで前年比21.1%増となる約39万4000台の電気自動車を販売。電動化のけん引役となるID.4はドイツ本国で約3万台、米国で約3万8000台のセールスを記録するヒット作となっており、欧米でも認められているグローバルカーだ。
国内での車両本体価格はプロが648万8000円、ライトが514万2000円とその差は134万6000円。国や自治体の補助金を活用すれば、ライトであれば400万円台前半あたりで購入できる算段だ。ID.4は後輪駆動ゆえ意外なほど運転が楽しいし、長いホイールベースゆえ見た目以上に後席スペースが広く実用性も高い。そろそろ電気自動車生活を始めてみたいという人の入門編としても、“ライト”サイズな1台だと思う。
▲プロにはシルバールーフレールやパノラマガラスルーフをはじめ専用パーツが備わる
▲人工皮革「レザレット」をアクセントに用いたインテリア
▲前後に回すタイプのシフトはメーターディスプレイ右側に備わる
▲アクセルに再生マーク、ブレーキに一時停止マークを施したアルミ調ペダルクラスター
▲シート地にマイクロフリースを採用。プロにはマッサージ機能付きのパワーシートが備わる
▲リアシートは60:40分割可倒式を採用
▲ラゲージ容量は通常543L、後席を倒せば最大1575Lまで拡大する▼検索条件
フォルクスワーゲン ID.4× 全国ライバルとなるメルセデス・ベンツ EQAの中古車市場は?

メルセデス・ベンツのBEVで最もコンパクトなSUVスタイルのEQA。ブラックパネルグリルや左右ライトをつなぐイルミネーションなど、EQ共通のデザインが取り入れられている。フロントアクスルに最高出力190ps/最大トルク385N・mを発揮するモーターを搭載、66.5kWhのリチウムイオンバッテリーを床下に積み一充電走行距離を555km(WLTCモード)としている。
2024年2月上旬時点で、中古車市場には30台ほどが流通。そのうち認定中古車が20台ほどとなる。ほとんどの物件がAMGラインパッケージを備える。価格帯は390万~658万円。全体的に年式が新しく走行距離の少ない物件が多い。平均価格以下の物件でも走行距離は1万~3.5万kmという状態となっている。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ EQA× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●ライト
| 型式 | ZAA-E2EBJ | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.59m×1.85m×1.64m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.77m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.56m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1950kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブルーダスクメタリック、ムーンストーングレー、グレイシアホワイトメタリック、グラナディラブラックメタリック |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率(WLTCモード)132Wh/km 市街地モード(WLTC-L)116Wh/km 郊外モード(WLTC-M)124Wh/km 高速道路モード(WLTC-H)144Wh/km |
||
| 型式 | ZAA-E2EBJ |
|---|---|
| 駆動方式 | MR |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブルーダスクメタリック、ムーンストーングレー、グレイシアホワイトメタリック、グラナディラブラックメタリック |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.59m×1.85m×1.64m |
| ホイール ベース |
2.77m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.56m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1950kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率(WLTCモード)132Wh/km 市街地モード(WLTC-L)116Wh/km 郊外モード(WLTC-M)124Wh/km 高速道路モード(WLTC-H)144Wh/km ※一充電走行距離(WLTCモード)435km |
| エンジン型式 | EBJ | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 170ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
310(31.6)/3851 |
| エンジン型式 | EBJ |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 170ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
310(31.6)/3851 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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